スクール7 〜試食×破壊×阿鼻叫喚〜

「あなたにだけは絶対負けません!!」
「何とでもおっしゃい! ズシ君の好物も知らないくせに、もう勝った気でいるなんて愚かだわ。
 オーッホッホッホッホ!!」
二人の間にどす黒いオーラが充満している。
「お言葉を返すようですが、昨晩私が作ったシチューをズシ君は美味しいと可愛い笑顔で言ってくれました。」
「それがどうしたっていうの? 私がご飯を持っていってあげるのを忘れて、
 ひもじい思いをしていたから、何でも美味しく感じただけに決まってるでしょ!」
二人とも喧嘩しながらそれぞれの料理をしているので、使う調味料を間違えているのにも気づかず、
それに加え、隙をうかがってはお互いの料理にねりわさびやタバスコなど、危険なものを混入させるので、
恐ろしい味の料理が出来上がっていくのであった。

30分後。

いつの間にか眠っていたズシの前に二つの影。
気配を感じてうっすらと目を開き、むにゅむにゅと目をこする。
かわいらしい仕草でウイング先生は完全に悩殺されてしまい、鼻にティッシュを詰める。
「あ・・・・・、先生、ミトさん・・・・・・・。」

「「さぁ、たんと召し上がれ・・・・」」
ウイング先生とミトさんは不気味この上ない笑いを浮かべて、ズシをテーブルに導く。
「・・・・・自分、そんなにお腹すいてないっスよ・・・。」
「いいのいいの。 食べれるときに食べておかないと、罰が当たるわよ。」
「そうですよ。 ではまず、私のお料理からですね。」
ウイング先生がズシの前に置いたのは、美味しそうな肉じゃが。
しかし、それはミトさんが隙を見て大量のお酢とタバスコ、シナモンパウダーを混入させた、
恐ろしい味の肉じゃがであった。
もちろんそんなことに気がついていないウイング先生は、勝った気満々。

(我ながら美味しそうに出来たものですね。
 ミトさんのいちごパイの生地には、隙を見てコリアンダーとわさびとみりんを混ぜておいたから、
 私の勝ちは確実!!! 勝負の世界は非情ですからね・・・・)

ズシはスプーンでウイングさんの肉じゃがを口に運んだ。
瞬間、酸っぱいような辛いような変な風味に耐えかねて、
胃からさっき食べたお弁当が逆流してくる。
だけど、自分のために一生懸命料理してくれた先生の前で吐き出すのは悪い気がして、
涙ながら何とか飲み込んだ。
「どうです、美味しいでしょう?」
「・・・・・・・お・オス・・・・・・うぷっ・・・」
「どうです、ミトさん、ズシ君は涙を流してまで美味しいと言っていますよ。
 当然あなたの料理はそれ以上なのでしょう? それとも、降参しますか?」
ズシの様子を良く見ず、勝ったと思い込んだウイング先生は、ミトさんを挑発する。
「・・・・・お・おかしいわ・・・」
「おかしい・・・・それはどういうことですか・・・?」
「いや、何でもないの! 気にしないで! それより、今度は私の作ったデザートよ。」
「うわぁ・・・・・vv」
ズシはミトさんに出されたいちごパイに目を輝かせた。
ミトさんの焼くいちごパイは、ズシの大好物だった。
吐き気もどこへやら、ズシはいちごパイを口いっぱいに頬張った。
しかし次の瞬間、やはりというべきか、またもや吐き気が襲ってきた。
無理もない。 ウイング先生が隙を見て、とんでもない味付けを施したのだから。
しかもシャンツァイとわさびのせいで鼻がつんとして、さっきのよりもたちが悪い。
「むぐっ・・・・・・・!!」
「どう、美味しいわよね!!」
今度こそ本当に嘔吐してしまいそうだったが、ミトさんがものすごい顔でにらむので、
顔を真っ青にして、首を縦にぶんぶんと振った。
「・・・・・な・何と!!」
勝ったつもりでいたウイング先生は思わず叫んでしまった。
「なぁに、ウイング先生?」
「い・いえ・・・・・・、それより、これではどちらの勝ちかわからなくて、困りましたね・・・・ハハハ・・・」
「それなら、ズシ君にどっちがより美味しかったか、決めてもらいましょう!」
「そうですね。 お互いに決着をつけなければ気が済みませんから。」

「「さあ、ズシ君、どっちが美味しかった?」」

ミトさんとウイング先生がズシをにらむ。
それどころではないズシは、口を押さえながらトイレに駆け込んだ。
「あ、ズシ君、逃げるなんてダメですよ!!」
「そうよ! 私たちの真剣勝負の決着がかかっているのよ!!!」

ズシはカギをかけ、便器と戯れ始めた。
「おえええっ・・・・・・・・!」



さて、ズシ不在の中、ウイング先生とミトさんがバチバチと火花を散らしていると、

ドカ〜〜〜ン!!

玄関の扉を突破して、すごい勢いでゴンが飛び込んできた。

「ミ〜ト〜さ〜ん!! 助けて〜〜〜!!!」
「あら、ゴン、どうしたの?」
「ゴン君、自宅謹慎のはずだったのでは?」
「それどころじゃないよ!! ヒ・ヒソカが追いかけてくるんだよ〜〜! どこか隠れる場所ないっ?」
必死に助けを求める努力も空しく、ついにヒソカが中に入ってきた。
「う〜ん、ボクのリンゴちゃんは・・・、おや・・・・・・v」
恐怖で膝をガタガタ震わせているゴンを見つけて、ヒソカは怪しく笑った。
「こんなところにいたの、ゴンちゃん☆ ねえ、そんなに震えてないで、ボクとイイコトしようよ・・・・◇」
「・・・・・く・来るな・・・!」
ゴンは尻餅をついた。

「「そこまで(だ・よ)! 覚悟しなさい!!」」

ベタなせりふがハモったと思うと、
必勝のはちまきを巻いたウイング先生と、なぜかセーラー服を着たミトさんがヒソカの前に立ちはだかった。

「もう、せっかくいいところだったのに・・・・◇
 大体何? その格好・・・、日の丸に必勝のはちまきもどうかと思うけど、
 そっちのセーラー服はちょっと考えた方がいいんじゃないかなぁ・・・・、いい加減に自分の年を・・・」
「うっさいわね!! 大体もっと変なファッションのあなたに言われたくないわ!」
「私の生徒に手を出そうなんて、そうはいきません! 覚悟してもらいますよ!!」
「「はっ!!!」」
つい今までズシをめぐって大喧嘩していた二人が、阿吽の呼吸でヒソカに飛び掛った。
「う〜ん、キミ達、そのコスチュームはどうかと思うけど、なかなか強いね〜v
 この分だとボクも楽しめそうだよ・・・◇」
「な・何を言ってるのよコイツ・・・。 大体なんでうちのゴンを追いかけてくるわけ!?」
「彼は問題を起こして、去年退学になったうちの学園の元生徒なのです・・・。
 まさかあの忌まわしき事件がこんな形で・・・。」
「事件って何なのよ!?」


「ふう・・・・・ひどい目にあったっス・・・・・・、って何スかこれ〜〜〜〜!!!!」
ちょうどトイレから出てきたズシは、激変してしまった部屋の惨状に叫んでしまった。
壁が破れ、窓ガラスが割れ、テーブルの脚が折れ、料理とお皿の破片が床に散乱し、
いつの間にかやってきたゴンが尻餅をついて失禁して床に染みができ、
挙句の果てにはこの前襲ってきたヒソカまでいるのだ。
トイレにいっている間にここまでの阿鼻叫喚騒ぎが起こっているものだから、
ズシは一瞬今は封印されている開かずの間にでも迷い込んだのかと本気で錯覚するほどだった。


ウイング先生は沈痛な面持ちでミトさんに語り始めた。
「本当はもっと早く家庭訪問をして、あなたにお詫びをしなければならなかった・・。
 彼は学園にいた頃、ゴン君をストーキングしていたのです。
 それがどんどんエスカレートしてゆき、ついには・・・強姦未遂を・・・・。」
「・・・・・、そんな・・・。 ゴンは何も話してくれなかったわ・・・・・。」
ミトさんはショックの色を隠せない。
「結局、謎の女性が現われそれは阻止されました。
 しかし、私は一人の教師として生徒を守れなかった・・・。
 だから、今度こそは! これは私に科せられた試練なのです!」
ズシは、そんなことはどうでもいいから自分の部屋を荒らすのはやめてほしいと思ったが、
コスプレまでしてノリノリの二人には到底伝わらなかった。

「今度こそ守り抜いてみせる! ヒソカ!! 覚悟!!!!」

ウイング先生はフルパワーでヒソカに向かって行った。
繰り出されたパンチはヒソカの頬をかすめた。
「クックックッ、なかなかやるじゃないか・・・、ウイング先生☆ でもね、その程度じゃボクは倒せないよ♪」
ヒソカは余裕を見せながら、凄まじいオーラを発した。
ウイング先生はとっさに堅をしたのでことなきをえたが、身体がヒソカの念のプレッシャーで押し戻されて行く。
「くっ、これでは立っているのでさえやっと・・・・・・!」
「うわっ!」
ズシは風圧で壁に叩きつけられた。
その箇所が無残にも破れてしまったので、ズシは目に涙を溜めた。
「ううう・・・、自分の家が・・・・。」

「私にだって責任はあるわ! ゴンの保護者なんだもの!」

どういうわけか、ミトさんがヒソカを大いに凌ぐオーラを纏って加勢してきた。

「力を併せればどんな変態でも何とかなるかも知れないわ!
 スウィート・ヴァージン・バズーカ(清らなる美しき乙女の嘆き)!!

「な・なんという強烈な念砲だ・・・。 これなら確実に・・・・・・・勝てる・・・!」

「はぅあっ・・・・! このボクが動けないなんて・・・」
何ということか!あのヒソカが念砲の直撃をまともに食らって腹部を押さえてうずくまってしまった。

ミトさんの快進撃は続く。
ムーンライト・レジェンド(月に代わってお仕置きよ)!
「「うぎゃあ〜〜〜っ!!」」
セクシー・スパンキング(お姉さんが教えてア・ゲ・ル)!!!
「「ぎゃああああああああ〜〜〜っっっっ!!!!」」
ヒソカは断末魔の悲鳴をあげて気を失った。
そして、念が炸裂する度に部屋が壊れていくので、ヒソカの裏でズシも悲鳴をあげていた。


「・・・じ・自分の部屋が・・・・。」
ズシはショックのあまりしゃがみこんだ。




<あとがき>
ついにはズシの家まで壊れてしまいました。
しかも、ウイング先生とミトさんが手を組むなんて・・・・・。
最悪のコンビが誕生してしまいました。

自宅謹慎中だというのにホームレスと化してしまったズシは!?
乞うご期待!!

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