〜あらすじ〜
全国に散らばる１２人の少女達に会いに行った俺、よっしー（デフォルト不能故ＭｙＨＮ使用^^；)
しかし、東京へ帰ってきた俺が、死神≠ﾉ宣告された運命とは、
ここ２，３年以内の死
それを防ぐ唯一の手段、自分自身と自分をとりまく運命の出会いの１２人の少女達、
その運命の螺旋をねじまげて、運命自身を脱線させること。
そのもっとも手っ取り早い手段、それは――
女の子達に、今まで自分に対してもたれてない新たな感情を植え付けること。
まーよーするに何だ、エッチな出来事を共有しろとのことなのだが（笑）
「まあ、死なんで済む上に、あの娘たちのあられもない姿を拝めるのなら
願ったり叶ったりなんだけどなあ……」
ともかく後には引けない主人公は、運命の車輪を歪めに走るのであった。
――さて！
センチメンタルアダルティ――安達妙子編・VOL.1「勝手知ったる……」
「いい天気ですねえ……」
「……今は雨だ。」
相も変わらず運命の履行者として俺の部屋に入り浸る死神だったりするが、
「そろそろどこかに出かけてみましょうか？」
死神とは思えないほがらかな笑顔で語り掛けてくる死神。
「今の季節なら、青森あたりがいいかもしれませんねぇ……」
「（妙子……）」
一番長く共にいて、一つ屋根の下にも住んでいた少女。
「（こないだ会った時は元気そうだったけどなあ……）」
などと思いながら、俺は電話をかける。
『はい、安達ですけど。』
「あ、妙子？」
『よっしー！どうしたの今日は？』
「実は今度、青森に行こうと思って……」
『本当？本当にきてくれるの？』
「ああ……」
『じゃあ遊びに来てよ！ごちそうしてあげるから！』
「え、いいのか？」
『当たり前じゃない？じゃ、今度の休みでいいの？』
「ああ、お邪魔するよ。」
『何言ってんの水くさい。じゃ、待ってるね！』
「青森か……」
またえらく遠出の旅。だが、なんとなく気分が高揚するのは何故だろう。
――そして約束の日、青森。
「お帰りなさい！」
見ているこっちが嬉しくなりそうな笑みを浮かべ、妙子が俺を出迎えてくれる。
「（お帰りなさい、か……）」
妙子は俺が来るたびに、必ずその言葉を使う。
その言葉を聞くたびに、なんともいえない思いが俺の心に宿る。
「ねぇ、今日はお父さんとお母さんが旅行に行ってていないんだ。今日は泊まっていってよ！」
「え？」
「１日だけなんだけど……、ほら、男の人がいたほうが心強いし！
純じゃまだイマイチ頼りになるってわけじゃ……」
「そうか？純くんだって頼りになるとは思うけど。」
「あーまだまだ！それよりも本当に泊まっていってよ！こっちもその方が楽しいし、ね？」
押しかけてきた上、一宿一飯の世話にまでなるってのは、と思っていた俺であったが、
妙子の押しに負けて、結局了承することに。
「決まり！今日はとびっきりのお味噌汁、作ってあげるからね！」
「ごちそうさま！すっごくうまかった！」
その日の夕飯、俺は本当に久しぶりにおふくろの味≠ﾆいうのをいただいた。
ひいき目無しに言っても、妙子の料理は本当においしく、そしてあたたかい。
腹一杯夕飯をたいらげ、人心地ついて、つい寝っころがってしまう俺。
その横から、妙子が食器を片づけている。
「あ、俺も手伝うよ。」
さすがに食うだけ食わせてもらって、手伝いもしないというわけにはいかない。
「あ、いいのいいの、ゆっくりしてて！」
そんな俺を妙子が制止する。
「でも、飯までごちそうになってだな……」
「いーの！男の人は台所に行かないの！さ、ゆっくりしてて。」
妙子の強い調子に、つい圧されてしまう俺。
仮に妙子と一緒になれば、確実に尻に敷かれることはうけあいだなと思いながら。
「そーそ、お兄ちゃんはゆっくりしてればいいの。」
「……純。あんたは手伝いなさいよ。ほら、早く！」
……言ってることが微妙に違わないか、妙子？
「ふう、人心地ついたな。」
そーゆーわけで、俺と純君は居間でテレビなどを見ていたりするわけなのだが、
妙子はといえば……
「よっしー、お風呂湧いてるけど入らない？」
さっき飯を作ったばかりだと言うのに、今度は風呂まで沸かしてくれたのか？
「なあ妙子……少しくらい休んだらどうだ？」
「いいの！今日はそういう気分なんだから……」
そう答える俺ににっこり笑いかける妙子。
「じゃあせめて、お前が先に風呂に入れよ。」
「え……、私が……？」
何故かうろたえる妙子。
「わ、私は一番最後でいいわよっ……」
「いいから、俺こそ最後でいいよ、汗さえ流せれば。」
「で、でも……」
「な、先入れよ。」
「……………………いいの？」
「うん。」
そう俺が言うと、迷いが晴れたような表情で、
「……じゃ、お先に失礼するね。」
そう言って、居間にかわかしておいたバスタオルを持って出て行く妙子。
出ていき際、チラ、と俺の方をやや睨むようにして、口を開いた。
「……の、覗いたら承知しないからねっ！」
「（……妙子のヤツ、相変わらず男の心理というものをわかってないな……）」
そういうことを言われると、その気がなくても覗きたくなるのが男というものだ。
幸い、安達家の構造は大方知り尽くしている。
伊達に４年も住んでいたわけではない。
後残る問題は……
ちらっと横目で純君を見ると、彼は腹がいっぱいになったのか、安らかな眠りについている。
「（……よし。）」
抜き足差し足忍び足。
いざ俺は、禁断の領域に向かった。
「フンフン〜♪ フフ〜♪」
脱衣所に忍び寄ると、妙子の鼻歌が聞こえてくる。
「フフンフン〜♪」
浴場を仕切る曇りガラスには、一糸まとわぬ妙子の姿がぼやけながらも透けて見える。
脱衣カゴには妙子の脱いだシャツや下着が置いてある。
しかし、妙子が浴槽につかってしまえば鑑賞のチャンスは逸せられるし、そもそも下着にはあまり興味はない。
「（……よし。）」
正面のドアを開ければバレる確率が高い。
よって俺は、裏のドアに少し隙間を作って、そこから覗くことにした。
「（をを〜〜〜〜〜！）」
その隙間から見えたもの。
それは、全身が泡で包まれた妙子のあられもない姿だった。
「（うわぁ……成長したなぁ、妙子……）」
要所要所は泡で隠されていて見えないものの、女の曲線はくっきりと俺の眼に映っている。
幼なじみの時を越えた発育ぶりに、俺は興奮を禁じ得なかった。
「……でも、アイツとまた一緒にいられるなんて……信じられないなぁ……」
「（！）」
身体を洗いながら、独り言を呟いている妙子。
思わずそれを聞いてしまい、次いで、聞き耳を立ててしまう俺。
「……お味噌汁、美味しく飲んでくれて、よかったっ……！」
鼻の頭に泡をちょびっとつけたまま、満足そうな笑みを浮かべる妙子。
「（……妙子……）」
彼女の独り言を聞いていると、何故だろう、胸が痛む。
「はぁ……、いっそ、このまま……」
「（……………）」
「ええいっ、悩んでてもしょうがない、早くあがっちゃわないと！」
そういって、妙子はシャワーのノズルを持って、コックを開いた。
そして、俺の目に飛び込んできたものは――
シャァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ………
泡が洗い流された後に出てきた、一糸まとわぬ妙子の裸だった。
シャワーの水流によって、みるみるうちに洗い流される泡。
それは、下ろした髪を濡らし、
形よい胸やお尻、股間のところも、泡が流されて、あらわになってきた。
「（うわぁ……、生きていてよかった……）」
素朴な少女の綺麗な裸体に、俺はすっかり魅了されていた、その時、
ガラガラガラガラッ！
俺と妙子を隔てていたガラス戸が、音を立てて豪快に開いたのだ。
隙間から覗いていたにとどまっていた妙子の姿が、俺の目の前に飛び込んでくる。
妙子はといえば、シャワーを浴びてこっちを向いたまま、硬直してしまっている。
しかし、一体誰がガラス戸を開けたのだろうか？
俺が開けるわけはないし、妙子はシャワーを浴びてる最中だった。
と、いうことは犯人は……？
しかしながら、俺が彼≠ﾌ存在に気付いたその瞬間、
「きゃあぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ！！」
絹を裂くような悲鳴が俺の耳をつんざき、
その直後、石鹸らしきものが俺の頭をかすめて飛んできた。
「このっ！このっ！このおっ！」
次から次へと飛んでくるタオルやシャンプーやリンスの容器。
かわす余裕などとてもなく、顔や体に直撃する。
「お、落ち着け妙子！」
「これが落ち着いていられるかあっ！」
「あちちちちちっ！」
シャワーのノズルを俺の方めがけて思い切り放射してくる妙子。
「や、やめろ妙子、年頃の女が素っ裸ではしたないっ！」
カアァッ！
裸であることを自覚させられた怒りと恥ずかしさで、妙子の全身が真っ赤に染まる。
「い……いいかげんに……
……出てけぇぇぇーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ！！」
ガンッッ！
「あ……ぐっ……」
そして、渾身の力で投げつけられた木造りの腰掛けを頭にくらった俺は、
打ち所が悪かったのか、そのまま眠るように倒れてしまった。
あれからどのくらいたったのだろう。
まだ暗いところを見ると、朝にはなっていないようだが。
そんなことを思いながら、とりあえず目を開けてみる。
どうやら俺は布団に寝かされていて、
あ……何か人影がぼんやりと見えてきた……
「よかった……気がついたのね……」
「……妙…子？」
「もうっ……心配したんだから……、まさか気絶するとは思わなかったから……」
心からホッとしたようなため息をつく妙子。
よく目を凝らして見てみると、妙子の瞳は潤み、涙が溜まっているのが見えた。
「……ごめん、妙子……」
本当に俺は、心の底からそう思った。
「……ほ、本当よ！
いい！？これに懲りたらもう二度と覗きなんかしないこと！」
一転、頬を膨らませて俺を叱る妙子。
「返事は！？」
「…………努力します。」
「努力じゃなくて！絶対にやめて！」
「………だって………」
「だって！？」
ここでまた悪い虫が湧いてきたのか、また目の前のおせっかい娘をいじめてやろうと、俺の口が動いた。
「だって、あんなものを拝ませてもらった日には、これで打ち止めなんてもったいなくって……」
俺を見下ろしていた妙子の顔が、闇でもわかるほどに紅く染まり、
「こっの……バカァッ！！」
俺の顔面に、妙子の熱い拳が炸裂した。
俺が青森から無事に帰れるのかどうかは、未だ定かではない。