スキャンダル日報 3







毎度こんにちは、で御座います。

前回、ランキング戦で、越前選手のみを特集したせいで、
こっぴどく新聞部々長にお説教くらいましたので、



今回の取材は!!

男テニレギュラー陣全員!

が取材対象ですv(部長にアポ済み)



こういう場合って、やっぱりその、
それなりの覚悟っているのかどうか。


え?たとえば?

巷でうわさの。。。あ〜なんていったけ、そう、vegetable soup!
気絶者続出とかいう恐ろしいdrink!

とか、

時速200Kmを超えるsuper serveを打つplayerがいるとか。
顔面に当たって失神した選手がいるんだって?(お気の毒に、棄権したらしいし)

現場取材ってもしかして戦場並だったりして!
防弾チョッキ着てった方がいいかも。




「・・・アンタさ、」

うわっ!!その声は!?

「こんど部活の練習にまで来るんだって?」

「Hi,Ryoma!びっくりだわよ!いきなり何?」


コトワザで・・・「壁に目あり、障子に耳あり」だっけ?・・・なんか違う気がする。さっき習ったばっかなのになぁ。


「部長が言ってた。取材くるから今日の練習は全員参加するようにって。
懲りないね」

「こりない?・・・肩は順調よ!」

「・・・違うんだけど。
とにかくあんまり目立ったことしないほうがいいってこと」


「Oh!じゃぁやっぱり迷彩の服を着てけってことね!」

「??
まぁ・・・先輩たちには気をつけなよ・・・」

「あ!Hey, wait!
防弾チョッキは必要?」

「(だからさっきから何を勘違いしてる・・・?)
――You don't need it, do you?」

「OK!それじゃ放課後ね〜!」




頭に?をいくつも浮かばせ、リョーマは去っていった。

迷彩服、かぁとは取材七つ道具を思い浮かべた。
うん、ある!(←なぜ・・・)







そうこうしているうちに放課後。


昇降口で望遠カメラを肩から下げ、
『青学タイムス』の腕章をつけた人物が約一名。

「え〜っと、今日のメニューは・・・」

アポ取りの際に、予備段階として部長から練習メニューを聞き出しておいた。
なんたって今回の特集は『大会に向けてテニス部員の死闘』がテーマである。

『死闘』にふさわしく、迷彩のTシャツを着た人物がそこに約一名(笑)。


「あ、レギュラー陣はrunからスタートか。
で、gameは当日を想定した組み合わせ・・・」

時計を見れば、練習開始の3:40をまわっていた。

「早く行かなきゃ!Hurry,hurry!」





緑のフェンスが見えてくるとそこは取材舞台。

近づくほどに、ランキング戦の感動がよみがえってくる。

「前はRyomaのplayしかみてなかったけど、
今回はレギュラー全員のをカメラに収めてこなきゃ!」


テニスコートに入った。
「(アポ取ったけれど、一応ご挨拶しておかないといけないよね)」

だが、先日会ったテヅカ部長の姿はない。
代わりに白いTシャツを着た長身の人がしきりにタイマーをみながら
ノートにペンを走らせている姿が捉えられる。

「あの、新聞部のと申しますが〜」

おそるおそるその人に声をかける
クルリと振り返ったが、顔はあいにく、逆光のため見えない。
メガネがキラリン☆


「あぁ、手塚から聞いてるよ。さん、だね。
ちょっと今レギュラーたちは走ってるところだから、
・・・いまちょうど第3カーブを曲がったところかな。
ま、じきに姿が見えるよ。」

ドッドッド・・・とものすごい轟音が響き、先頭集団の影が見えてきた。

「one, two, three・・・すごい!みんなで一番を争ってる!」

「フフフ…やっぱり競争にはコレがもってこいだな」

と、長身の男はヒョイと紙コップを持ち上げて叫んだ。


「残り5周!ビリには乾スーパーデラックス!!」

その声と同時に、一斉にスピードアップした模様。
「乾super ・・・?なんですか、それ」

早速七つ道具からノートとペンを取り出し、は取材体制に入った。

「これかい?オレが部員のために日夜栄養計算をして作り出したスーパードリンクだよ」

言いながら、紙コップを傾ける。

「ヒッ!」

ドロリとした緑色の液体が奇妙な光沢を放つ。

「そう、ですか・・・。中身は?」

「それは言えないな。なんたって青学の勝機の50%はこれが握っているといっても過言じゃないからな」
逆光メガネの端をくいっと持ち上げて、自慢げに微笑む乾。


変な汁、中身秘密、とノートに走り書き、はテニスコートのほうに目を向けた。

「そろそろ、だな」

乾はタイマーを握り、秒読みを始めた。

もノートを構え直し、心なしか早まる鼓動を抑えるようにぎゅっと力を込めた。



45、

47、

50、

「Ryoma?!」

コーナーからトップに見えたのは、リョーマだった。
が、その後にぴったりくっつき、なんとか阻止しようととめる一行。

18、

23、

一直線に並んで走っているレギュラー、少しでも前にと肩を入れる。

32、

34、

35、

バタバタッと足音が変わる。
ゴール?

みんな同時にゴールじゃなかった?


「野菜汁は・・・越前」

「げっ」

「え、なんでRyomaが?」

ノートに、ビリRyoma と書き、は乾にたずねた。

「やはり自分より長身のレギュラーたちに揉まれたせいだな、
ゴール寸前でちょっと押されぎみで、1,5ミリほど遅れたというわけだ」

1,5ミリ!!

「先輩・・・そこまでわかんないッスよ…」

「いいや、オレの計算ではそうなる。
まぁつべこべ言わず、飲むんだな」


はい、と乾スーパー(略)を手渡され、走った後とは別の汗が吹き出るリョーマ。



「ねぇ、ちょっと」

と、を手招きして、リョーマは部室のほうに離れる。

「何」

「アンタさ、コレ飲みなよ」

「え?あたしが?」

「ま、取材の一環として、ってわけで。
興味ない?知る人ぞ知るこのdrinkの正体。
かなりネタになると思うけど」

そういわれたら断るわけにはいかないのが記者のサガというもので。

「う・・・じゃぁ少し・・・」

「遠慮せずにどうぞ」

と半ば強引にの手に紙コップを渡して、そそくさとコートに戻るリョーマ。

「勝機50%だもんね、good tasteに違いないわ・・・」








「ん?なんか叫び声が聞こえた気がするんだけど」

アキレス腱をしながら、不二は先ほど戻って、野菜汁を見事にクリアしたというリョーマに言った。

「気のせいッスよ、先輩」

「でも越前、君もあれ平気だったんだ。結構気が合いそうだね・・・(クス)」

「――お構いなく・・・」




「あーよかった!オレ今度もあの汁の餌食にだけはなりたくなかったんだよね」

柔軟をしながら、菊丸はつぶやいた。

「でも、オチビ、今日はやけに張り切ってたにゃ!途中でも危なかったよな、タカさんにラケット渡したときは〜」

「よっぽどあの野菜汁飲みたくなかったんだな」

ハハハと笑って大石は自分も柔軟を始める。


「違うッス」

ラケットを持ってリョーマが現れる。

「オチビ〜ご愁傷さん!」

「おっ越前」

「汁はクリアしましたよ。先輩たちと違って」

「な、何?!」

驚く2人に、リョーマはニヤリと笑い、呟きながらコートの方に向かった。



「――アイツがくるから、本気で走ったんスよ・・・」















『アイツ』ご本人は、水道で奮闘中 x x x




end*








:::::::::::::::あとがき::::::::


連載3回目!レギュラーに登場してもらいました!
そしてあなたに犠牲になってもらいました(笑)
新聞部も楽じゃありません。



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