一緒に寝よう



ふと、いつも横にある気配を感じられなくて、新一は文面から顔を上げた。

「――――快斗?」
呟きは、受け取るものなく、ただ壁に溶けて消えていく。
そういえば、確か庭で動物を使ったマジックの練習をするって言ってたっけ。居場所さえ分かれば問題ないのだが、何となく感じる寂しさをごまかすことができず。本を閉じて、新一は外に出た。

太陽の眩しさに眉をしかめながら、芝の上をさくさくと歩く。快斗のお気に入りの場所は、少し離れたところにあるポプラの木の下だ。そこからは、リビングの中だけでなく建物全体を眺めることができるのだと、なぜか誇らしそうに言っていたと思う。

少し先にあるポプラに、確かにいた。木陰に守られ、鳩やウサギ、ネズミ達に囲まれながら。彼は、あどけない寝顔を浮かべていた。
動物達も、どうやら共に眠っているらしい。主の気配の中にあるためか、自分が近づいても起きる様子はない。そのまま、音を立てずに傍に行き、しゃがみ込む。手を伸ばして髪に触れ、それから頬に当てると、彼はうっすらと紫紺を覗かせ。

「………ん、いち?」

ふわっ、と猫のように目を細めて。

「一緒に、寝よう―――?」

差し出された腕に抵抗なく収まると、快斗はまだ夢現にあったのか、すぐにも穏やかな寝息を立てた。動物達も、まだ目覚めない。
小さく笑う。彼のまとう優しい風に包まれれば、どんな場所でも眠りに落ちてしまうのは、自分が1番知っている。彼の友人達に負けないように身を寄せながら、新一もまた、彼のいざなう夢の世界に歩んでいった。






  
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全て愛しき日常風景30話。
ふと気付くといつも傍にいる存在がなくて、探してまわる新一がかわいい♪ そして動物たちにかこまれてすやすやとお昼寝している快斗もかわいい♪
寝ぼけて新一に手を伸ばす辺りはもう本能かな〜vなんて思ったりして。のどかな一時、穏やかで幸せそうなふたりに胸がいっぱいになりました♪





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