「これで卒業式予行練習を終わります。
明日の卒業式は9:00から・・・」


ざわざわとまわりは一斉に立ち上がる。

その中で一点を見つめて、動かない一人。


、15歳、中3。


明日、卒業――・・・













その先













「・・・っ、!」

「えっ?!」
ガタンと派手に立てた音がむなしく響く。


「あ・・・終わったんだ」

「終わったんだ、じゃないでしょ。
もう解散だよ!」

友達が起こしてくれた、というほど
私の意識は飛んでいたのかな。

「早く帰ろーよ!」

「えっと・・・ちょっと寄るトコあるから先帰ってて。
ゴメンね?」

友達は腑に落ちないといった感じだったけれど
観たいテレビがあるからとか言って
先に帰ってくれた。






ゆっくりとパイプいすを片付けて

ゆっくりと渡り廊下を歩いて

ゆっくりと中庭を通って

ゆっくりと教室に向かった





西日が傾いて
窓からは真っ赤な光




「もうこの学校ともお別れかぁ・・・」


ガラッとドアを開けて入ろうとしたのだけれど



そこには先客がいて










「・・・和谷・・・?」



「――よぉ」





なんでいるんだろう。

っていったら失礼かもしれないけれど


囲碁のプロになったとかで
学校にはあまり顔を出せなくなったと先生が言っていた






「えっと…」

「久しぶり、




出席してたころはよくふざけあった。





「うん。
和谷が元気そうで良かった」

なんてガラにも無いことを言ってみたら


「なにガラにも無いこと言ってんだよ」

と突っ込み返された。





「――なんだ、いつもどおりじゃん・・・」






ふぅ、とため息交じりに言ったら

「え?なんて言った?」




「だから、いつもどおりだねっていったんですよー」

「なんだ、それー」

アハハ、と笑ってしまった。






プロになったから、遠い世界にでも行っちゃったのかと思ったよ。




なんだ、いつもどおりじゃん……







つっ立ってるのも変だったから

和谷のトナリに腰かけた。




「ねぇ、和谷って、ちゃんと卒業できるの?」

「え?」

「だって、授業サボってばっかじゃん」

「いいんだよ、プロになったから、まぁ公欠みたいなモン?」 (※知りません/汗)

「へー、ずいぶんとイイお仕事で!」

「大変なんだよー!にはわかりっこないって!」






ズキッと胸が痛んだのは

・・・気のせい?






「あーそうですね!
私は一般人として普通の高校に進学しますよ!」

「なんだ、おまえ合格したんだ。すごいじゃん、一高。」

「そうだけど、ってなんで知ってんの?」

「虫の知らせ」

「虫って…悪いことなんですかぃ…」





「オメデト」




「・・・和谷に誉めてもらっても何かヘン」

「素直に喜べよ・・・」







そう、私は高校へ

和谷は碁のプロへ






「みんなバラバラになるんだよね〜」


「ところでなんでお前は教室に残ってるんだ?」

「ん〜?哀愁感じてんのよ」

「は?」

「もうすぐ、っていうか明日卒業式じゃん?
この学校ともお別れなんだって思うと寂しくってさ」

「またガラにも無いことを・・・」

「うるさい。
でもって、3年間過ごした校舎をもっと見ていたくて
ギリギリまで残っていたかった・・・のに
和谷がいるなんてねぇ。
雰囲気ブチ壊しだわ」





うそ。
ホントはとても嬉しかったんだけど。








「・・・オレは」












「オレはと最後の日を過ごせて嬉しい」














あ・・

なに顔赤くなってんの?

もしかしてコレって・・・






「なんだ」


「?」





ますます和谷が顔を赤くしたから

私は後ろを向いて言ってやった。







「なーんだ、いつもどおりじゃん!」






きっと私も真っ赤だろう。


だって和谷とは

することなすこと同じなんだから!








「私も、今おんなじこと思ってたの!」








顔がほてってくのが分かるけど
言ってしまおう











「和谷のこと、ずっと好きだったよ!」










「もうこれで心残りなし!
じゃぁ帰るね、バイバイ!!」





カバンをつかんで行こうとしたら

その腕をガシッとつかまれて





「もう少し、そばにいて」


と囁かれてしまった。



「・・・何それ、ガラにも無いことを」

「うるさい・・・」



お互い照れ隠しだね


だって私たちは

似てるから













静かな教室。

おちてゆく夕日がきれい。

その反対側には月も浮かんでいる。





橙と藍のコントラストの中に






私たち二人だけ。















「ねぇ。あのさ」

「ん?」

「和谷って、収入入るんでしょ?」

「(ガクッ)・・・まぁな」

「いよいよ大人だねぇ」

「なんだ、改まって」

「ううん。ただ――
和谷がどんどん離れていくんだなぁってね」






もう照れ隠しも通用しない。

切なくなっていく。








「進路、かぁ」

和谷は背伸びをしてつぶやいた。


「進路、ねぇ」

私も頬杖をして繰り返す。

「この先、どうなっちゃうんだろ」

「おいおい、
それが高校合格を決めた奴がいうセリフか?」

「もう大人な奴にはわかんないですよーだ。
私は、まだまだ子供だもん。
もっと波乱が待ってるに違いないわ」


「それを言うなら、オレだって。
やっとプロになれたからって、
プロの道はまだまだ険しい。
日々戦いなんだ」






そういった和谷の横顔が真剣で





「プッ」



思わず吹き出してしまった。



「な、なんだよー
人がせっかく真面目になってるのに」

「私」




もう閉まる時間だ。

心残りは、ない。




「私、この先も
もっと先でも

ずーっと和谷のこと、忘れないよ」








和谷に会えてよかった









「おう、忘れるな!
っていってもこれからも会えばいいんじゃない?」

「お互い忙しくなるじゃん。無理!」






みんなそれぞれの道を進むから。







「でも、私はいつでも和谷を応援してるからね」



「オレものことは絶対忘れない」



ありがとう。









って、え?








「あ、名前で呼んだ・・・」

「あっ!・・・ま、まぁこっちのほうが呼びやすいし!!」



何あせってんだか・・・

「いいよ、なんか嬉しいし、ね。
よ・し・た・かぁ〜vvなんつって」

「うっわ、気色わる〜」

「失礼なっ!そっちから勝手に名前呼び捨てしたくせに!」



「「っ、アハハ・・・」」













うん、
この感じ。


いつまでも忘れない。












「・・・義高に会えてよかった」



「・・・オレも、に会えてよかった」













私たちの「その先」にはなにがあるんだろう

今はまだ分からなくてもいい


ゆっくり
ゆっくり












end*






::::::::::::::::あとがき::::::

ラブいですか?
(死語・・・)
これは恋とかがメインじゃないんですけど

卒業にあたって未来に悩むというテーマ

ドリームじゃねぇ!!


なんとなく和谷にハメはずしてもらいたかった(笑)
そして改行効果による無駄に長いページ…(ぉぃ)

結局お互い両思いだけど
その先はどうなることやら

それは進路も含めて
ゆっくり歩んでいこうというコトです。多分。
まぁとりあえずはハッピーエンドということで
許してくだせぇ。



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