君が好きで、好きで、好きで、好きで、好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きで
好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きで、大好きで。
好き過ぎて、まともに目をあわすこともできない。
こんなことになるなら、恋なんてするんじゃなかった!
僕はただ、君と一緒にいられたら良かったのに。
恋ってこんな歯痒さを知ることなの?
そんなことなら、僕は……
僕は……………
僕は―――――――――――。
「本当に馬鹿だね、お前は」
黒い死神が耳元でそう言って息を吹きかけた気がした。
何でこんなこと言ってるんだろう。ほんと、馬鹿だあたしは。
自嘲の笑みで、口元が上がったのがわかった。
長次が、こっちを見てる。
アレのとき以外で、こんなに見てもらえたのは久しぶりだな。
そう思うとちょっと嬉しかった。
ああ、狂ってるな。あたしは。
何で、もっと違う方向に狂わせてくれなかったんだろう。
「はは」
笑い声も出た。掠れてるけど。
「」
「いいの。無理しないでよ。無理に付き合ってたってつまんないでしょ」
「」
「ごめん、今まで、迷惑だったでしょ」
「」
「いいから」
「………泣いてるの、気付いてるのか?」
「泣いてないよ」
「泣いてる」
嘘ばっかり、と目を拭ってみた。
目尻から離したら、乾いたままの人差し指が戻ってくるはずだった、のに。
「……………」
「…泣いて…、…ないよ………」
「………」
泣いてないよ、泣いてないよ。
泣くもんか。
泣いてしまえば、全て崩れる。
あたしは、長次に我侭を言っちゃいけないから。
「泣けば、構ってもらえる」って思い上がった女にだけは見られたくないから。
泣いてないよ、泣いてないよ。
泣くもんか、泣くもんか。泣いてたまるものか!
泣くな、
泣くな、
泣くな!!!!!!
一度、涙を自覚してしまったのがいけなかった。
泣くもんか。泣くな!泣きたくない!
なのに、残酷にも涙を止まりもせず、それどころか、掠れた泣き声まで漏れ出した。
最初は鼻をすすり上げる程度だった。
しかし、次第に嗚咽は激しくなり、抑えようとすればするほど醜く、しゃくり上げてしまう。
肩が震えて、顔も引きつって、これ以上ないくらい汚い姿だったろう。
ついに顔を伏せて手で覆った。
嗚咽は、どうしても止まらない。
ガタン、と長次が席を立つ音が聞こえた。
見捨てられる。
彼は遠くへ行ってしまう。
二度と、二度と話すことは無いだろう。
ああ、さよなら、
さよなら。
さよなら――――――――――――。
「…………」
「………もう、やめてよぉ〜…」
長次はの横に座って、その肩を抱きしめた。
「まだ、俺はお前が好きだ」
一瞬、嗚咽が止まり、信じられないと言う顔で長次の顔を見上げる。
「何もできないけど、お前が好きだ」
微笑んでくれたわけでもない、涙を流してくれたわけでもない。
それでも、今までにで一番、あたしのことを見てくれているような眼だった。
またも涙が込み上げてきて、は長次の胸に顔を埋めた。
小袖の合わせを、避けるほどに強く掴む。
「あたしだって、あたしだって…ッ、長次が…す…ぅっ、ふっ、ウェ…」
涙を何度も拭い去っても、次々と溢れてくる。
目をこする度に、長次は私の肩をあやすように叩いて抱き寄せてくれた。
長次の腕の存在を感じるたびに切なくて切なくてたまらなくなった。
体中の水分は、全部無くなってしまうほど泣いただろうと思ったのに、
涙はいつまでたっても止まらなかった。
ザ――――――――……。
雨は止まない。
涙も止まない。
この思いも止まない。
君が暖かくて、暖かくて。
この温もりが、どんな交わりよりも気持ちよかったことを、ぼくたちは忘れていた。
愛に形なんかありやしないさ、簡単に表すことのできない代物だったからこそ、僕達は愛に憧れていた。
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