Spicy Chocolate


 電話が鳴った。文字を追っていた目を仕方なく上げると、11時を過ぎていることに気付いた。
「ったく誰だよ、こんな時間に・・・」
 文句を言ってみたものの、新一には電話の主がほぼ間違いなく推測出来た。
 こんな時間に電話をかけてくる奴なんて、アイツ以外に思いつかない。
「はい、くど・・・」
「もしもし?新一か?」
 予感的中・・・。
「なんだよ、こんな時間に」
「え?うわ、もうこんな時間?ちょっと寝すぎたなぁ・・・」
「寝すぎた・・・って寝てたのか?」
「晩飯食うた後ちょい眠なって、さっきまで寝とってん」
「・・・・・・で?用件は?」
「まあそんな急がんと♪元気やったか?俺に会えんで寂しかったんちゃうんか?」
「用がねぇんなら切るぜ」
「あ〜言う。言うから切らんといて。まず聞くけど、新一、週末暇?」
「別に用事はねぇけど?」
「金曜日の夜からウチけぇへんか?」
 金曜?とデスクカレンダーを手に取る。一目で服部の目的が判った。
「別に良いけど、何で『金曜の夜から』なんだよ」
「え、何でって・・・」
「土曜の午前中とかじゃダメなのか?」
「いや、あかんっていうか・・・。ほら、その方が土曜日丸一日遊べるやん・・・」
「ふぅぅぅぅん」
「・・・。そ、それで、来るんか?」
「行ってもいいけど何かあるのか?」
「何もなかったら呼んだらあかんのか?」
「誰も悪いとは言ってねぇだろ」
「で、来るんやろ?」
「学校終わってからだから、そっち着くの6時過ぎるぜ」
「全然問題ないで。駅まで迎えに行くし」
「あ、迎えに来るんなら空港にしてくれ。飛行機で行くから」
「分かった。そしたら到着時間決まったらまた知らせてくれや」
「ああ。それじゃあな」
「おぉ!おやすみv」
 電話を切る。受話器を見つめながら、おそらく頬が弛んでいるであろう西の名探偵を思い浮かべる。
「何が『その方が土曜日丸一日遊べる』だよ。メインは金曜のくせに。ったく、しょーがねーなぁ」
 そう呟くと、有希子の本棚から持ち出した『簡単手作りデザート』をめくり始める。
「でも絶対チョコレートだけは作らねぇ!大体、何でオレがアイツに何か作らねーといけねーんだよ・・・」
 しかしその週の木曜日、工藤家で作られたお菓子はチョコレートだったとか・・・?
 そして、平次からの電話があった時に新一が読んでいた小説は『毒入りチョコレート事件』だったとか・・・?

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あとがき

 『恋人はサンタクロース』に続き、超短時間執筆です(泣)
 それもこれも、友人に配る用にチョコチップクッキーを作ってた所為だっ!←そんな訳は無い。全て瑞樹の計画性のなさが原因。
 しかも、『radiant smile』と同じく、バレンタインを前面に押し出せていない!!
 一応バレンタインを匂わすように書いたつもりなんですが・・・う〜ん(悩)
 「金曜日=バレンタイン」って分かりにくいかなぁ・・・(苦笑)
 書き直す時間もないので、今更何を言ってもムダなんですが・・・(溜息)
 題名と内容に関連性もないし・・・。
 瑞樹の考えとしては、平次に対する新一の態度(その他諸々)は「Sweet」より「Spicy」かな?って・・・。
 で、バレンタインだから「Chocolate」・・・なんて安易な(笑)
 はぁ・・・。これも『恋人は〜』と同じく、期間が終わったら削除してもらいますかね。

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