可愛いご主人様



──これは、ある家庭のご主人様を愛して止まないメイドさん(鬼畜)の愛情に溢れた一日の記録である。



 ──朝です。
 メイドさんの朝は早いです。
 ご主人様より先に起きて、夏は冷房、冬は暖房のスイッチを入れて、朝の御飯を用意して、ご主人様の着替えや洗面用具の準備を整えて、ご主人様を起こすのです。



am5:30

 メイドさんはバッチリ目を覚まします。
 そして、傍らにあるご主人様の寝顔を堪能するのです。
 メイドさんは、ご主人様が大好きです。
 その、清楚で可憐で愛らしくて、笑顔の可愛いご主人様を見ていると、可愛さあまって憎さ百倍(笑)。苛めたくて苛めたくて、昼も夜も関係無しで可愛がりたくて仕方がありません。
 昨夜もメイドさんのご奉仕(苦笑)のおかげで、明け方近くまであんな事やこんな事を泣いても頼んでも許してもらえずに好き勝手にされていたご主人様は、死んだように眠っています。
 …眠りの浅いご主人様に、深い眠りをと言うメイドさんの配慮が窺えますねv(と、言う事にしておきましょう)
 そんなご主人様のまだ涙の跡の残る寝顔を見ていると、もっと泣かせてみたくなるのですが、そこはぐっと堪えて、その柔らかな唇にキスを贈ると、寝台を抜け出します。



am6:20

 朝食の仕度も滞りなく済ませたメイドさんは、ご主人様の寝室を訪れます。
バンッ!!
 と、派手に扉を開けて、第一声。
「オイ!いつまで寝てやがる!?起きねぇと、犯すぞ?」
 …これがこのメイドさんなりの愛溢れる朝の挨拶なのです。
 毎朝健やかな目覚めが訪れそうですねv(多分)
 誰のせいでご主人様が朝起きて来られないのかを、いまいち解っていないと言うか、あえて無視しています。
 そして、ご主人様も、起きないと本当に襲われる(笑)ので、ガバッと飛び起きます。
「…あ…おはよう…ございます…」
 可哀想に、ご主人様はまだ辛そうです。
 メイドさんは、そんなご主人様の少し肌蹴た白い胸元に覗く紅い花を見て、満足そうに笑います。
 が、朝からそんなに可愛い姿を見せられて、黙っていたら、メイドではないと(笑)、早速ご奉仕に励もうと手を伸ばします。
 その手がシャツに触れた瞬間、ご主人様の体がビクッと強張ります。
「あっ…あのっ!僕…」
「何だ?」
 必死になってシャツの前を掻き合わせて嫌々と首を振って抗議するご主人様を、睨みます。
「シャッ…シャワー浴びてから、御飯に………だから…」
 『やめて下さい』と言いかけたご主人様を見て、メイドさんの目が妖しく光ります。
「…成る程…たまには風呂場でもいいか…」
「へっ!!?」
 ニヤリと笑うと、お風呂場での御奉仕に励むべく、逃げようとするご主人様の細い腰を捕まえて、抱き上げて、お風呂場に直行です。
 メイドさんのお仕事は力仕事が多いので、毎日鍛えています。
 可愛いご主人様の抵抗なんて、無いのも同じで、脱衣所に着くと慣れた手付きでご主人様の服を脱がして行きます。
「あっ…嫌っ!やぁっ……」
「暴れるんじゃねぇ」
「ひゃっ!?一人で洗いますからっ!!」
「遠慮するな」
 ご主人様の身体の隅々まで時間をかけてたっぷりと洗ってあげます。
 勿論、ご奉仕も忘れません。
 メイドの鏡ですねv(だと思う)
 朝からお風呂場ではご主人様の可愛らしい泣き声が響いていました。



am7:30

 メイドさんは、時間配分をきっちりしています。
 いつもの時間に、ご主人様が朝食を摂れるように、入浴後の着替えもキチンとしてあげました。
「…頂きます」
 心なしか元気がないように見える(苦笑)ご主人様の為に、メイドさんは朝から腕によりをかけてテーブルいっぱいに滋養強壮効果の高い(爆笑)食事を用意しました。
 けれども、元から食の細いご主人様は、すぐに箸を置いてしまいます。
「…もう食わねぇのか?」
「あ…はいもう……っ!?」
 これからお仕事に出ると言うのに、これでは体力が持たないだろうと考えて、メイドさんは、料理を食べさせてあげる事にしました。
 まるで子供に離乳食を与える狼のように、少し噛んで柔らかくした料理を、口移しでご主人様に与えます。
「んんっ…ゃっ…やめっ……んくっ」
 身を捩って逃げようとする照れ屋さん(メイドの見解)のご主人様を、自分の膝の上に座らせて、何度も口移しで料理を食べさせてあげます。
 愛情の深さが窺えますねv(そう思いましょう)
 こうして今朝も、メイドさんの愛溢れる料理を口にしたご主人様は、お仕事に出かけて行くのです。



am9:50

 ご主人様を送り出した後は、メイドさんの本領発揮の時間です。
 掃除洗濯を手早く済ませると、日用品や食材の買出しに出かけます。
 ついでに(あくまでついでに)ご主人様の職場である小学校に忍び込み、ご主人様に悪い虫がつかないかどうかを監視する事も忘れません。
 …小学生が成人男性に何をすると言うのかと言う突っ込みを、メイドさんは一笑に伏します。
曰く
「ガキっつっても、近頃の11〜2歳の連中なんざ、大人と変わらん。婦女(!!)暴行ぐらい、やってのけるぜ?」
 言葉の節々に、ご主人様への並ならぬ愛情が窺えますねvv(愛です)
 今日もこっそりと植え込みの影から、ご主人様の担当している三年生(8〜9歳/笑)の教室を覗き見します。
 教壇に立って、生徒に笑顔を振り撒くご主人様は、今すぐにも飛び出して、ご奉仕したいほどに愛らしいのですが、男女問わずにその最高の笑顔を振り撒くご主人様に、ふつふつと怒りが湧き上がります。
(誰某構わず、愛想振り撒いてんじゃねぇよ…ガキっつっても男だぜ?)
 …男と言ってもお子様なのですが、ご主人様命のメイドさんには、乳幼児もご老人も関係ありません。
(…今夜はフルコースだな…)
 この場合のフルコースとは料理の事ではありません。
 愛情溢れるご奉仕で、料理されるのはご主人様です。(酷)

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 一方こちらは教室内です。
 窓際の席の女の子が突然泣き出しました。
「どうしたんですか?」
 慌ててご主人様が駆け寄ります。
 女の子は、窓の外を指差して泣きじゃくっています。
「あそこっ!また怖い人がいるのぉ〜…ふぁ…」
 ……メイドさんは、生徒さんの間では『怖い人』で有名です。
 大好きな先生に近寄ると、その人にとても怖い目で睨まれるからです。
 男の子には、ゴム鉄砲(輪ゴムを指に引っ掛けて飛ばすあれです)が飛んでくるので、ご主人様の担当クラスの男子生徒は、怪我が絶えません。
 一人が泣き出すと、皆が怖がってしまって、教室内には泣き声が広がります。
「怖い人……?誰も、いませんよ??」
 ご主人様が振り返るのと同じタイミングで身を隠し、視線が外れるのと同時にまた生徒達を睨み付けると言う離れ業をやってのけるメイドさんの存在を、ご主人様は気付いていません。
 ……いませんが、毎夜の手荒なご奉仕の最中に『いい顔ばかりしてんじゃねぇ』とか『ガキ共に愛想振り撒いてんじゃねぇ』等と言われて酷く疑問に思っていたりもするのですが、大抵そう言う時は意識が朦朧としているので、問い詰める事も出来ないのです。

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 こうして、夕刻まで小学校の近辺で目を光らせていたメイドさんは、今日も家路に着きます。



pm5:30

 大好きなご主人様の為に、心を込めた夕食を用意し、お風呂にお湯を満たして、洗濯物にアイロンまでかけて、後はご主人様の帰りを待つだけのメイドさんです。
 ふかふかのベッドに真っ白なシーツを敷いて、ポスン。と座り、今夜、この上でどんな風にご奉仕しようかと、考えます。
 とにかく今日も、皆に笑顔を振り撒いていたご主人様にお仕置きをしなければなりません。
 優しいばかりではなく、時には厳しくご主人様を見守っている素敵なメイドさんですねv(何処が優しいか、100文字以内で答えてください)
 と、玄関から物音がします。
 メイドさんはいそいそと立ち上がり、お出迎えに行きます。
「只今戻りました」
「…遅い!」
 時計を見れば、もう6時です。
 真っ直ぐに帰ってきたら、5時45分には戻って来れる筈です。
 思わず怒ったメイドさんの声を聞いて、ご主人様はビクッと震えます。
「あ…あの…来週編入して来る生徒さんの保護者の方とお話を…」
「…笑ってねぇだろうな?」
「え?」
 ご主人様の笑顔は、その気の無い人もその気になるぐらいに凶悪に可愛らしくて、メイドさんはいつもハラハラしています。
 答えないご主人様に、ちょっとお仕置きをしようと、その肩を掴んで引き寄せます。
「笑ったのか?」
 唇がくっつくぐらいの近さで、ご主人様の唇をなぞって尋ねます。
「…っ…そ…それは…だって……」
 カタカタとご主人様が震えます。
「笑ったんだな?」
 お仕事だから、仕方がないと解っていても、ご主人様の笑顔を独り占め出来ないのはメイドさんの辛い所です。
 震えながらコクン。と頷くご主人様の顎を捕らえて、キスをします。
「んんっ」
 ギュッと閉じられたご主人様の目からぽろぽろと涙が零れます。
 ちょっと可哀想かなとも思いますが、何かあってからでは遅いのです。
 だから、今日もご主人様を教育します。
 とっても偉いメイドさんですねvv(これも愛です)



pm9:30

 メイドさんは、今日も一日頑張りました。
 御飯も、お風呂も、後片付けもちゃんと済ませて、良い子の眠る時間には、(かなり無理矢理)ご主人様を寝室に連れ込みます。
 これからは、メイドさんの一番楽しみなご奉仕の時間です。
 覗き見したら撃たれますので、この辺でお別れしましょう。



 メイドさんは、明日もきっと頑張りますv
 お休みなさい。


★言い逃れ★

※この作品は、鬼畜メイド支援隊設立前に書かれたものです※
………逃げます。
いや。本当に、逃がしてください。
なんて凄い物を書いてしまったのでしょうか?(^^;)
さて、誰と誰…って、バレバレですか?(苦笑)
悟空じゃないのは確かですね。
って、言うか、三蔵!!(ばらすな)
どっちがご主人様だか…
ご主人様すっかり怯えてますよ。
恐るべし。メイドさん。
こちらの小説は、籠様のサイト開設記念に貢がせて頂きました。
使いまわしですいません。(T-T)

それでは、殺される前に逃げます。

2002.01.03(母の誕生日) 鬼灯

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