檄!電脳雑戯団

YOSSYFLAMEさん投稿作品


センチメンタルアダルティ
―保坂美由紀編・Vol.1「着物の中の訪問者」

〜あらすじ〜
全国に散らばる12人の少女達に会いに行った俺、よっしー(デフォルト不能故MyHN使用^^;)
しかし、東京へ帰ってきた俺が、死神≠ノ宣告された運命とは、
ここ2,3年以内の死
それを防ぐ唯一の手段、自分自身と自分をとりまく運命の出会いの12人の少女達、
その運命の螺旋をねじまげて、運命自身を脱線させること。
そのもっとも手っ取り早い手段、それは――

女の子達に、今まで自分に対してもたれてない新たな感情を植え付けること。
まーよーするに何だ、エッチな出来事を共有しろとのことなのだが(笑)

「まあ、死なんで済む上に、あの娘たちのあられもない姿を拝めるのなら
願ったり叶ったりなんだけどなあ……」
ともかく後には引けない主人公は、運命の車輪を歪めに走るのであった。
――さて!





センチメンタルアダルティ――保坂美由紀編・VOL.1「着物の中の訪問者」





「で、どうなんだ?」
「何がですか?」
日がすっかり落ちた夜、俺と死神はちょっと話をしていた。
「俺の運命だよ。初期設定をすっかり忘れるところだったけどな。」
「ああ、運命ですか…」
思わせぶりな顔つきで話しかける死神。
なんか本当にコイツが俺の命を握っているのか、はなはだ自信がなくなってきたんだが。
「まだなんともいえないですねえ。ま、期待して待っていてください。」
何の期待だ。
「で、今度は金沢に行っていただけますか?」
金沢……美由紀のところか。
俺は、電話のボタンをプッシュした。



『もしもし、保坂ですけど…』
「あ、美由紀? 俺だけど……」
『あ…、久しぶりね……』
「実は、来週金沢に行くことになって、それで……」
『そうなんだ……。じゃあ、会わない?』
「そうだな、じゃあ、来週に。」



受話器を置いて俺は、金沢での出来事に思いを馳せた。





――そして約束の日、金沢。

「えっと、このへんだったと思ったんだけどなあ……」
美由紀の話によると、今日は自分のところの着物を着て、
撮影する撮影会があるとかで、その後会おうということだったのだが……
「お待たせ……」
後ろから声がして振り向くと……
「お久しぶり……、元気だった?」
「美由紀……」
美由紀の姿を見て、俺は一瞬彼女に釘付けになってしまう。
それもそのはず、美由紀は着物姿そのままの姿で現れたのだから。
「美由紀……」
「えへへ……、ちょっと急いできたから……」
よく見ると、美由紀は息を切らしながら立っているのがわかった。
そして、それほどまでして急いで来てくれたのだということも。



「このあたりは結構着物を着ている人がいるから……」
僅かに照れながら、そう話してくれる美由紀。
俺と美由紀は、昔ながらの路地を二人で歩いていた。
「それに……
あなたにならこの姿を見られても……少し恥ずかしいけど、いいかなって思ったから……」
「美由紀……」
「や、やだ……、私ってば何言ってるんだろう……」
慌てて俺から顔をそらして俯く美由紀。
その首筋は、恥ずかしさでやや赤く染まっている。



「へえ……、このへんはいいなあ……」
サアアッ……
木造の建築物と、青葉のざわめきがこの情景にピッタリとあっていて、
なんともいえぬコントラストを醸し出している。
「うん……、私もこの通りは好きなんだ……」
眼鏡の奥の瞳を輝かせ、俺の方を見つめてくる美由紀。
時間がいいのか、今は俺達の他には誰もいない。
俺と美由紀はお互い何もかたらず、ただ木々のざわめきを静かに聞いていた
しかし、不意にそのざわめきが破られる時が来た。



「ひ……っ!」



「美由紀?」
突然響いた美由紀の悲鳴に、俺は慌てて振り向いた。
美由紀は顔を歪めて苦しそうに呻いている。
両手を後ろに回して、今にも泣きそうな表情の美由紀。
「虫が……」
「え?」
「虫が、背中に入っちゃったみたいなの……っひっ!」
また虫が動いたのだろう。
美由紀の口から小さく悲鳴が漏れる。
「どうしよう……」
泣きそうな顔で俺にすがってくる美由紀。
おそらく、木々の葉についていた虫が風に飛ばされて、美由紀の着物の後襟から入ってしまったのだろう。
俺はとりあえず回りを見回してみる。
周りには幸いに誰もいない。
「美由紀、こっちに……」
とりあえず俺は、美由紀を路地裏に連れ込んだ。

「ここなら人の目もないから……、とりあえず着物を脱がないと……」
「えっ……!?」
さすがに脱げというのは、美由紀にはショックだったようで、目を見開いて驚いている。
「だって、その、脱げって……」
「とりあえずそうしないと虫がとれないだろ、美由紀。」
「でも……ひゃっ!」
また着物の中で虫が暴れだしたのだろう。美由紀の小さい悲鳴が響く。
「美由紀……」
「わ、わかった……、脱ぐから、出ていってくれる……?」
か細い声で訴える美由紀。
やはり俺の前で服を脱ぐのは、少なからず抵抗があるのだろう。
「わかった、じゃ、なにかあったら呼んでくれ。」
美由紀を路地裏に残し、俺は路地に出て見張りをすることに。



「あの……、ちょっと来てくれないかしら……?」
路地裏から美由紀の声。
「お願いしたいことがあるんだけど……」

俺が路地裏に入ってみると、既に着物を脱ぎ捨てて、薄い羽織一枚の美由紀の姿が目に飛び込んできた。
「くうっ……!」
苦しそうに呻き声をあげる美由紀。
「ここまで脱いだんなら、早く虫取っちゃえばいいのに。」
「そ、それなんだけど……ひっ!」
かなり虫が活発に動いているようで、悲鳴をあげながら口を開く美由紀。
「虫を触るのが怖くて……、お願い、なんとかして……」
今にも泣きそうな顔で訴える美由紀。
確かに虫が苦手で、触れない女の子は結構いるという話だが、美由紀もそうなのだろう。
「じゃあ、ちょっと立って、羽織の紐をほどいて……」
「え……?」
俺の注文に戸惑う美由紀。
「絶対にほどかなきゃ駄目なの……?」
か細い声で訴える美由紀だが、ほどいてくれないと虫が取れない。
俺は無言で頷いた。
「わ、わかった……、今、ほどくね……」
ぎこちない仕草で羽織の紐をほどいてゆく美由紀。
こんなシチュエーションの中、美由紀のうなじは真っ赤に染まっている。
「(まあ、一種のストリップみたいなものだけどさ、確かに。)」
口に出すと、あまりの恥ずかしさに美由紀が逃げてしまう恐れもあるから口には出さないが、
俺はふとそんな事を考えていた。
「ほどいたわ……」
ようやく羽織の紐がほどけたようだ。
羽織の前がはだけてしまわないように、必死に胸元を押さえている美由紀。
そんな彼女の姿に、なんともいえないものを、俺は感じはじめて来た。
「それじゃ、背中を見せてもらうよ。……美由紀。」
俺は、美由紀の羽織の後ろ襟をつかんで、そして――



「キャアアァァァ!!」



一気に下に引き下げて、羽織をむしりとった。
「な、何をっ……!」
腰をくるむ下帯一枚の姿の美由紀が、身を縮こまらせてうずくまる。
「美由紀……」
その美由紀の姿に、少なからず俺は驚いた。
てっきりつけてると思ったブラジャーをつけておらず、裸の乳房を両腕で隠しているのだ。
「美由紀、下着、つけてなかったのか?」
無神経とも思える俺の発言に、さすがに美由紀も気色ばんだ。
「あたり前でしょうっ。着物を着る時に下着を着けないのは常識よっ……!」
背中を真っ赤に染めている美由紀が、怒ったように呟く。
「いいから早く虫を取ってっ……!」
胸を両腕で隠し、恥ずかしがっているせいか、文句口調で指図する美由紀。
その物言いに少々腹ただしいものを感じた俺は、ちょっとした企みを敢行に移すことにした。

美由紀の背中には、確かに二匹の小さい青虫がいた。
おそらく風に流されて、運悪く美由紀の背中に入ってしまったのだろう。
その青虫の一匹を路地裏の遠くに投げ捨て、もう一匹を俺は……

「ひっ!」

美由紀の悲鳴が路地裏に響く。
「どうした美由紀。虫なら取ったぞ?」
「ま、まだいるのよっ……!」
顔を真っ青にして、嫌悪感に鳥肌を立てている美由紀。
「どこにいるんだよ。もう虫は全部取ったぞ?」
俺の問いにも、口を閉ざしたまま、ただ震える美由紀。
しかし、俺はその虫がどこにいるのかはわかっていた。
そして、そんな場所だからこそ、美由紀は口に出せないということも。

最後の一匹は、美由紀の下帯の中。
その虫を取り払う際に、俺がわざとその中に入れておいたのである。
「ひっ……くっ……っや……っやぁ……」
瞳を固く閉じ、胸を両腕できつく隠し、身を縮こまらせてうずくまっている美由紀。
最後の虫は、その美由紀のお尻を、今まさに縦横無尽に這い回っているのであろう。
虫がお尻を這い回る感触に耐えられず、顔を真っ青にして背中にも鳥肌を立てて震えている美由紀。
「よし、わかった、……美由紀、立ってくれ。」
俺は、できるだけ真面目な口調で、有無を言わさぬ調子で美由紀に頼む。
「でも……」
「ちゃんととってやるから。」
はっきりとした俺の口調に押され、胸を両腕で隠したまま、おずおずと立ち上がる美由紀。
彼女の前には、最後の下帯の結び目がある。
胸を隠してるせいで、両手が塞がっている美由紀。
俺は、次の一瞬――



「だ、駄目ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!」



一気に結び目をほどき、美由紀の下帯をずり下げた。
下半身丸出しとなった美由紀の、卵のように綺麗なお尻が、俺の目に飛び込んでくる。
「やぁぁっ!」
胸を隠していた手の片方を股間にやって隠しながら、うずくまってしまう美由紀。
後ろから見た丸出しのお尻を這い回っていた、最後の青虫を、俺はつまんで捨ててやった。
「美由紀、これで全部虫が取れたぞ。」
その裸身を真っ赤に染めて、恥ずかしさのあまり背中を震わせている美由紀。
「わかったからっ……早くここから出ていって!!」
美由紀の涙声の絶叫が路地裏に響く。
俺は、見るものも見させてもらったことだし、ここは素直に路地裏から出ていった。



しばらく経った後、俯きながら無言で出てきた美由紀。
はだけた着物をそれなりに着込めるところは、さすがに呉服屋の娘というべきか。
眼鏡の奥のその瞳は、泣きはらしたせいか、赤みがさしている。
「美由紀……」
「あの……、ごめんなさい……」
俺が何か言う前に、美由紀の方から頭を下げてきた。
「せっかくあなたがなんとかしてくれたのに、あんなこと言っちゃって……」
俯いたまま詫びてくる美由紀。
そんな彼女の態度に、俺もさすがに戸惑う。
「本当にごめんなさい……」
「いや、俺も悪かったんだし、あんな無神経なことして。
だから、美由紀が頭を下げることはないと思う、多分、うん。」
このまま黙って俯かれては、たまったものではない。
俺は、かえって慌てて、美由紀にそういった。

「でも、本当に恥ずかしかったんだから……、そこのところは、わかってほしい……」

顔を上げ、照れたように頬を染め、眼鏡の奥の瞳でやや上向きに俺を見つめる美由紀。
そんな彼女に、俺は思わず一言言わずにはいられなかった。
「そうだな、俺もまさか今日、美由紀の裸を見られるとは思わなかったしな。」
「!!」
俺の言葉にみるみるうちに、その顔が真っ赤に染まる。
「し、知らない!」
ダッ……
「おい、美由紀!」
俺が声をかけても、振り返ることなく、美由紀は走り去ってしまった。



「はぁ……、俺の一言多いクセ、なんとかならないかなあ……」
眼福と達成感と後味の悪さを胸に抱えながら、俺は金沢を後にした。

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