ぼくのココロは壊れたままで
ほらまたひび割れた。
ねぇ、きこえないフリをするのはもうよしてよ。
***
ぼくらの未来は回り続ける。ただひたすらに。
どんな根拠もなく、誰の約束もなく。
からからからから
乾いた音。よどみない回転速度。
描く緩やかなサインカーヴはきみに続くって信じてた。
この鼓動が止まるその瞬間きみに届くっておもってた。
自分勝手なきみは自らの呼吸を止めてオレの欲望をあざ笑う。
いっそおもいでごと連れていけよ。ばかやろう。
***
夕映えの野球場にもう子供たちの姿はなくて、散水車の影が揺らいでは明日を歪ませる。
からからからから
もう訪れることのない日々。
もう笑うことのないぼく。
もう抱きしめないカラダ。
忘れえぬ肩を、指先を、甘い香りを、忘れながら生きてゆく真実。
矛盾と煩悶。
赦されぬ、安らかな日常。
残されるひとりのよるに墜落したのは記憶の深淵。
戻れない穏やかな場所でこのまままぶたを閉じてしまえれば。
裁きの日が訪れるのはいつ?
ほんの少しだけ怠惰に、それはひどく自堕落に、オレはその日を待つ。
明日があるなら。明日が赦されるなら。
明日なき存在に託される真実などもうなにもない。
あるべき場所にすべてが忘れ去られて、簡単な合図でおそらく完全にぼくらを閉じる。
記憶は消されて、それでも不意に襲う胸の痛みでぼくらは彼らの片隅に残るかもしれない。
でも、それだけのことだ。
***
夕陽で焼きつけた日光写真みたいな、曖昧で漠然とした彫像。
表面に縫いつけた残り香の色でオレを忘れた世界のすべてに絶望の影を落とせ。
からからからから
この身に抱くのは彼の絶望と祈り。
殺したいくらいあいしてた、なんてたぶん全部ウソだ。
裏切りで塗り固めたコンクリートは知らぬ間にはがれ、オレはひどく不自然な姿勢で泥の海に落ちる。
たかがそれだけのことじゃないか。
なにを傷つく? なにを泣く?
必要のない感情なんてせめて今だけは捨てちまえ。
***
雲をつかむように、あいを語るように。
泣いてるみたいに笑いながら、まだ誰も知らない最終章の電波を投げながら。
無力なオレを嘆くのは誰?
無力なオレを呪うのは誰?
ココロなど失くしてしまったオレにはもう関係のない話だけれど。
からからからから
***
からからからから
からからからから
***
"crack"