「特別」の違い〜森下の気持ち〜
「特別」に気付いたのは何時だっただろう。彼の「あの人」を見る眼が「特別」なことに気付いたのは…
そして、僕はその日からずっと、伝えられない想いを胸に苦しんでいる…
「飲みに行きませんか」
事件解決後に、火村先生はそう言った。突然の誘いに戸惑ってしまう。誘ってもらって嬉しいのに、口から出た言葉は
「三人で、ですか?」
すると、火村先生は一瞬――本当に一瞬だけ――困ったような表情をして答えた。
「アリスはこの後用事があって帰るんです」
そして呟くように付け加える。
「私とじゃ駄目ですか?」
そんな事あるはずもない!すぐさま首を振って、噛み付かん勢いで答える。
「行きます。火村先生と飲みたいです」
「良かった。じゃあ、何処か森下さんオススメの所ででも」
そう言われ、必死に雰囲気の良いバーを思い出そうとする。かろうじて記録にあった一軒のバーに、有栖川さんが運転する車で向かった。
有栖川さんはそのまま車で家に向かい、火村先生と二人きりになった僕は、我知らず緊張していた。
約2時間後、僕は酔いつぶれていた。火村先生と二人で飲みに来ている、という事実が嬉しかった事もあるが、それ以上に二人きりの空間がやけに恥ずかしく、会話を探しているうちにいつもの倍以上飲んでしまっていたのだ。
「大丈夫ですか、森下さん」
火村先生の声が耳元で聞こえる。そっと目を開けると、見慣れたマンションの前で、火村先生に身体を支えられていた。
先生は、心配そうな顔で僕を覗き込む。
「森下さん?分かりますか」
なおも心配そうに聞いてくる火村先生に、慌てて返事をする。
「は、はい。大丈夫です。すみません、ご迷惑をかけて…」
「そんなことはいいんです。それより、部屋まで送りますよ」
その申し出は非常に嬉しいものだったが、そこまで甘えてはいけないと思い、辞退する。
「いえ、大丈夫ですから。今日は本当に有難うございました」
不意に涙がこぼれそうになって、俯いたまま走り出す。しかし相当酔いが回っているらしく、眩暈がしてしゃがみ込んでしまった。それに驚いたのだろう、火村先生が駆け寄って来る。
「森下さん!大丈夫ですか」
そう言って、僕を抱くようにして立ちあがらせる。そして、優しい声で囁いた。
「やっぱり、部屋まで送っていきます」
部屋に着いて、僕を玄関に入れると、火村先生は「おやすみなさい」と言って回れ右をした。すぐさま声をかけて呼び止める。
「ま、待ってください。お茶でも飲んでいってください」
火村先生は足を止めて、振り向いてくれた。
「そうですね、酔いの回った森下さんをこのまま放っておくのも気が引けますしね」
部屋に入り、コーヒーを淹れる。
「どうぞ、熱いですけど」
火村先生は猫舌なので、マグカップをテーブルに置く。
僕は、火村先生の向かいに座って、今日のことを謝る。今日は、なんだってこんなに火村先生に迷惑をかけてしまったんだろう。
「今日は本当にすみませんでした。ご迷惑ばかりかけて、どう御詫びしたらいいか…」
「迷惑なんて、大丈夫ですよ。アリスなんてもっと凄い迷惑をかけてきますから」
そう言って笑う火村先生に、心が痛んだ。せっかく二人でいるのに、有栖川さんのことなど言って欲しくなかった。
こうやって二人でいても、火村先生の心の中には有栖川さんがいる。そう思うと苦しくて、目の前にいるはずの火村先生が遠く感じられ、悲しくて俯いてしまう。
「森下さん?」
顔を上げると、火村先生が驚いたような顔でこっちを見ていた。どうしたんだろうと思い、顔に手をあててみると、液体に触れた。自分でも驚いてしまった。自分が泣いているのに気付かなかったなんて…。火村先生は、心配そうな表情で僕の隣に座る。優しく肩を抱き寄せられ、余計に涙が止まらない。
「泣きたいだけ、泣いていいですよ」
そんな優しい言葉が、今の僕には辛かった。いくら好きになっても、この人の「特別」は僕じゃない。行き場のない想いが心の中で暴れ出す。
まだ酔っていたのかもしれない。酔いが手伝って、あんな事を口走ったのだ、そう思いたい。
肩にのった火村先生の手をそっと下ろして、火村先生の眼を見つめる。そして、僕はとんでもない事を言ってしまったのだった。
「…抱いてください」
うわ〜、どうしましょう。森下さんが壊れまくってる・・・・。大変なことですね、これは。
この後どうなるのでしょうか?火村先生は、森下さんを抱くのかなぁ……。←作者が聞いてどうする(^^;
答は、そりゃやっぱり、“据え膳食わぬは男の恥”で、抱きまくりますよ(笑)←いや、まくらんでも……。
据え膳ですよね?この場合は。
さてさてこの作品、貴女のお眼鏡に適いましたでしょうか?
う〜心配(+_+)
心配、心配♪(って、凄く楽しそうな心配やなぁ)
まぁ、お眼鏡に適わなかったとしても、自己満足でいっか♪←あかんやろ
うん、うん、自己満足自己満足♪♪
とにかく初のヒム×森が書けたから自分的にはOKです。
では、後編をお楽しみに♪♪♪