田畑を赤く染める炎、そんな風に見えて目を細めた。
太陽みたいに、燃える赤。尤も太陽の色は赤と言うより私の纏う色だと言われる国も多いみたいだけど。
もう纏うこともなくなったスーツの色は、何故だかその後も自分のトレードカラー。
向日葵とか蒲公英とか、黄色いチューリップとか、そんな花が似合うねと、言ってくれたのは誰だったかな。
多分舞ちゃん、凌駕さんも言いそうだな、幸人さんは…多分言わない。
近付けば実る稲穂と、一輪だけ見ると花火のようにも見える赤い花。
引き寄せられるように茎に手を添えて、軽く力を入れようとしたその瞬間に、軽く手を押さえられた。
「やめとけ」
振り返れば翻る、目にも鮮やかな白いコート。驚くより何より思わずくすりと笑いが漏れてしまった。
「来たんだ、やっぱり」
「…悪いかよ」
「ううん、来るならやっぱり故郷なんだなって」
「んなことどうだっていいだろ、それより放せよ手ぇ切るぞ。持って帰っても水上がり悪いから直ぐ枯れる」
小ばかにするみたいな言い方があまりに変わらなくて、腹が立つより何よりも、懐かしくて笑ってしまう。
あんまりくすくす笑ってばかりでいたら頭を叩かれた。軽くじゃなく確りと。結構痛かったから叩き返してやったら馬鹿力と睨まれた。
幽霊にも痛覚があるのね、と言ったら彼岸だからなと答えにならないことばが返ってきて、何処か見当違いのそれにまた笑いが止まらなくなった。

化けて出てくるなら皆一緒に居るところに来てくれればいいのに。
そんなことぽつり呟いたら「お前等揃って一緒になんかいねぇだろ」と鼻で笑うあたりがむかついた。
「順番に来ればいいじゃない、皆のとこ」
「ばーっか彼岸は一日だけなんだよ」
「だって壬琴さん移動距離関係ないでしょ、ひとりひとりのとこ回っても交通費かかんないし」
「めんどくせぇんだよ、だったらお前等ひとつっところに集まってやがれ」
「じゃあ来年はそうする、皆に声かけて集まって」
「本気にすんじゃねーよばかばかしい」
「何よ、人が折角!」
「…もういねぇ人間のことばっか考えんの、馬鹿らしいだろ」
また軽く鼻を鳴らす、その表情に思わず頭に血が上った。
…違うかも、胸どんって突かれたようなそんな気持ちが半分。目の奥が熱くなるような。
「…壬琴さんは、いるもん」
風に揺れるコートの裾を掴む。こうして触れられるのは今この時だけかもしれないけど、それでも。
「あたしたちの心の中にいて、消えないもん。凌駕さんも幸人さんも、アスカさんも、えみぽんも舞ちゃんもスケさんも…皆忘れないし、忘れられないよ!」
忘れることなんかない。時が経って、あの頃みたいに武器を手にして戦うことがなくなっても。壬琴さんって言う人が、仲間が居たこと。

泣くんじゃねえよ、と少しばつの悪そうな声が上から降ってくる。泣いてないもん、と言えば説得力のねぇ声、と笑われる。
視界が滲んだのは、柄にもなく頭を撫でる思いのほか優しい指と、仕方なさそうに手折ってくれた彼岸花の鮮やかさが目に痛かった所為なんだ。もうちょっとしたら、そう言ってやろう。そしたらどんな顔するだろうか、考えるのが少し楽しくなって、小さく笑った。


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長らくweb拍手お礼文章でした。みこっちゃんとらんるちゃん。
みこっちゃんが生きてたら確実に喧嘩友達だったと思われるこの二人が大好きです。

こんなの書いちゃったけどみこっちゃんは実は生きててどっかで小児科医とかやってる説を取りたい私。
よりによって小児科。赤青黄+舞ちゃんにめっかって慌てるがよいわ!(愛)



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