チキン
「よかった・・・・、気がついたんですね・・・。心配しましたよ・・・・・。」
目を開くとウイングが心配そうにズシの顔をのぞいていた。
「あれ・・・・・、何で自分がここに・・・・?」
ズシは身を起こす。
意識が朦朧としている。
「・・・・何も・・・覚えていないのですか・・・?」
ウイングの声は震えていた。
「・・・・確か・・ゴンさんたちと別れて・・・・そのあと・・・・・・。」
首をかしげる。
「ヘンなオーラみたいなものがまとわりついてきて・・・・、でもあのオーラのイメージ・・・・どこかで・・・。」
そこまで言いかけると、ウイングは急に慌てたように手を振った。
「も・もういいですから、もう少し寝ていなさい。」
見かけによらず勘の鋭いズシにこれ以上考察されれば、確実に事実を悟ってしまうだろう。
そうなれば、負けず嫌いな性格ゆえに無理な行を行って身を滅ぼすことになりかねない。
何より、ウイングはズシを愛しく思うあまり、その無邪気な心に傷を刻ませたくないのだ。
穢れの知らない子供の瞳ほど美しいものは、この世に存在しないとすら思う。
だから、どうかこの子だけは、永遠に清くあれ、と心から願う。
「そうはいかないっス。 少しでもゴンさんやキルアさんとの差を縮めておかないと・・・。」
ズシは強い覚悟を秘めた厳しい表情でベッドを出ようとした。
「ダメです!」
「今のままじゃ、自分の気が済まないっス!」
「何があったのか知らないが、一番大事なのは身体です。 これは命令だ。 休め。」
命令には絶対服従である。 ズシはしぶしぶベッドに横になった。
ウイングは肩で溜め息をついた。
こんなにも厳しい瞳をしたズシを、今まで知らなかった。
天空闘技場に来るまで、ズシは完全な敗北を知らず、
少年大会のレベルでは、ほとんど優勝か準優勝だった。
しかし、天空闘技場に来てから、同年代の相手に完敗し、
ウイングの知らないうちに、マイペースだったズシに闘争心が芽生えた。
そしてそれは、彼が自立するために必要なことであった。
ズシの心が自分から離れて行くのをとても侘しく思う。
並ならぬ愛情を注いで育て上げてきた愛弟子の成長はうれしいことのはずなのに・・・。
これは完全なエゴ。
あんなことがあった後なので、少し気が滅入っているだけかもしれないが、
ズシのことを思うと、胸が激しく締め付けられる。
「師範・・・・、私は・・・どうしてしまったのでしょう・・・・・」
ウイングは窓から夜空を見上げた。
その胸の内では、ズシが無邪気に笑っていた。
深夜、目が覚めたズシは隣のベッドにウイングがいた形跡がないのを不思議に思った。
あくびで涙の溜まった目をムニムニとこすって一息ついてからベッドを出る。
「ふわぁあ・・・、師範代・・・・?」
ウイングが書斎として使っている部屋に入ると、ウイングは机に突っ伏して眠っていた。
デスクの上にはウイスキーの入ったグラスがある。
普段アルコールに手を出さないため、すぐに酔いつぶれてしまったのだろう。
「・・・こんな所で寝たら風邪ひいちゃうっスよ。」
ズシは呆れ顔でウイングのベッドにある毛布を持ってきて背中にかけてやった。
「・・・ズ・・シ・・・・・・・」
ウイングは寝言を言った。
起こしてしまったのかと思い、ズシは慌ててウイングの顔をのぞいた。
規則正しい寝息を立てていたのでズシはほっとして、
眼鏡をそっとウイングの顔から外して机の上に置いた。
「・・・おやすみっス。」
ズシは聞こえるか聞こえないぐらいの小さな声で挨拶をして、書斎のドアを閉めた。
そして用を足してからまた自分のベッドに戻った。
翌朝の5:30、いつものようにロードワークに出ようとベッドを出ると、珍しくウイングが先に起きていた。
「こんな朝早くにどうしたんスか?」
「ズシ?あなたは病み上がりなんだからもっと寝ていなければだめでしょう。・・・まったく・・・・・。」
ウイングは呆れて溜め息をついた。
「でも、昨日修行できなかった分は取り返さないと・・・・。」
ズシは拳をぎゅっとにぎる。
凄まじい覚悟が感じられる。
努力しようとする弟子の姿を愛しく思う反面、頑なな覚悟は少し悲しくもある。
「そんなに焦らなくても大丈夫です。 あなたの才能は私がちゃんと認めていますよ。」
ウイングは腰をかがめて、ズシに顔の高さを合わせて柔らかくほほ笑んだ。
するとズシは頬を少し赤く染めて困った顔をした。
「・・・・・・そんなこと言われたって・・・・。」
ウイングに頭を撫でられ、ズシは決まりが悪くなって声が小さくなった。
「そうそう、大事なことを言い忘れる所だったね。 毛布を掛けてくれてありがとう。」
「別にいいっスよ、そんなこと・・・・。」
ズシはウイングから視線を外した。
ほんの少し前まではうれしくてたまらなかったはずのウイングの愛情が、
最近は少し苦手になってしまった。
だからといってウイングに非があるわけではない。
ズシが変わったのである。
「ズシ、これ。」
ウイングはマグカップを渡す。
「・・・・ありがとうございます。」
「それを飲んだらもう少し寝るようにね。
どうしても身体を動かしておきたいのならば、ストレッチ程度にとどめておきなさい。」
ズシは首を縦に振りはしたが、心のどこかが消化不良を起こしている気分だった。
つい最近までは指図されることに抵抗はなかった。
何も考えずにウイングに従っていたように思う。
ウイングの指示に間違いはほとんどなかったし、何よりも的確だった。
しかし、天空闘技場にやってきて、ゴンとキルアに出会ってからズシの中で何かが変わった。
彼等は自分で物事を考え、自分で道を切り開いていた。
ズシはうすうす二人と自分との人間的なスケールの違いに気付き始めていた。
恐らくそれが念の資質に深くかかわっていることにも。
負けたくない・・・。
だからいつまでもウイングに甘えているわけにはいかなかった。
ズシはミルクを飲み終えると、布団に包まってまどろんだ。
寝不足と二日酔いとで身体が重く感じたウイングはソファで横になって休んでいた。
昨日は意識を失っていたズシの傍らでオーラを送りつづけていたため、言い知れぬ疲労感を感じていた。
外からスズメ達の鳴き声が聞こえる。
ズシがバルコニーに餌箱を置いて、餌付けしたスズメ達だ。
起きなければ、と思った。
もうすぐゴンとキルアが今日の日課を行いにやってくるだろう。
身を起こしてソファに深く座ると、まるで両腕が抜け落ちるようだった。
ウイングは軽い眩暈を感じて目を伏せた。
額に手を当てると異常なほどの熱が伝わってくる。
ようやく眩暈が引くと、深く息を吐いてソファから立ち上がった。
不安定な足取りで台所に移動する。
そして戸棚からアスピリンを取り出した。
ちょうど水で飲みこんだとき、チャイムが鳴った。
恐らくゴンとキルアが来たのだろう。
ウイングは玄関のドアを開けた。
そこにいたのは予想に反してゴンだけだった。
「ウイングさん、おはようございます。」
「おはよう、ゴン君。キルア君は一緒じゃないのかい?」
「・・・うん、なんか寝坊したみたいで・・・・・・。」
「・・・そうですか。」
ウイングは軽く溜め息をついてゴンを中に迎え入れた。
「・・・・・・・ウイングさん、・・・・あの・・・・。」
ゴンは緊張した面持ちでウイングに聞く。
「何ですか?」
「・・・・ズシ、大丈夫ですか・・?」
「ええ、今は大事を取って寝せていますが、ピンピンしてますよ。」
「・・・・・・よかった・・・。」
ゴンは胸をなでおろす。
それも束の間、すぐ緊張した表情に戻った。
「・・・・実は、お願いがあるんです・・・。」
「お願い?」
ウイングは怪訝そうに顔を歪めた。
恐らくこのことでゴンだけが先に来たのであろう。
ということは、キルアに聞かれてはいけない内容のことなのだろうか。
ゴンはウイングの前にひざまづいて、額を床につけた。
「オレ・・・いや、ボクを試合に出してください! 自分の力を試してみたいんです!
期日ギリギリまで休むように言われたけど、もう大丈夫だからっ!! 一生のお願いです!」
「なっ、・・・・・・・・・!?」
ウイングは目を見開いた。
ゴンが二度も言いつけを破るような子供でないことをウイングは重々承知している。
彼がこんなことを口走るのは、きっと昨日の事件に何らかの形で関わっているからに違いない。
そしてそれはズシの安全がまだ確保されていないことを暗示している。
「どうしても試合がしたいんです!! お願いします!」
ゴンが嘘をついているのは手に取るようにわかる。
しかしゴンの身体から出ているオーラのイメージは、
嘘をついているそれとは思えないほど澄みきっている。
やりきれない気分だ。
「ゴン君、頭を上げなさい。 試合の出場は許可します。
あえて理由は問いませんが、試合までに体調を整えておきなさい。」
ウイングは無理やり笑顔を作った。
不安を消すにはそれでも充分だったらしく、ゴンもその日初めて笑顔を見せた。
ウイングの胸中は穏やかではなかった。
自分が守ってやることができなかったズシを、ゴンは嘘までついて必死に守ろうとしている。
ウイングは自分の無力さに苛立ちを覚えた。
自分の弟子を命に替えてでも守ることは、師範代として当然の使命であった。
何より、ズシを失って誰よりも傷つくのは自分であったはずなのに・・・・。
「あ、ゴンさんおはようございます!」
「無事だったんだね! よかった〜!」
「・・・無事って! ゴンさん大げさっスよー!」
ズシは不満そうに頬を膨らませた。
「そうかなぁ・・・?」
「絶対大げさっス〜!」
ゴンとズシの楽しそうな会話をよそに、ウイングはただ立ち尽くしていた。
・・・・・何もできなかった。
もっとも大切なものが消えるかもしれないのに、私は何をしていた?
何故あの時私は立ち竦んで、助けに入ることができなかった?
そう。 無事ですんだのも、結局はキルア君とゴン君がそこにいたから。
恐らく、私にはこの子を愛する資格など・・・・。
そこまで考えて、ウイングはまるで何かを振り払うかのように何度も首を横に振った。
「よお!」
いつの間にかキルアが部屋に来ていた。
「昨日はズシがお世話になったみたいだね。」
ウイングは笑顔を作る。
「ああ、昨日 キミの友達が闘技場の端で眠ってるよ、って電話があって見に行ったら本当でサ、
んで、ここまで運んでやったワケ。」
キルアも嘘をついていた。
本物の弟のようなズシの前でショックの大きなことは言えなかったから。
本当はサダソ、ギド、リールベルトに人質にされかけたズシを救い、部屋まで運んで応急処置を施したのだった。
「で、あのあと身体は平気か?」
「もう何ともないっス!オス!!」
ズシはこれぐらい何とも無いという素振りで威勢よくポーズを取った。
「あなたたちがいてくれたおかげで、大事に至らずに済んだ。 感謝します・・・・。」
深々と頭を下げたウイングの胸中はおよそ穏やかとは言い難かった。
「いや、ズシを連れ出したのはオレらだからサ、こっちの責任だよ。」
ウイング、ゴン、キルアは平静を装ってはいるが、どこかぎこちない。
まるで、時間が凍りついているかのようであった。
「みなさん、自分を子ども扱いしすぎっス!!」
3人の会話を聞くに堪えなくなったズシが、頬を膨らませて怒りをあらわにした。
子供扱いされるのはもちろん嫌だが、同情されることの方がもっと屈辱的だ。
「ゴメンゴメン。」
ズシの真意を読み取れなかったウイングは、昨日の誘拐未遂事件以後初めて心からの笑顔を見せた。
元気なズシの姿が、ウイングにとって一番の精神安定剤だから。
思わず抱きしめたい衝動に駆られたが、キルアとゴンの前でははばかられた。
空気が緩むのを感じたキルアは本題に入った。
「でさ、ウイングさん。」
「試合の件ですね。 ゴン君からも出場願いが出ています。 希望日は?」
ゴンの眉が上がった。
(そんな・・・!キルアにまで・・・・っ!!)
怒りで身震いがする。
「ゴンさん?」
ズシが不安げにその顔を覗き込むと、ゴンは一瞬はっとした後、笑いかけて見せる。
「何でもないよ。」
キルアはかぶっていた帽子で半分顔を隠した。
それはこれからつく嘘を隠すための行動であった。
自分を偽って生きてきたキルアとはいえ、仲間のために嘘をつくのは初めてで、胸の内では緊張していた。
「6月25日、オレの誕生日!」
瞬間、ウイングは胃の痛みを覚えた。
笑顔は崩れなかったが、その瞳は自嘲と苦渋の光を帯びたものに変わった。
キルアの誕生日が7月7日であることを、ウイングはハンター協会から送られてきたデータで知っていた。
「それまでに体調を整えておきなさい。 今日はもうここまで。」
ウイングはそれだけ言って自分の書斎にもどってしまった。
「師範代!?」
ズシは慌ててウイングの後を追うが、書斎のドアには鍵が掛けられてしまった。
「師範代、どういうつもりっスか! まだ今日の日課やってないっスよ!?」
扉を叩きながらウイングの不可解な行動に抗議するが、返事は返ってこない。
「師範代!!」
ダン、ダン、と扉を叩く音だけが空しくこだました。
「あいつら、キルアにも脅迫したんだ! 腹立つな!」
キルアはルーフバルコニーの手摺の上に両腕を置いて下を見下ろしていた。
「もしウイングさんが試合許してくれなかったら、ズシはもう・・・・・。」
「ウイングの奴、気付いてたみたいだぜ・・・。」
「え、そうなの?」
「ああ、ウイングの態度からして間違いない。」
「・・・試合にわざと負けるってのは(ズシの命がかかってる分)我慢できるけど、
あいつらがまたズシに手を出したら・・・」
「大丈夫。」
「大丈夫って?」
「さ〜てと、今日の昼飯何にすっかな?」
キルアは怪訝そうにしているゴンをよそに、手摺から離れ、
頭の後ろに手を組んでウイングとズシの部屋に通じる階段を降りて行った。
「師範代! 開け下さい!! 何があったんスか!!」
大声を出しつづけて、ズシの声が涸れはじめた頃、ウイングは鍵を開けた。
「ズシ、・・・おいで。」
ウイングはズシを書斎の中に入るように促した。
足を一歩踏み入れた刹那、ズシの身体はウイングの腕に包まれていた。
ズシは驚いて身を引こうとするが、それはかなわない。
「師範代・・!? な・何スか?」
ウイングは何も言わずにただひたすら華奢な身体を力いっぱい抱き締めていた。
「・・・・痛っ・・・・・!、師範代! 放すっス!!」
やがてズシの骨格はみしみしと鈍い音をあげ始める。
耐えかねてウイングのすねを蹴ると、ズシの身体は開放された。
「ハァ、ハァ・・・・、どうしたんスか・・・・・いきなりこんなことして・・・」
肩で息をするズシの言葉を無視し、ウイングは屈んでズシと顔の高さを合わせる。
「・・・・・・・・・・・・・・・!」
ズシはウイングの表情を目の当たりにして戦慄を覚えた。
殺意や害意は感じられないが、どこか身の危険を感じさせる。
お前は誰にも渡さない。
もしお前が誰かに穢されるぐらいなら、
むしろ私がお前を穢す。
ウイングの指がズシの顎を捉えた。
ズシは当惑する。
唇が近づいてくる。
ズシはとっさにウイングの顔を頭突いてあとずさった。
「何するんスか・・・・・!ハァッ、ハァッ・・・・」
ウイングは何も言わずに、震えるズシに近づいてゆく。
「・・・・・・や・・・だ! 師範代・・・どうしたんスか・・・!?」
かすれた声で恐怖を訴え、ウイングから逃れようとさらにあとずさっていく。
ついにウイングはズシを部屋の隅に追い詰め、道着の中に手を滑り込ませた。
「ひっ! こんなことして・・いいと思っ・・・・・!!」
抵抗も空しく、ウイングは接吻でズシの口を封じた。
ズシは何とかウイングの腹に拳を叩きつけて抵抗しようとするが、
その両手首はあっけなく押さえられてしまう。
「ぷはっ・・・! ゲホッ・・・・・。 協会に・・・言いつけるっス!!」
それはウイングに対する最後通告であった。
しかしウイングは表情ひとつ変えずに、ぞっとするような低い声で囁いた。
「それでお前を手に入れることができるのならば、私は構わない。」
ズシは、ウイングの眼鏡の奥に潜む狂気を垣間見て、身体を強張らせた。
「おい、・・・放せよ。」
振り向いた先にはキルア。 後方にはゴン。
「ズシは私のものです。 私がどうしようと勝手でしょう。」
ウイングの指先は、さらに奥深くへと滑り込んでゆく。
キルアは舌を打った。
ウイングの実力がわかっているだけに、下手に手を出せない。
キルアの額に汗が伝う。
その刹那、ウイングの眼鏡が空を切った。
「ズシは物なんかじゃない!!
何で・・・何で、師匠なのに弟子の気持ちが分かってあげられないんだ!!」
ウイングの頬に痣ができている。
数日前、ヒソカに打ち込んだ拳は、ウイングの防御力を上回っていた。
ウイングは何も答えることができず、ただ自分の前に立ちはだかるゴンを見つめている。
「ズシ、もう大丈夫だよ。」
ゴンは向き直って、震えるズシの背中を抱いた。
「うっ・・・・・、ゴンさん・・・・、ひっく・・・・」
「ズシ、泣かないで。」
ゴンの体温を感じたズシは安心して、涙をこぼした。
「こんな状況で、何考えてんの? オレ、あんたを軽蔑するぜ。」
キルアがそう言い放つと、立ち竦んでいたウイングは一瞬目を見開き、
次第に口許に嘲るような笑みを浮かべていった。
「軽蔑されようが、師範代の地位を追われようが、私はこの子を手放すつもりはありません。」
ウイングにとってズシは弟子ではなかった。
もはや、分身であり、希望であり、運命共同体であった。
ウイングは眼鏡を拾うと、ゴンに迫った。
「さぁ、私の大切なものを返してもらいましょう。」
ゴンはズシを抱く力を強める。
「ダメだ! ズシのためにも、しばらくはオレ達がズシをあずかる! 今のウイングさんじゃ信じられない!!」
「あなたがなんと言おうと、力ずくででも返してもらいます。」
ウイングは無理やりズシをゴンから引き離した。
もうズシの目に涙はなかった。
ただ寂しげにウイングに向き直り、消え入りそうな声で呟いた。
「そんなに自分のこと大事に思ってたなら、・・・・・真っ先に助けに来てほしかったっス・・・・・・・。」
ウイングはズシの身体から手を放した。
・・・・・・・・・・・、気付いていたのか・・・・・・・
「師範代のこと・・・ずっと信じてたのに・・・・・・」
そんな目で私を見るな・・・・・・・
見るな・・・・・!!!!
「さようなら・・・・」
ズシは振り返らずに出て行った。
つづく