ネット碁にて




ピンポーン

「和谷〜遊びにきたよー」

「おぅ、あがって」



ひさしぶりに休みがとれたから、たまには打ってやるよ、という電話が来たのは昨晩。
は喜んで同意した。

プロになってからというもの、和谷とはほとんどすれ違い状態になっている。
せっかく彼氏彼女なのに、会える日は指導碁なんてつまらない、という気持ちよりも
今は会える時間を大切にしたい。



「寒かっただろ」

「うん。もう冬だね〜。はい、近くのコンビニでおでん買ってきた」

「おっサンキュー」

かじかんだ手をおでんの容器で温めて、は碁盤を一瞥した。

と、おでんをテーブルにおいて、おもむろには切り出した。


「ねぇ、今日は碁盤じゃなくって、ネット碁やろうよ」

「え?なんで」

「だって、手がかじかんでてまともに碁石持てないじゃん」

「あー・・・うん、まぁそうだけど。
パソコン一台しかないぜ、見てわかるとおり」

少々乱雑になっているパソコン機器。
和谷はよくネットで碁を打っている、と聞いていた。(あのsaiというネット碁最強の碁打ちがいることも)

「一度やってみたかったの!碁盤以外で打つ碁ってどんなんなのかなーって。
パソコンは一台でやろうよ、私ノート持ってきてないし」

「だからどうやって」

「一人が打って、もう一人がその間あっちいって、打ち終わったら交代する、
その繰り返しってのはどう?」

「めんどくさくね?
っていうか早くおでん食えよ、冷めるぞ」

大根をほおばりながら和谷は答える。

「あ、うん。
で、やろうよ、ネット碁!やーろーうーよー」

「――わかったよ、やればいいんだろ」

「やったーv」


ブォンと電源が入る音がした。
「じゃぁ条件はが設定して」

「はいよっと、・・・和谷、HNさぁ。『zelda』にしないの?」

「えっなんで知って・・・」

「へへ、進藤から聞いたことあるんだ。
なんでも2年ぐらい前の夏だっけ?saiと和谷が対戦したってのは。
そのときzeldaって人が対戦してたって」

「(進藤〜!!)」

「でもさ、zeldaって、お姫様の名前だよね。和谷も物好きだよね、お姫様v」

「うるせ〜!さっさとやれって!」

「はいはい・・・HNは・・・名前でいっか。『』っと。
えーっと、ハンデありじゃないとね・・・
持ち時間は――少な目でいいや」

「テーブルは非公開にしろよ」

「非公開、でOK。
はい、できたよー」

「それじゃぁ、やるか。ハンデこんくらいでいいのか?」

画面にはすでに白石が5子おいてあるのだ。
いつも和谷とが打つときは8子ぐらい。

「今日こそは日ごろの成果を見せ付けてやんないとね!」

「へー、じゃぁ俺が勝ったらどうするんだよ」

「そのときはそのときよ」

自信満々にいうに半ばあきれ、さっさと進める和谷。



「はい、次の番」

「それじゃぁいつもの布石でっと。ハイ次ー」

「なんか、やっぱりめんどくせー;;;」

「長考するとき言ってね」

相手に長考してたらプロの名がすたる」

「あ、言ったなっ!もー、ちょっとどいてっ!」

和谷を押しのけ、パソコン前に陣取った
ま、よーく考えな、といい、和谷は「寒い寒い」とさっさと布団にもぐりこんだ。


「じゃ遠慮なく長考させていただきまーすv」

これがの思うツボだったとは和谷は知る由もなかった。

「(パソコンといったら個人情報よねv)」

そう、はネット碁をやる目的だけではなかったのであった。

さっさとブラウザを最小限にして別のファイルをクリックした。

「和谷ってよくネットしてるみたいだから履歴みちゃおーと。
・・・まさかヤバいサイト出てきたりして・・・」


どきどきしながらかじかんだ手で履歴アイコンをクリックする。
「えぇっ!?」


そこに並ぶものは・・・


『ド○えもん公式HP』

『ドラ○もん愛好会』

『ドラえ○んオープニングMIDI』

『おいしいドラ焼きの作り方』

『ドラえも○とドラ焼きが好き同盟』  



「うわ。。。和谷ってこんな趣味だったんだ・・・
っていうかネット碁やってるわりにその履歴ないし!」

それからはあらゆる情報を引き出していった。
saiの対戦記録から小学校5年生のときの身体測定の結果まで、あらゆる情報を。

「和谷って・・・いったい・・・」

最後尾にあったメモ帳のアイコン。

なぜかタイトルが『マル秘』

「あからさまに怪しいな・・・これ。
えぇい!みちゃおーっと」

そこに記されていたものは。



『絶対忘れるな!
の誕生日はこの日!! X月X日』



「・・・私の、誕生日――間違ってるんだけど」

感動していいのか怒っていいのか迷いながら、
その下に『一日早いぞ!・・・』と書き足して、
は電源を切った。




「あっしまった!ネット碁・・・」

自分から言い出したのに自分からさっさと終了してしまった。
しかもまだ中盤戦も行ってないのに。

「どーしよう。。。って和谷起きてんのかな」

そそくさと時計の針を3時間ほど進め、おーいと和谷に呼びかけてゆすってみる。

「和谷ーもう夜だよー(ほんとは5時ぐらいだけどサ)
あ、あったかーい!ちょっと失礼。。。」

「ん…うわっ入ってくんなよっ///」

「寒いんだもん。ちょっとぐらい、ね」

「ね、じゃないだろー!(俺はまだ健全なんだっっ!)」

「けちー」

「はぁ・・・で、ネット碁は?」

「(どきっ)あ、あれね。和谷起こしても起きなかったからもう棄権ってことで。私の勝ち〜。また打とうねー」

「あ、あぁ、まいっか…大丈夫か、外。送ってくよ」

「平気平気。じゃお邪魔しましたー」

と、玄関の扉を再び開けて、はふと言った。

「和谷、私の誕生日覚えてる?」

「えっ・・・何だよ唐突に。あー、えーっと。。。」

「(忘れんなよオイ・・・)まっ、メモ帳見かえしておきなよっ。
それじゃーねー」

バタン。

「メモ帳・・・?誕生日・・・
あっのヤツ、俺のパソコンいじったな〜///!!」






『一日早いぞ!彼女の誕生日ぐらいきちんと覚えておきなさい!

罰としてみんなに履歴のことバラすからね!覚悟しておきなよ☆』





当人が焦ったのは言うまでもない…。



end*









::::::::::あとがき:::::

5555HITキリリクです。

和谷といったらネット碁。
ネット碁ってどんなんよ、とおもってヤフーのところに行ってみました。
けど実際前半しかやってません・・・。難しくて。
結局稚拙な文章で申し訳ありません!!

リク頂いたりり様、ありがとうございました♪


ちなみに架空のサイト名を履歴として挙げました(笑)
実在しても関係ありませんので、一応。


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