暖かい室内に、二人で一緒に作ったおいしい年越しそば。
テレビから流れてくる除夜の鐘の音を聞いて。
それでいて近くに君が居てくれれば、文句の付けようがないね。
2002→2003
適度に心地良い室温に保たれた室内で、これ以上ないおいしい年越しそばを食べて、テレビから流れてくる除夜の鐘に耳を傾けながら君と居る。
「今年も終わりって感じだねぇ」
「もう新年だけどな」
そんな会話をしながら、笑い合う。
「今年もよろしくお願いします」
「こちらこそまた今年もよろしくお願いします」
そんな風な会話もして。急に面と向かって妙にかしこまった挨拶は、少しくすぐったかったけれど。
だけど。
お互いに、隣にいる相手と出会う前は、想像も出来なかっただろう今で。
このくすぐったさも、それは大事にしたいと心から願う『今』で。
こんな気持ちやこの瞬間がまた、続くことを願っているから。
ほんの少しの気恥ずかしさも、何だか胸に暖かい。
そんな風に思えることにまた感謝しながら、また、今年の暮れもこうやって、ほんの少しの気恥ずかしさを感じながらこの相手と笑いあいたいと思う。
その次の年も。それより次の年だって。
いつまで続くかはわからない互いの人生の中で、少しでも長く、一緒に笑いたいと思う。
だから「また今年もよろしく」という挨拶がとてもくすぐったいのかもしれないけれど。
「・・・今日はどうする?」
「今日はねぇ、お雑煮食べて、哀ちゃん達のところにご挨拶に行って、それから・・・」
「おせち料理をおすそわけに?」
ふと、冷蔵庫の中の二人で大量に作りすぎてしまったおせちの数々を思い出して、堪え切れない笑いが語尾に滲み出て、快斗もまた苦笑いに近い笑いを滲み出して堪え切れずに、笑った。
「お参りにはいつ頃行こうか?」
そう、聞いてきたのは多分人込みが嫌いな俺への小さな気遣いで。
「2日の夕方。まぁ、元旦よりかはマシだろうしな」
行くって言っても近所の神社だし。
「何お願いすんの?」
「そういうのは、前々から決めるようなことじゃねーの」
聞いてきた快斗に、そう言って。
テレビから、アナウンサーがにこやかに告げる。
『本年もどうぞよろしくお願いいたします』
こんなささやかな日々を君と一緒に笑い続けていられますように。
どうぞ今年もよろしく。
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