全国に散らばる１２人の少女達に会いに行った俺、よっしー（デフォルト不能故ＭｙＨＮ使用^^；)
しかし、東京へ帰ってきた俺が、死神≠ﾉ宣告された運命とは、
ここ２，３年以内の死
それを防ぐ唯一の手段、自分自身と自分をとりまく運命の出会いの１２人の少女達、
その運命の螺旋をねじまげて、運命自身を脱線させること。
そのもっとも手っ取り早い手段、それは――
女の子達に、今まで自分に対してもたれてない新たな感情を植え付けること。
まーよーするに何だ、エッチな出来事を共有しろとのことなのだが（笑）
「まあ、死なんで済む上に、あの娘たちのあられもない姿を拝めるのなら
願ったり叶ったりなんだけどなあ……」
ともかく後には引けない主人公は、運命の車輪を歪めに走るのであった。
――さて！
センチメンタルアダルティ――山本るりか編・VOL.1「キケンなウォータースライダー」
「……ああ。」
「どうしました？元気がないですが。」
「元気もなくなるよ、前回はかなりやりすぎたからなあ……」
「ああ、優さんにあんなことやこんなことをなさった出来事ですね。
あれはすっごく鬼畜だったですねえ……」
「……うるさい。」
人の心の傷を抉り取ったあげく塩を塗りたくるような真似をしくさる死神。
「でも、すっごくいいものを見られたんでしょ？」
「う、それは……」
クククと明るくほくそえむ死神。
「それじゃ今回は、気分転換の意味でも、名古屋に行きましょうか。」
「名古屋か……それもいいなあ……」
楽しそうな思いに駆られ、俺は受話器を手に取った。
『はーい、山本でーす！』
「あ、もしもし、山本？
『あぁ！ 久しぶりだね〜、元気だった？』
「ああ、なんとかね。
それで、今度名古屋に行くことになったんだけど……」
『ホント！？ じゃあ一緒に遊ぼうよ、ね！』
「ああ、楽しみにしてるから。」
『うん！ 絶対に来るんだよ！』
「相変わらず騒がしい娘だなあ……」
つい笑いがこぼれながらも、俺は受話器を置いた。
――そして約束の日、名古屋。
「いらっしゃい！ 待ってたよ！」
「久しぶり、山本。」
「じゃあ早速行こう！ 今度新しくできたプールがあるんだけど。」
「へぇ……、面白そうじゃない。」
「決まり！ じゃ、早速行こう！」
「うわぁ、気持ちいいね！」
名古屋に新しくできたというプールは、いかにも最新の仕掛けがたくさんあり、
なかなか楽しめるものばかりだった。
そして何より、るりかの青のビキニは、快活な彼女にいかにもフィットしており、
そんな水着に包まれて、本当に楽しく笑うるりかを見ていると、こっちまで楽しくなって来てしまう。
「ほら山本、ジュース買ってきたぞ。」
「うわぁ、ありがとー！」
しばし泳ぎ疲れた俺とるりかは、人工砂浜で少し休んでいた。
「それにしても、ホントに楽しいね、ここ！」
「ああ、いろんな物があって、本当にあきないなぁ……」
「そうだね！
ここができた時から、あなたと行きたいと思ってたんだけど、来てよかったぁ……」
満足そうに空を見上げるるりかの横顔は、陽の光を浴びて、ひときわ魅力的に見えた。
「ん？ どしたの？」
そんな俺を、きょとんとした顔で見つめるるりか。
「え、いや、別に……」
「ふーん、変なの……
それよりもさ、今度はウォータースライダーに行かない？ すっごく大きいみたいよ！」
「そ、そうだな、行こうか！」
まさかお前の横顔に見とれてたんだ≠ﾆも言えず、
笑顔で誘うるりかに手を引かれ、俺達はウォータースライダーに向かった。
「……うわぁ、高いねえ……」
順番を待つこと数十分。ようやくスライダーの頂上についた俺達。
限りなく小さく見える人。限りなく高い滑り口。
「……な、なんか、怖いね……」
笑いながらも怖いのか、俺の腕をきゅっと掴むるりか。
そんなるりかを見て、不謹慎ながらも可愛い≠ﾆ思ってしまう俺。
「大丈夫だって。なんなら一緒に滑ろうか？」
「え……」
「山本が大丈夫なように、支えてやるから、な？」
そんな俺の言葉に弱々しく笑いながらも、るりかは頷いた。
「な、なんか恥ずかしいね……」
「……気にするな、気にしちゃキリがない……」
ようやく俺達の番が来て、滑ろうとするが、
るりかの背を後ろから抱くようなこの体勢は、やはり恥ずかしいものがある。
後ろから見たるりかの首筋も、心なしか赤く染まっているような…
「じゃ、じゃあ、行くよ！」
るりかの掛け声と共に、俺達は一緒に滑り降りた。
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ！」
途端に響くるりかの絶叫。
それはそうである。
もの凄く速いスピードで俺達は滑り降りているのであるから。
「すごいね、これ！……って、きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ！」
再び響くるりかの絶叫。
今度は螺旋をぐるぐると滑り降りている。
どこまで凝るんだこの仕掛け、と思った途端、
「キャアァァァァァァァァッ！」
るりかの喉から、さっきまでとは全く質の違う悲鳴が迸った。
驚き横を見ようとする――
「こっち見ないで！」
途端に響くるりかの悲鳴。
それでも何が起こったか、横目で見てみると、
ビキニのブラジャーが水圧で吹き飛ばされていて、
裸の胸を両手で隠している、るりかの姿が俺の目に飛び込んできた。
「やだっ……」
俺から顔を背けているるりかの横顔は、恥ずかしさのあまり真っ赤に染まっている。
「どうしよ、ねえ……」
泣きそうな声で俺から顔を背けたまま呟くるりか。
しかし、そんなるりかに、さらなる水圧のイタズラが襲いかかった。
プチ、プチッ！
「ヤ！？ ヤダぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ！」
なんとるりかのビキニのパンツまでもが滑り台の水圧に吹き飛ばされてしまったのである。
悲鳴を上げ、膝を曲げて丸まって、股間を手で隠す、今や一糸まとわぬ素っ裸のるりか。
そもそもるりかのビキニパンツは、両脇にアクセサリー的なホックがかかっていて、
強い水圧には耐えられない危険性が秘められていたのである。
そんなことはさておき、さっきまでのスリルを楽しむ絶叫は、既にるりかの口からは聞こえない。
「お願い、見ないで、向こう向いてて……」
涙声で俺に懇願するるりか。
俺から顔を背けたまま、膝を曲げて身を縮こまらせて、片手で胸を、もう片方で股間を隠している彼女。
その裸身は、あまりの恥ずかしさに真っ赤に染まっている。
それに加え、変幻自在のスライダーの曲がり角に差し掛かるたびに、
るりかの体勢が変わり、白桃のような形のいいお尻をも俺の前に晒してしまう。
「もう、ヤダっ……」
涙声で呟くるりかの瞳は、今にも泣き出しそうなまでに潤んでいる。
しかし、それどころではない危機が、るりかに迫ろうとしていた。
そう、二人はもうすぐスライダーの出口に差し掛かろうとしていた。
ということは、このままでは、るりかの裸がギャラリーに晒されてしまうことに。
丸くなり身を縮こまらせて、必死に肌を隠そうとするるりかの身体が、恥ずかしさのあまり細かく震えている。
このままではギャラリーに裸を晒してしまうという恐怖と羞恥に、
悲鳴も出ず唇を震わせて瞳を固く閉じ、真っ赤な顔を泣き出しそうに歪めているるりか。
そんなるりかを見て、俺は――
ザバァァァァァァ……ン……
そして、ついに二人だけの密室≠ｩら、晴れ渡った出口≠ﾖ――
プールからあがり、入り口で待っていた俺の目に、人影が写った。
「山本、もう大丈夫か……？」
「ん……」
弱々しい足取りで女子更衣室から出てきたるりか。
俺から目をそらしたまま、やや俯きがちで答える彼女。
そして、二人で歩き始めた。
「……あのさ、その……ありがとね！」
唐突にこっちを振り返り、るりかが発した一言。
「あの時、必死に私をかばってくれて……」
顔を再び赤くして続けるるりか。
そう、スライダーのホールから出てきた俺は、顔だけあけてるりかを水中にかばいながら、
人が密集していない深みまで行ってから、慌ててバスタオルを取りに走り、
それでるりかの裸身を包んで、事無きを得た、というわけである。
「でも、あの時はホントに怖かったんだからっ！」
不意に俺を睨むるりか。
そう、俺がバスタオルをとりに行っている間、
るりかは誰かに裸を見られる恐怖≠ﾆ、必死に闘っていたのだ。
「その時にっ！」
「お嬢ちゃん、なにしてるのかな〜」
野太くイヤラシイ声で一人の男が背後から近づき、るりかの肩をポンとたたいた。
「きゃあぁぁっ！」
バシャアッ！
その男に向かって思い切り水をかけて、必死にその場から逃げ出するりか。
「ち、ちょっと待て山本、俺だ俺！」
「………え？」
俺の声に、不意に振り返るるりか。
俺だとわかって安心したのか、ホッとする彼女。
「ちょっと驚かしてやろうと思ってな。ビックリした？」
悪戯小僧のような笑みをるりかにむける俺。しかし、
そのとき、るりかのその目からポロポロと涙がこぼれだしたのだ。
「あ、その、えと、山本……？」
パアァァン！
「バカッ！！」
強烈な平手打ちを俺の頬に食らわせて、バスタオルをひったくり、身体をくるんで、
るりかは更衣室に駆け込んでしまったのである。
「ホントに怖かったんだから！」
「ごめん、まさか泣くだなんて思わなかったから……」
こうなれば男が勝てる要素など皆無。
俺はただ小さくなって、るりかの文句を受け止めるしかなかった。
「もう……」
頬をふくらましてソッポを向くるりか。
そんな彼女の仕草が、とても可愛く感じてしまって、つい笑いが漏れてしまった。
「あ、笑った！ 全然反省してないでしょ！」
「いや、その、反省はしてるんだけど、つい……」
ともあれ、るりかの意外な一面が見られた一日ではあった。……多分。