2章 恐怖、NSW。

あれは…働き始めて3日後のことだったろうか…

いよいよ商品の製作に入ろうかという時期だった…。それが出会いだったような気がする…。

彼は、そこに居た。

「おはよう!」と声をかけてきた彼は、紙の帽子をかぶっていてなんだか 偉そうだった。いや、実際偉いんだけど。

でも、ここだけの話。正直思った。なんでこんなに元気なのかなーって。

危ないクスリやってんじゃねぇのか、コイツ? なんて思ったわけではない(笑)

仕事が始まり彼から仕事を教わるわけだが、ちょっと疑問が沸き起こる。

さっきから「これ、できる?」じゃなくて「これ、やってね」って聞こえるんですけど…

新人になにを求めておいでですか? もしできなかったらどうするおつもりですか?

彼ならきっとこう答えるだろう。

「できませんじゃないよ。やって」

無理だっちゅーねん(泣)

ええ、そういう人なんです。彼は…

彼といえばこんな話もありました。

話のきっかけは忘れてしまったけど、毒舌の話になりました。俺、言ったんです。「俺は毒舌家ですよ」って…

そしたら「ちがうよ、毒舌ってのは前向きで無ければダメなんだ」って断言されました。

どこの出身の方ですか?

ブエノスアイレスあたりでしょうか…

毒舌をその定義にすると日本中の毒舌家が廃業してしまうのですが…

まあ、彼には彼の言い分があるのだろう。まさか大学生(当時)なんだし、 日本語の意味知らないってことは無いだろうからねぇ、まさか。

後はイベントでクソ忙しい中、皆の写真を撮っていたこともあったなぁ…。 思い出を残したいのはわかる。わかるが、だ。

皆一所懸命働いてんだからお前も働け!

なんて思われても当然だよね。

店がヒマになると道まで旗を振りに行ってたなぁ…。あれ以来ウチの店では旗を振るときは彼の許可が要る という裏ルールが出来たんだよなぁ。って 作ったの俺だけどね(笑)

ってか旗は彼が居なくなってから一回も振られてないし(爆) 当然居ない人に許可取りに行けないし。

なんかいろいろ良くないことばっか書いてきたけど、結構良い人でした。 彼が就職してから一回奢ってもらったし(現金)

いや、本当に良い人でしたよ。

走り出したら止まらない暴走列車だったけどね(笑)

そのせいで いろいろ しちゃったのは内緒にしときますね(笑)

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