檄!電脳雑戯団

劉秋華さん投稿作品


It gives me in the Christmas
〜 from sentimental Graffiti 〜

「ふう…」

  東京都八王子市、新宿のベッドタウンとして、また交通の要所として発展するその街の片隅で、葵はか

じかんだ手を摩りながら一つ、白いため息をついた。

 交通整理をする視線の先では、荷物を抱えた家族連れや寄りそうカップル達が小雪ちらつくメインンス

トリートを歩いている。どの顔にも綻んだような笑みが浮かび、12月24日というこの日を皆喜んでい

る様だった。

「それにしても、俺は何してるんだか…」

 苦笑しながら呟き、葵はまた車相手に回転灯を振るのだった。

 

「さて、帰るかな…」

 時計の針が11時を回った頃、葵はバイト先の会社から帰宅の途に着いた。懐にクリスマス出勤の日当

をねじ込み、本格的に降り出した雪の中を歩き出す。

 すでに深夜ということも有ってか、家に続く道は部屋やフェンスなどに飾られたイルミネーションの明

るさとは対照的に人影は皆無だった。

 さくっ…さくっ…

 足早に歩く葵の足元で、少し積もった雪が踏みしめられて音を出す。夜の静けさに消えていくその音

が、葵には妙に虚しく感じられた。

 新興住宅街を抜け、細い路地を進む。十分ほど歩いて、葵は自分の家を視界に捉えた。

「着いたな…」

 回りの家より大きく、豪邸とまでは行かずとも立派なその家は、家々の中で一際異彩を放っていた。な

ぜなら、あらゆる窓から一切明かりは漏れてこず、人の居る気配が無かったからだ。

「ま、俺の家は関係無いか…」

 玄関に近づき、葵はコートのポケットから鍵を取り出そうとする。だが、ふと玄関の脇に誰かが居るよ

うに見えた。

「あれ…」

 誰だろう、と葵は思った。葵の家は両親が長いこと海外に赴任していてここ2年はまったく帰ってきて

はいなかった。そのためか、来客は宅急便以外ほとんど無いといっても過言ではなかった。しかも、時間

は0時近い。人が尋ねてくる時間では無かった。

 だが、葵の顔を確認したのか、人影は葵へゆっくりと近づいてきた。街灯の明かりの中にその人影が

入ったとき、葵はそれが誰かわかった。

「優…か」

「ひさしぶりだね…葵」

 赤いコートに身を包んだ七瀬優が、葵の声に小さく微笑んで応えた。

「でも、どうしてここに?」

 優の傍に近づきながら、葵が尋ねる。

「それは…何となく、君の顔が見たくなったから…かな」

 優の応えはいつも通りだった。だが、葵は一つ気になることがあった。

「優、何時からここに居たの?」

「夕方の、6時くらいかな…」

「えっ…」

 それを聞いた途端、葵は急いで玄関を開けて、優を家の中へと入れた。その時握った手は、氷の様に冷

たかった。

 

「ごめんね…」

 自分の部屋に暖房をつけ、優と自分のコートをクローゼットに掛けると、葵はソファーに座って葵が炒

れたコーヒーを飲んでいる優に頭を下げた。

「そんなことないよ。私が勝手に来たんだから…。君こそ迷惑じゃなかった?」

「全然。それより優、遅れたけど誕生日おめでとう」

 葵はそう言うと、丁寧に包装された包みを優に手渡した。

「え…」

「本当は誕生日に贈ろうと思ったんだけど、電話しても出なかったからさ。ま、開けてみてよ」

 優は包みを持ったままきょとんとしていたが、葵に促されて包みをゆっくりと開けた。

「あ…」

 包みの中から現れたのは、薄紅色のマフラーであった。

「ほら、優は出かけることが多いだろ。これからの季節は特に必需品かなと思ってさ」

「あり…がとう…」

 優がマフラーを持ったまま、突然泣き出した。

「優?」

「…ごめん…」

 驚く葵に、優が抱きつく。

「君の電話は…分かっていた…。でも、声を聞いたら会いたくなるから…」

 優は葵の胸に顔を埋めたまま亡き続ける。

「なんでだろう…昔は一人の誕生日、一人のクリスマスなんて当たり前だったのに…今は…どうしてこん

なに…寂しいんだろう…」

 葵には優の気持ちがわかっていた。二親の都合で子供の頃より転校を繰り返し、今では記念日どころか

毎日が一人の葵には、一人でいることの寂しさが痛いほどよく分かった。

「優…」

 葵は優の背中にそっと手を回した。

「葵…慰めてくれる…?」

 その言葉に、葵は口付けでOKするのだった。

 

 お互いの服を脱がせ、ベッドに横になる。優しく後ろから抱く葵の腕の中で、優の白い裸身が小さく

震える。

「寒い?」

 葵の言葉に優は首を横に振る。恥かしいのか、頬は少し朱に染まっていた。

「ん…んん…」

 葵はそんな優に再びキスをした。優の柔らかい唇に自分のそれを重ね、その奥に舌を伸ばして絡め合

う。二人は優の口の中で唾液と舌を貪るように吸い合った。

「ふうっ…んんっ…」

 そのまま優の舌を味わいながら、葵は優の胸を揉みしだいた。形のよいムネが葵の手の中で形を変え、

優の口腔の中を熱くさせていく。

「ん…ふあっ…」

 その堪らない感触に、優の口から熱い吐息が漏れる。

 葵はそれを間近に感じながら、優の固くなり始めた乳首を指で弄び、耳にそっと噛み付いた。

「あっ…だめっ…」

 葵の舌は耳たぶをねっとりと愛撫していく。

 その度に優の背には寒気にも似た快感が走り抜けた。

「優、可愛い…」

 すっかり力の抜けた優にやさしく微笑みながら、葵は手を優の股へと伸ばす。

「ああっ…」

 既にしっとりと濡れたそこは、葵の手を迷うことなく受け入れる。

「んっ…ああっ…」

 濡れた恥毛を掻き分けて葵の指が優の最も敏感な突起を撫でる。

 優の脳裏を今までと比較にならないほどの快感が直撃した。

「あっ…ああっ…」

…ちゅぷっ・・・じゅっ…

 淫靡な水音を立てながら葵の指は動きつづける。ヴァギナから溢れた愛液は葵の指をべっとりと濡らす。

(もう…いいかな…)

 葵は指をゆっくりとずらすと、優の濡れたぎったヴァギナにゆっくりと入れていった。

「ああっ…あっ…」

 大きな声を上げ、優の体が大きく跳ねる。だが、ヴァギナは葵の指を抵抗なく受け入れた。

「あっ…だめっ…」

 葵の指がヴァギナの中をゆっくりとかき混ぜていく。熱い襞の感触を指に受けながら、葵は爪を立て

ないように指をゆっくりと出し入れしていった。

「ああっ…もうっ…だめっ…」

 葵はそのまま愛撫を続けようとしたが、不意に優の手が葵の手を掴む。

「今度は、私が…」

 とろんとした表情を浮かべた優はそう言うと、既に大きくなった葵のペニスをぎゅっと掴んだ。

 

「ん…んん…」

 ベットに足を広げて座った葵の股間に、優が顔を埋めてフェラチオをしている。

 慈しむように唾液をつけてペニスをしゃぶり、丁寧に舐め上げる。

 その動きはぎこちなかったが、葵には堪らなく心地よかった。

「ううん…んん…ん…」

 優は時折上目遣いで葵を見ていたが、その表情は葵の目にはとても淫猥に写った。

「うん…葵…気持ちいいの…」

 葵が無言で頷くと、優は微笑んで再び口腔の中にペニスを包み込んだ。

 熱い口腔の中で、ペニスに舌が絡み付いてくる。

 裏筋を舐められ、雁首をつつかれ、尿道を刺激される。

「ん…んん…」

 

 そして優がペニスを手でしごきながらちろちろっと舐めた瞬間、葵の股間に溜まっていたものが爆発

した。

…びゅるっ…びゅくっ…

 先端から大量の精液が跳び、優の顔にかかる。

「あっ…」

 優はペニスを握ったままでその粘液のシャワーを受けた。だが、別段いやがる様子も見せず、優はまだ

固さを保っている葵のペニスにちゅっとキスをした。

「気持ち…よかったんだね」

「ごめん…」

 少し罪悪感を覚えながら葵が言うと、優は前髪から垂れてくる精液を指で掬って舐めた。

「ううん…いいんだ。君が気持ちいいと、私も嬉しいから…」

 葵はそんな優をいじらしく思うと、そのまま背中から押し倒した。

「優…」

「うん…」

 葵は萎むどころか一段と固さを増したペニスを優の愛液まみれのヴァギナに当てると、正常位のままで

一気に貫いた。

 じゅぶっ…じゅぶぶっ…

「ああっ…あっ…」

 指とは比べ物にならない快感が優の膣内から全身へと伝わる。

 葵も口腔よりも熱い刺激をペニスに受けながらゆっくりと前後に動き始めた。

 …じゅぷっ…じゅぶッ…じゅぷっ…

 愛液を掻き出す様に引いたかと思えば、膣の奥に届けとばかりに深く挿入する。

「あっ…ああっ…うあん…ああっ…」

 リズミカルに動く葵のペニスを、優は喘ぎながらしっかりと締め付けた。

(葵…大好き…大好き…)

 言葉に出来ない思いを心で目一杯に叫びながら足で葵の腰を抱く。

 …じゅっぷ…じゅっぶ…じゅぷっ…じゅぽっ…

「あっ…もうっ…ああっ…」

 腰を打ちつけながら葵は目の前で揺れていた優の胸を激しく揉み、乳首を軽く噛んだ。

「葵…葵…もう…ああああっ…」

「優!」

「あああっ…だめっっ…ああああっ…」

 葵が優の名前を口に出した瞬間、優は大きく痙攣しながら葵のペニスを一気に締め付けた。

「あっ…うっ…」

 葵も優の中に先程よりも強かに精液を放出する。

 …どくっ…どくっ…

 二人は強く抱きしめ合いながら、ゆっくりと意識を埋没させていった。

 

 

 

「ふうっ…」

 翌日、葵が目を覚ますと、傍らに優の姿は無かった。

「あれ…」

 葵が辺りを見まわすと、机の上にメモが残っており、そこには先に帰る事とシャワーを借りる旨が書か

れており、最後に一言、

 −葵、ありがとう…。また、広島で待ってるよ…−

 と書かれていた。

「優…」

 なぜか脳裏に寂しげな優の顔が思い浮かび、葵は胸が締め付けられるような感じを覚えた。

 窓から差し込む日の光がやけに眩しかった。
END


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