「英二!こっちこっち!」
「んにゃ〜ゴメン、待った?」
今日で夏休みは終わる
最後の日を、私は夏祭りで迎える
好きな人と
なつのおわり
「かなり待った」
「マジ?ほんとゴメーン!」
「う・そ。さー行こう!」
「れっつらごー、なんてね」
でも、英二は私の気持ちなんか知らないだろう
「まずは金魚すくいでしょ」
「え、イキナリ?!できんの?」
「あったりまえ!こう見えても腕には自信アリ、よ」
ただの幼馴染
そう、ただの
「よっしゃ!一匹目、ゲットぉぉっ!!」
「スゲーな、!ちょっとオレにもやらせてよ」
「だーめ!どうせ英二はへたっぴなんでしょ。
すぐやぶけちゃうじゃん」
「なんだよ、それ。
オレのスゴ腕を見せてやるもんねー。
おっちゃん、100円!」
無邪気に笑う君がいとしい
このままこうして笑っていられたら
パチャッッ
「ほらー英二ってやっぱ下手だねー」
「うっせーっ!
って、、それ何匹め?!」
「これで5匹〜♪
そろそろかわいそうだから止めようかな」
「オニ・・・」
「な〜に?英二君?」
「にゃんでもなーい!」
ほんと、よく
くるくる変わる顔
昔のころとちっとも変わってないね
「英二、綿菓子食べよーよ」
「おごってv」
「はぁ?普通逆じゃない?
じゃぁたこ焼きおごってv」
「なんでそーなるんだよ・・・
まぁいいか」
「ラッキー♪」
いつの間にか見上げるほど
高く成長した君
その声
やっぱり、少しずつ人は変わっていくんだ
「じゃ、あのご神木の前で待ち合わせね」
「オッケー」
なつがおわってゆくように
時は流れてしまう
私たちの関係も
流れていくのかな
このままであってほしいと思うけれど
自分の気持ちに気づいた時から
もっと違う関係を求めていた
そんな矛盾する気持ち
傷つくのが怖い
だけどなおさら
君にもわかってほしい
「痛っ!」
あ、鼻緒が切れちゃった…
張り切って慣れない浴衣で来たからかな
それとも…
「遅かったなー」
「ゴメン、ちょっと・・・」
「あ!鼻緒切れてる!!
大丈夫か?」
「あー、うん、まぁ・・・」
「そこに座って。
えーっと、――」
ガサゴソ・・・
ビリッ
「これでちょっとはマシ?」
ハンカチを切って結んでくれた
その君の顔が
闇に隠れて見えないけれど
それでよかった
私の涙も見えないでしょ?
「・・・うん、アリガト・・・」
「あれれ、もしかして、泣いてる…?」
あら、バレた。
そうならとことん泣いてやる。
「・・・なつが・・・おわっちゃう・・・っ!」
「え?なんだよ、イキナリ…」
「もう英二とはこのままでいられなくなるの!」
何言ってるんだろう、私。
英二が隣に座ってきた。
けれど、涙と一緒にあふれでた気持ちは
もう抑えられない。
「私たちはただの幼馴染だから
でもこんな気持ちになるの初めてだから
私たちはもう元には戻れないの!」
「・・・?」
なつがおわるように
私の恋も終わるだろう
「――私は、ずっと英二が好きだった」
あぁ
なつがおわるように
私も消えたい
ギュッ
え?
なに?
「え、いじ・・・?」
ヒュルルル・・・・・・
――ドーンッ・・・
花火に照らされた君の顔
すごく優しかったよ
「オレたちは、終わんないよ」
「・・・」
涙でぬれた顔
つまる声で
私は何も言えず
けれど真相はちゃんと言ってくれた
「オレもが好き!」
「…やだ…」
「えっ?」
「また、『にゃ〜んてな!』なんていわないでよ」
「何言ってんだよぉ〜これはホントのホント!
が好き!!」
英二の嘘はつけない性格はよく分かってたけど
嬉しすぎて
幸せすぎて
つい意地悪したくなった
「だから、」
「?」
「オレたちはまだまだこのまま」
「・・・うん。そうだね」
「離さないもんね〜」
「きゃっ」
よりいっそう強く抱きしめられ
私は安心感に浸った
よかった・・・
同じ気持ちだったんだなんて
嬉しいよ
「でもさ」
「何?」
「やっぱり違うよ」
「にゃにが?」
「幼馴染じゃなくって
恋人同士、じゃん?」
「あ、そだねー」
花火がきれい
一瞬の輝きだけれど
魅了する美しさ
なつがおわる
けれど
わたしたちは
また新たな関係が
はじまる
end*
:::::::::::::::あとがき:::::::
夏ネタ〜タイムリー
はい、撃沈ー♪(死ネ)
会話、ヒロインのモノローグで
進めてみたかったのです…
菊丸語はかなりムズい…
入れるタイミングが苦労しまふ。
![](sweet/facey_back.gif)