お化け×添い寝×おやすみ
ある日の夜中、ズシが枕とうさぎのぬいぐるみ持ってウイングさんのところにやってきた。
「・・・・師範代・・・・・・・・・・///////」
ズシは情けないような恥ずかしいような表情を浮かべながら、もじもじとウイングさんを見上げている。
「どうしたんですか、こんな時間に。」
「あの・・・、師範代と一緒に寝てもいいっスか・・・?」
ウイングさんは耳を疑った。
「ね・寝る・・・・!?」
びっくりしたように聞き返すと、ズシは顔を真っ赤にしてぶんぶんと首を横に振る。
「そ・そうじゃなくって・・・///////////! 怖いテレビ見ちゃって・・・、その・・・・」
(何だ、そういうことか・・・・)
一瞬膨らんだピンク色の妄想がプシュ〜っと萎んでいく。
「独りで寝るのが怖いんですね?」
「・・・・・・・オス・・・。」
念を押すように言われて、ズシは情けなさそうにうつむいた。
(・・・お化けが怖いなんて、可愛いですねvv)
少し意気消沈したのもつかの間、またひとつズシの新しい一面を発見して、微笑ましい気持ちになる。
「いいですよ。 今パジャマに着替えてくるから、先にベッドに入ってなさい。」
中腰になってズシの顔の高さに合わせ、頭を撫でてやるとズシは頬を少し染めてコクンと頷いた。
ズシは言われた通りにウイングさんのベッドの中にもぐり込んだ。
まだ毛布もシーツも暖まってないけれど、ウイングさんの匂いがしてちょっとだけ安心する。
けれども、なかなかウイングさんが来ないので、
やっぱり段々怖くなってきてすっぽりと布団を頭からかぶってしまった。
(・・・師範代、早く来てっス〜)
それから少しの間小さく丸まってプルプル震えていたら、ふと背中にウイングさんの気配を感じた。
「・・・い・いつの間にいたっスか?」
情けない姿を見られていたのに気付いて、声が変に裏返ってしまう。
「ほんの少し前ですよ。 布団をめくったら小動物みたいに震えてたから、可愛くてつい見つめてしまって。」
ウイングさんはズシの情けない表情に目を細めている。
「・・・・////////////」
「これを飲めば少しは落ち着きますよ。」
「・・・ありがとうっス。」
ウイングさんはホットミルクの入ったマグカップを渡した。
どうやらこれのためにベッドに来るのが遅れたらしい。
ズシはふうふうと冷ますようにしてミルクをすすりだした。
カップから上がった湯気の熱で頬がうっすらと染まっているのが可愛らしい。
「はふぅ・・・、ん、何スか?」
じーっと見つめていたのに気付いてズシが顔を上げた。
「ん〜? 可愛いなあと思ってねv」
「もうっ、変なこと言わないでっスよ/////////」
ピンク色だったほっぺが真っ赤になった。
「本当のことだから仕方ないでしょう。」
ウイングさんは悪びれた様子もなくそう言って、ズシの頭を撫でた。
よく刈り込んであるけれど、もともと柔らかい髪質なので撫で心地がいい。
「子ども扱いしちゃいやっス///////!」
なかなか撫でるのをやめないので、ズシが頬を膨らませた。
「ふふ、ゴメンゴメンv」
「もうっ・・・・・・・」
(・・・・・・ホント、こんなに可愛い弟子が来てくれてよかったvvv)
ズシの素朴な愛らしさにすっかりのめり込んでいるウイングさん。
「ほら、もうそれくらいにしておかないと、オネショしちゃいますよ。」
「いやっス、全部飲むっス。」
ほんのちょっとしたことでへそを曲げてしまったズシは、
ウイングさんがマグカップを取ろうとすると抵抗した。
「困りましたね・・・。 トイレに行きたくなっても知りませんからね。 一人で行くんですよ。」
「だから、子ども扱いするなっスよ///////」
ズシはプンプン怒ってそっぽを向いて丸まってしまった。
(怖いから一緒に寝てくれ、って来たのはズシの方なのになあ・・・・)
ウイングさんは心の中で苦笑いしてズシの隣に寝転がった。
「へへ・・・・・////////」
ふとズシがくすぐったそうに笑った。
機嫌は直ったようだ。
「・・・・どうしたんですか?」
「・・・あったかいっスねv」
くるっとウイングさんの方に寝返って、照れ笑いする。
(か・可愛い・・・・vv!)
思わず頬が盛大に緩んでしまう。
「師範代といるとなんかほっとするっスv」
そう言ってズシはウイングさんの腕に抱きついた。
(わ・私はズシといるとムラムラするんですが・・・・・vv)
右腕から暖かくて心地良い柔らかさが伝わってきて、変な気持ちがしてくるウイングさん。
追い討ちをかけるように、洗い立ての石鹸の匂いに混じってほんのりと甘い匂いが鼻をくすぐってくる。
「わっ・・・、何スか////////!?」
ウイングさんは気付いたらズシの小さな身体を抱きしめていた。
「おやすみのキスですよvv」
桃色に染まった柔らかなほっぺに唇を押し付ける。
「////////////」
「ほら、ズシもvv」
「え・・・お・オス///////」
ズシは少しためらってから、ウイングさんの広い額に唇をつけた。
「よくできましたvvv おやすみ。」
「////////////」
身体を放して頭を撫でるとズシは耳まで真っ赤にしてしまった。
ぱちっ・・・・
「・・・・・・・・・・・・・・・」
しばらくしてズシは目を覚ました。
(・・・・・・トイレ行きたくなっちゃったっス・・・)
ズシはベッドから降りて、ドアを開けてトイレの方を覗いた。
真っ暗。
いかにも何か出そうな不気味な気配。
怖いのと、オシッコしたいのでズシはぶるっと震えた。
(どうしよう・・・・・)
一人じゃ怖くてとてもトイレまでたどり着けそうにない。
でも、「トイレに行きたくなっても知りませんからね。 一人で行くんですよ。」、という
さっきのウイングさんの言葉が頭の中をぐるぐる回って、ウイングさんを起こすこともできない。
(・・・・・・うぅ〜・・・、トイレくらい一人で行かなきゃ、情けないっスね。)
ズシは意を決して、拳を握り締めて真っ暗な廊下に出た。
ガタ・・・・・!
風で奥のリビングの窓が震えた。
「ぎゃ・・・・・!」
臆病になっていたズシは、びくぅ!と身体を大きく震わせた。
「うわ〜ん、しはんだい〜〜〜!!」
ズシは半べそで叫びながら寝室に駆け込んだ。
「・・・・・ん〜、何ですか・・・、こんな夜中に騒々しい・・・ふあぁ」
目をこすりながらウイングさんは半身を起こした。
「で・出たっス!!!!」
「出たっ・・・て、何が出たんですか?」
「お化けっスよォ〜〜!」
ズシは泣きながらウイングさんにしがみついた。
どきっ・・・・!
ズシの側からすれば非常事態なのにも関わらず、ウイングさんは胸をときめかせてしまう。
パジャマ越しに、マシュマロみたいなズシの肌の柔らかさが伝わってきたのだから無理もない。
「・・・よしよし、怖かったねvv」
ウイングさんはズシを軽く抱いて、坊主頭を撫でた。
「・・・・・・・・・」
ズシが少し安心したのを見て、ウイングさんは口を開いた。
「ということは、もしかして、トイレに行けなかったのかい?」
「・・・・・・・////////」
図星を指されたのと情けないので、ズシは顔を真っ赤にしてうつむいてしまった。
「ついて行ってあげるから、もう一度行きましょう。」
ウイングさんが諭すように言うと、ズシはコクンと頷いた。
「ほら、大丈夫だよ。 お化けなんて、相当上手く凝をしなきゃ見えないのだから。」
「・・・・・・ん。」
ウイングさんはズシの両肩に手を置いて、押すようにしてトイレに連れて行く。
「あ、あの・・・、ちゃんとここで待っててくださいっス・・・・。」
ズシはトイレの扉の前で不安そうにウイングさんを見上げた。
「ええ、なんならドアを開けたまましますか?」
「ええっ/////!? ダ・ダメっス/////////!」
ウイングさんがとんでもないことを言うので、ズシは耳まで染めてしまう。
「冗談ですよ。」
ウイングさんはホワンと笑ってズシをトイレに入れて、扉を閉めた。
怖がるズシの様子があまり可愛らしいので、つい意地悪してしまうのであった。
すっ・・・・・・
意地悪心に火が付いたウイングさんは、わざと絶をした。
「わ〜〜っ・・・・! 師範代、行っちゃいやっス!!!」
その途端ドアの中から涙混じりの叫び声がした。
ウイングさんはそのまま絶を続けた。
やがてドアのノブが回って、ズシが出てくる瞬間、
「わっ!!」
ウイングさんはズシを驚かせた。
「ぎゃあああああああああっっ!!!!!」
ズシは耳をつんざくような大声で驚いて、廊下の床にぺたんとしりもちをついた。
「し・しししし・・・しはんだい・・・!?」
胸を押さえて肩で息をしながら見上げるズシは、目に涙を浮かべ、ほとんど泣きそうになっている。
「いやいや、ここまで見事に引っかかるとは・・・vvv」
ウイングさんが嬉しそうに言うと、ズシは目をうりゅうりゅさせて、泣き出してしまった。
「ひっく・・・・ひどいっスよ・・・・・・ぇぐっ・・・いぢわるするなんて・・・・・」
「ああっ、ゴメン・・・、まさかそんなに怖がってたなんて・・・。 ズシが可愛いものだから、つい・・・・。」
ウイングさんは思ってたよりも深刻な反応に慌てて、
機嫌を直してもらおうと、水色のパジャマの袖で目をこすっているズシの体を優しく包んだ。
「ゴメン、何でも一つおねだりを聞くから、許してくれるかい・・・?」
「・・・・・、何でもっスか・・・・・・・?」
ズシは涙で潤んだ目でウイングさんを見上げた。
「ええ。」
ウイングさんはズシに応えるように微笑んだ。
ベッドに戻って、ズシは恥ずかしそうに頬を染め、消え入りそうな声でおねだりした。
「・・・・・もう1回、おやすみのチュウしてっス////////////」
ウイングさんは、ズシがあまりにも可愛らしい仕草でそんなことを言うので、クラクラと眩暈を感じた。
(・・・・・・・・ああ、可愛すぎるvvv)
「ええ・・、じゃあほっぺを出してvv」
「ん・・・///////」
ズシは言われた通り、柔らかな頬を差し出した。
ちゅ・・・・
ウイングさんはそっと頬に口付けた。
唇に残るズシの頬の柔らかな弾力余韻に浸る間もなく、
「しはんだい///////vv」と、ズシが嬉し恥ずかしといった様子でウイングさんの腕に抱きついてきた。
またウイングさんにピンク色の感情が涌いてきたころ、抱きつくズシの力がふっと抜けた。
「すー・・・・・すー・・・・むにゃ・・・・。」
ズシはすやすやと眠っていた。
(まったく、人の感情も考えずに・・・・・)
ウイングさんは苦笑いを浮かべてから、すぐ優しい笑顔になって囁いた。
「おやすみ、ズシ。」
あとがき
ほのぼのしたお話を書こうと思ったら、
砂を吐けるくらい甘いお話に・・・・!?
どこから狂ったかな〜・・・・?
どうでもいいけど、うちのHPのズシって甘えん坊すぎだってことに今ごろ気付きました。
ズシのキャラじゃねぇ〜〜・・・・