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blue memo




 月の眠り <2-1>
 

それは。暗く果ての無い深淵へと、墜落していく感覚。
墜ちていく、墜ちていく。どこまでも、とめどなくどこまでも。



「じゃあね!いってきます!」

快斗がトランクにスーツケースを押し込むのと同時に、母を乗せたタクシーはすぐさま出発した。
いつもながらに母の旅立ちは忙しいもので、慣れているとはいえ朝起きたときから調子が今一つな身では、どっと疲れてしまう。
まるで子供の遠足のよう―――なんて実の親に対して持つ感想ではないが、正直なところよく当てはまっていると思う。
「飛行機の時間はあるっていうのに、はしゃぎすぎだよな」
あんなに慌ただしく出かける必要もないのに、父のいる街へ疾うに心を飛ばしてしまっている母には、言ったところで無駄だとわかっている。
もういない人なのに、それでもあんなに一途に想い続けていられるなんて。しかもまだまだ熱愛中で、想いは年々深く増してさえいる。
『これが誕生日の奇跡だよ』
母の誕生日に結婚式をあげたふたりだからこそ、そんなふうに空の上から父が評しているような気さえして、つい快斗は苦笑してしまう。
「奇跡、か…」
口にしてみればとても重い言葉だ。
まるでそれに縋るしか道がない立場におかれた気すらしてきて、息苦しさにため息を付きそうになる。
「…?」
そのとき、ふと誰かの視線を感じた。見られることは案外よくあるけれど、今までのどの場合とも違うそれ。
咄嗟に振り返った快斗が見たものは、ちょうど路地に身を翻した人の、細い影だけだった。

2005/06/14 (火)




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