檄!電脳雑戯団 |
YOSSYFLAMEさん投稿作品
センチメンタルアダルティ―
―森井夏穂編・VOL.1「浴衣乱舞」
〜あらすじ〜
全国に散らばる12人の少女達に会いに行った俺、よっしー(デフォルト不能故MyHN使用^^;)
しかし、東京へ帰ってきた俺が、死神≠ノ宣告された運命とは、
ここ2,3年以内の死
それを防ぐ唯一の手段、自分自身と自分をとりまく運命の出会いの12人の少女達、
その運命の螺旋をねじまげて、運命自身を脱線させること。
そのもっとも手っ取り早い手段、それは――
女の子達に、今まで自分に対してもたれてない新たな感情を植え付けること。
まーよーするに何だ、エッチな出来事を共有しろとのことなのだが(笑)
「まあ、死なんで済む上に、あの娘たちのあられもない姿を拝めるのなら
願ったり叶ったりなんだけどなあ……」
ともかく後には引けない主人公は、運命の車輪を歪めに走るのであった。
――さて!
センチメンタルアダルティ――森井夏穂編・VOL.1「浴衣乱舞」
「さて、大阪に行きましょうか!」
「……唐突に何をぬかす。」
死の使者とは思えないくらいほがらかな笑みを浮かべ、俺を誘う死神。
ちなみにコイツの姿は俺にしか見えず、コイツの声は俺にしか聞こえない。
例えて言えば、『ヒ○ルの碁』のヒカ○と佐○の関係だと思ってもらえればよいだろう。
ただし違うところは、コイツはこの部屋から出た状態で俺と話すことはできないのであるが。
どうやらコイツにできることは、運命の可能性の示唆だけらしい。
「大阪っていえば……夏穂に会えってのか?」
「そうです。さ、今から電話をして。」
死神の指示通り、俺はピッピッと電話をかけた。
『はい、森井ですけど。』
「あ、夏穂? 俺だけど、うん、よっしー。」
『へぇ、久しぶりやね。どしたの?』
「いや、今度大阪に遊びに行くんで、会えないかなあって思ったんだけど。」
『ええねえ、会おうよ。
今度、お祭りがあるんやけど、その日はどう?』
「了解。じゃあ、祭りの日だな。」
『うん、楽しみに待ってるわ。じゃ。』
「今度の祭りの日か……」
今度の祭りに夏穂に会って、どんな運命が待っているのか。
「……やれやれ。」
――そして約束の日、大阪。
「こっちこっち!」
「ん……、夏穂……?」
夏穂の家のお好み焼き屋【おたふく】前で俺を待っていてくれたのは、
「えへへ…、変やない?」
浴衣姿の夏穂であった。
「……夏穂。」
「やっぱりお祭りやったら浴衣だと思ってさ。どう?」
「うん、すごく似合ってる。すごく魅力的だと思う!」
「へへっ、ありがと!
さ、行こ? 花火始まっちゃうよ?」
ひゅるるるるるる………どどーーーーん………
ぱんっ
ひゅるるるるるる………どどーーーーん………
「へぇ……」
「すごいでしょ、これが大阪の名物なんよ!」
そういって笑う夏穂の顔が、花火の光に照らされて、なんだか幻想的にも見える。
「ん、どしたん?私の顔じっと見て。」
「い、いや、なんでもない……」
「……ふーん、変なの。」
くすっと笑って、再び花火に目を移す夏穂。
どーんどーんどーんどーん
ひゅるるるるるるるるる…………ぱんぱんぱんっ!
「それにしても……キツくなってきたね……」
「うんっ……これさえなければええんやけど……っ」
花火大会の盛り上がりも、いよいよクライマックスに近づいてきて、
人の入りがかなり多くなり、俺も夏穂もぎゅうぎゅう詰めにされていた。
「夏穂……」
ぎゅっ……
「あ……」
それでも、夏穂とだけははぐれないように、
俺は人込みの中強引に夏穂を引っ張って自分の胸に引き寄せた。
「大丈夫か、夏穂……」
「…………………」
「……夏穂?」
「ちょっと……大丈夫じゃないかも……」
なにやら夏穂の様子がおかしい。
襟を持った両手を合わせるように胸元に置いている。
俺を見上げるその顔は、弱々しい笑みを浮かべている。
「その……浴衣の帯がほどけちゃって、そのままどこかに……」
俺にだけ聞こえる声で恥ずかしそうに囁く夏穂。
おそらく、俺が強引に引っ張ったときに、
どこかに引っかかってそのままほどけてしまったのだろう
だとすれば、もう捜しても見つけるのは困難だし、そもそもこの混雑で捜せすらしない。
それに、こんな状態の夏穂とはぐれるわけには、絶対にいかないのであるし。
「ごめん、俺が無理矢理引っ張ったから……」
「ううん……、私、浴衣着るのは初めてだったから……帯の結びが甘かったんだと思う……
あなたに浴衣姿を見て欲しかったんやけど……」
はだけそうな両襟をしっかり両手で合わせながら言葉を紡ぐ夏穂。
俺のためにわざわざ着慣れない浴衣を着てくれて……
そう思うと、俺はなんともいえない気持ちに襲われた。
「きゃあぁっ!」
ずりっ…
どんどん多くなる混雑に押される俺達。
その拍子に、誰かが夏穂の奥襟を後ろから掴んでしまい、そのまま間近に倒れ込んでしまう。
その拍子に夏穂の前の部分がはだけ、形よい乳房が一瞬、俺の目の前に晒される。
「やだぁっ!」
あわてて両腕を交差させて胸をかばった夏穂であるが、時既に遅し。
「夏穂……」
「………見た?」
恥ずかしがってるような怒ったような表情で、紅い顔を俺に向けて問う夏穂。
「夏穂………
………下着、つけてなかったんだな。」
「――っ!!」
げしっ!
「アホ!」
俺の脛に思いっきり脛蹴りを叩き込み、プイッとソッポを向いてしまう夏穂。
うなじのところまで真っ赤になり、涙目の怒り顔の夏穂を見て、
守ってやりたい気持ちと、もっといじめてやりたい気持ちが、俺の中で相反していた。
そして、花火大会がクライマックスに入ったとき、
どがどがどがどがどがどがっ!
今までで一番の圧力が俺の背中かにかかり、耐えられなくなってしまった俺は、
「何、なに!?やだぁぁぁっ!?」
そのまま夏穂を押し倒してしまった!
その一瞬、浴衣がすっかりはだけきって現れた、素っ裸の夏穂の姿が、俺の網膜に焼きつけられた。
その帰り道、俺と夏穂は一言も口を聞かずに、黙々と帰路を歩いていた。
夏穂は、帯をなくした浴衣を羽織っている。帯の代わりに俺のTシャツを腰に巻いて。
そのため今の俺は上半身裸なのであるが、別になんてことはない。
夏穂の恥ずかしさに比べれば、そして、針のむしろに座らされているような現状に比べれば……
スタスタスタスタ……
思いきり気まずい雰囲気のまま、俺達の足音だけが辺りに響く。
スタスタスタスタ…………ピタッ。
「……!」
唐突に夏穂の足音が止まり、振り返る夏穂。
俺を睨み付けたまま、一歩一歩近づいて来て――
パアァン!
強烈な張り手が、俺の左頬に炸裂した。
そして、すぅ…と夏穂が息を吸って、思いっきりそれを言葉にして吐き出した。
「よしっ! これでスッキリしたっ!」
「……夏穂?」
「私の裸を見たことは、これで許してあげる!」
さっきまでの怒り顔が嘘のように、満面に笑顔を浮かべる夏穂。
「そりゃすっごく恥ずかしかったけど、見られたのがあなただったからね……」
その笑顔がにわかに紅く染まる。
「それに……私の浴衣がはだけちゃったとき、必死にかばってくれたよね。
自分の体を盾にして私の身体を隠してくれて、すぐに浴衣を羽織らせてくれて、
あれだけの人込みを私を抱えて、別人のように力強くかき分けて、私を逃がしてくれたあなたは、
………すっごく、カッコよかったよ。」
「……夏穂。」
「……ありがと!」
「(夏穂のヤツ、泣いてたな。)」
真っ赤に染まった笑顔のまま、俺を見つめる夏穂の瞳は潤んでいたことを、帰りの列車で思い起こす。
「(まったく、役得というかなんというか………)」
苦笑いを浮かべながら、すでに冷めたお好み焼きをかじりながら、
なんともいえない思いを抱え、俺は大阪を後にした。
萌え萌え美少女SS
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