+  カカシの12月日記  +



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12月1日(金) 一日一善


帰り際にサスケを見かけた。

どうしたのかと思ったら、
家が焼失したらしい。

隠そうとしてたけど、まだまだ甘いな。
表情はともかく、仕草が律しきれていない。
ま、上忍と下忍の経験の差か。

アカデミーに泊まるつもりらしかったが、
無理やり家に連れて帰る。

放って置くのも気が引けるし。
偶にはイイコトをしてみるのも面白い。

一日一善。
……我ながら胡散臭い。
12月1日(金) 不本意


帰ったら、家がなかった。

正確に言うと焼失していた。
出掛けに火の始末はしたはずだ。
何故だ?

とにかく、屋根が無いのは辛いので、
今晩はアカデミーの屋根を借りようと
来た道を戻る。

運の悪い事にカカシに見つかる。
はぐらかすつもりで、ばれた。
俺の家に来いと言う。

丁寧に辞退したつもりだったが、
奴には言葉が通じないらしい。

結局カカシの家へ行く羽目に。
不本意の極み。

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12月2日(土) 苦笑い


起きたら朝食(昼食と言うべきか?)の
用意がされていた。

が、サスケの姿は見えない。
代わりに、ぶっきらぼうに書かれた
置手紙が一通。

苦笑いしつつ食べた朝食は、
冷めていたが美味しい。
温かいうちに、食べたかったかな。

ふらふらしていたサスケを連れ戻す。
どうやら隣家の失火が原因だったらしい。
12月2日(土) どうしてくれる


寝ているカカシは無視。
礼を書いた置手紙くらいは残してやる。

家(のあった場所)に戻り、
隣家の失火だと判明する。

補償金はもらえるらしいが、
家に置いてあった巻物などは戻る筈も無い。
どうしてくれる。

アカデミーに届出を出したり、
色々手続きをするだけで一日がつぶれる。
今日が土曜日で任務が無くてよかった。

今晩はどうしようかと歩いていたら、
カカシに発見され連れ戻される。

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12月3日(日) これだから


殊勝な事に、今日中にも出て行くと言う。
部屋も余っているし、
別に構わないんだけどね。

料理も上手いし。
こんな同居人なら、願っても無い。

そんな訳で、イチャモンつけて
サスケの家選びの邪魔をしてみた。

そしたら、本当に決まらなかった。
これだから素直な子供は。
12月3日(日) 嫌なのに


そう何日も邪魔する訳にはいかない。
出来れば今日中に新しい家を見つけ、
出て行くから。

朝食をとりながら、そう言ったら、
カカシは別に構わない、と言う。

奴に迷惑を掛けるのが嫌なのではない。
(普段さんざん迷惑を掛けられているのだから)
こちらが嫌なのだという事に、
気付いていないらしい。

家探しに、無理やりカカシがついて来た。
早い所決めたかったのに、見つからず。

これ以上借りを作るのは嫌なのに、
結局カカシの家で世話になる。

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12月4日(月) 間違いじゃあない


誰かに起こされるなんて、久しぶりだ。
しかし、もうちょっと優しく
起こせないものかね。

まあ、文句は言えないか。

久しぶりにアスマに会う。
変わりは無いかと聞かれたので、
朝起こしてくれる人間ができた、と答えた。

間違いじゃあないな、うん。
12月4日(月) 今日も


朝カカシを叩き起こしてから、先に家を出る。
朝食は用意しておいてやった筈なのに、
やはり遅刻する。
……二度寝しやがったな。

任務。
つつがなく終える。

任務後、家探しをするつもりだったが、
遅かったので断念する。

今日もカカシの家で世話になる。

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12月5日(火) 減るもんじゃあるまいし


そりゃ昨日起きなかったのは
(少しは)悪いとは思ったけど、
水かける事はないだろ、サスケ。
布団一式が台無しだ。

仕返しに抱きついてやった。
結構細い。

それにしても
日に焼けていない部分は、随分と白い。
しげしげと眺めていたら、
タオルが飛んできた。

見せて減るもんじゃあるまいし。
ケチ。
12月5日(火) 遅刻した


昨日の例があるから、
今日はバケツ1杯の水を掛けてやった。

流石に目が覚めたらしいが、
濡れた身体で、抱きついてきた。
蹴飛ばす。

そんなこんなで、俺まで遅刻した。
馬鹿らしい。
明日からは放っておこう。

任務は夕方までかかった。
今日も家探しは断念。

いつになったら、カカシの家から
出れるのだろう。

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12月6日(水) それでも


昨日ので懲りたのか、
声をかけるだけで、置いて行かれた。
それでも、起こしてはくれるんだな。

任務は午前中で終わった。
サスケは家探しに行く予定だったらしいが、
今日は用事があるので邪魔できない。

代わりに、ナルトとサクラに
役立ってもらう事にした。

……息の合った、実にイイ生徒たちだ。
見事にサスケの邪魔をしてくれた。
センセイ嬉しいよ。

明日の朝イチに三代目と会う事に。
12月6日(水) ばれる


朝食の準備は、ついでにしてやる。
出掛けに声だけは掛けた。
案の定、カカシは遅刻した。
もう知らん。

任務が午前中で早々と終わったので、
午後全てを家探しに当てようとした。

なのに、
カカシがうっかり(わざとか?)口を滑らせ、
ナルトとサクラに家の事がばれる。
二人してうるさい。

何故かそれで一日が終わってしまった。

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12月7日(木) 悪影響を


早起きしたら、サスケが心底驚いていた。
オレだって、やろうと思えば出来るんだよ……

生活態度を悔い改めようかと思ったが、
三秒で考え直した。

三代目の用事は、サスケに関する事だった。
まあ予想はついてたけどね。
別に、悪影響を与えるつもりはありませんよ。

三代目の認可ももらった事だし、
サスケの保護者を書き直しておいた。

はたけカカシ、と。
12月7日(木) 早く


珍しくカカシが寝坊しなかった。

と思ったら、理由があった。
三代目に呼び出されたらしい。
起きようと思えば、起きれるじゃないか。

カカシが呼び出されていたので、
今日は任務ではなく、訓練。

サクラが日用雑貨をくれた。
カカシの家に置いている荷物が増える。
荷物を持ち出す時、大変そうだ。

また家探しが出来なかった。
カカシの家に来て、これで1週間だ。
早く何とかしなければ。

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12月8日(金) 思惑通り


ナルトのガラクタを持って帰ってみた。

モノが増えればそれだけ
引越しが大変になる。
それを狙ってみたのだが。

サスケも変な所で律儀だ。
捨てもせずにしまい込んでいる。

こちらとしては、思惑通りだが。
12月8日(金) 補償金


補償金を受け取る。

新しく忍術書などを買いたいが、
また荷物が増えると厄介なので、
家が決まるまで諦める。

なのにナルトが昨日のサクラを真似して
家のガラクタを押し付けてきた。

受け取る気は無かったのに、
カカシが持ち帰りやがった。

月曜日から泊りがけで訓練する事に。
いろいろと必要なものがあるのに
家と一緒に燃えてしまったので、
それを買い足さなければならない。

補償金の最初の使い道がこれか。
虚しい。

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12月9日(土) 久しぶりに


保護者登録の件、
イルカがサスケに教えてしまったらしい。
案外早くに、サスケにばれたな。

きっとサスケは文句を言うだろう。
言いくるめるのも手だが、
面倒だったので、逃げる事に決めた。

こういう時、
居留守が使えないってのは辛いな。

久しぶりに花街にしけこむ。
12月9日(土) 聞いてない


偶然イルカに会った。

少し会話した。
耳を疑う情報をくれた。

俺の保護者として、
カカシが登録されているらしい。
俺はそんな事、聞いてないぞ?!

真偽を問いただそうとしたが、
カカシの姿が見えない。

奴を待つ事自体がむかつく。
さっさと寝る。

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12月10日(日) 気になる


花街の華やかさは、好きだったんだけどね。

いまいち楽しめない。
オレも、もう若くないのかな。
あーヤダヤダ。却下。

そう言えば、明日から泊りがけで訓練か。
準備はしていないが、まあいいだろう。
どうせ見てるだけだし。

それよりも
サスケが怒ってないかが気になる。
12月10日(日) 留守


家主は昨晩から不在のまま。
知らなかったから、朝食を作り過ぎた。

明日の準備をしなくてはいけないし、
何より家主が留守なのが気になる。
……鍵が無いから。

一日中、カカシの家にいる。

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12月11日(月) まさか、な


保護者の件か、遅刻の件か、
どちらかはわからないが、
サスケに蹴飛ばされた。

口より先に手が出るのは悪い傾向だぞ?

ぼやいたら、すごい目つきで睨まれた。
口をきいてくれない。
せめて理由を説明してチョウダイよ?

ナルトに指摘されたが。
昨夜の女の移り香が残っていたらしい。
完全に落としたと思っていたんだが。
忍として失格だな。

サスケは気づいていたのかな?
……………
……まさか、な。
12月11日(月) 理由なんてない


出かけなきゃいけないのに、鍵が無い。
ので、代わりに簡単な罠を仕掛けておいた。

集合時刻に遅れる事3時間、
カカシが現れた。
それ自体は、いつもの事だから良いのだが。

近付いたら、何か甘い匂いがした。

脛を蹴飛ばす。
理由なんてない。
ただ無性にむかついただけ。

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12月12日(火) 猫みたい


三者三様。

ナルトはクナイの扱いに癖がある。
指摘してやったが、
矯正には時間がかかりそう。

サクラはチャクラの扱いが上手くなった。
持久力がつけば、大したものだろう。

サスケは、……昨日から荒れてるな。
苛立ちをぶつけるように
手裏剣を投げるから、命中率が低い。

近付いただけで、猫みたいに威嚇された。
やっぱり撫でたら引っ掻かれるんだろうな。

今日もサスケはだんまり。
話しかけても無視された。
センセイ、ちょっとサミシイんだけど。
12月12日(火) それ以外の理由なんて


訓練。

手裏剣が標的から、はずれた。
腕が鈍っている。

修行を疎かにしたつもりは無かったが、
家探しで忙しかったからか。

それ以外の理由なんて、知らない。

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12月13日(水) 良い理由


木の葉隠れの里に帰る。

その帰り道でも、
サスケは口をきいてくれない。

どうしたら、機嫌を直してくれるか
考えながら家に入ったら。

サスケの仕掛けた
侵入者用の罠にかかった。

おかげでサスケの機嫌は直ったが……
サスケに合鍵を渡す良い理由になったから
まあ良いか。
12月13日(水) 合鍵


木の葉隠れの里に帰る。

カカシが侵入者用の罠にかかった。
上忍でも自分の家では油断するらしい。

いらないと言ったが、
合鍵を渡される。

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12月14日(木) そうか


サスケを連れて外食。

定食屋の主人に、奥サンに
子供を置いて逃げられた旦那みたいだと
からかわれた。

他人の目から見ると、そう映るのか。
センセイと生徒には見えないらしい。

そうか、親子か。
12月14日(木) 子供子供言うな


任務が長引く。

夕飯を作るのが面倒だったので
カカシの提案にのり、外食。

自分の分を払おうとしたら、
子供がそんな事気にしちゃダメ、と止められた。

子供子供言うな。

結局、カカシに伝票を取られた。

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12月15日(金) 逃げてしまった


もう忘れているだろうと
思っていたんだけどな。
サスケが保護者の件を蒸し返してきた。

咄嗟に逃げてしまった。
参ったな。
どうして逃げたのか自分でも不思議だ。

言いくるめるにしても何にしても、
面倒なだけで問題は無い筈なのに。

とりあえずアスマの家に転がり込む。
12月15日(金) 逃げた


イルカに会う。

流石に元担任だけあって、
欲しいものがわかるらしい。

アカデミーで余っている忍術書を
こっそり分けてくれた。

しかし、これでさらに荷物が増えた事にもなる。
悩む。

イルカに会って思い出した。
保護者の件についてカカシに問いただしたら、
……逃げた。

何でだよ?

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12月16日(土) オレの方が


そういえば、アスマも
受け持ち班あるんだよな。
気付くと話題がそこに移っている。

最近こなした任務だとか、
一人一人の評価だとか話していたら、
家に置いてきたサスケを思い出した。

それでぼんやりしていたら
アスマにどつかれた。

アスマの家から紅の家へ。
家を焼け出されたのはサスケなのに、
オレの方がそれっぽい。
12月16日(土) どうにかしないと


部屋を掃除した。

サクラがくれた日用雑貨。
ナルトから押し付けられたガラクタ。
イルカに分けてもらった忍術書。

あと、おまけでカカシから渡された合鍵か。
たった半月程なのに、随分モノが増えた。

早く家を見つけないと、
カカシの家から出にくくなる。
どうにかしないと。

家主は昨日から行方不明。

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12月17日(日) オレね


やる事も無いし、アカデミーへ寄ってみた。
イルカを見かけた。

思えば、イルカがサスケに
余計な事を教えなければ
こんな面倒な事には、ならなかった筈だ。

何だか無性にムカついてきて、
思うよりも先に手が動いた。

イルカに直撃した植木鉢の犯人、
オレね。

今日は花街。
12月17日(日) 嫌だ


久しぶりに家探しに出る。
決まらない。

たとえ家主がウスラトンカチでも、
カカシの家は居心地が良いのだ。
慣れてきている自分が嫌だ。

とにかく、数を絞る。

帰ってきても、カカシはいなかった。

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12月18日(月) これくらいの


さて、どう説明しようかな。
色々考えてはいたけれど、咄嗟に出た言葉は

任務。上忍の。

これくらいの嘘なら許されるだろ。

だって、サスケを避けてマシタ、
なんて正直に言ったら怒るだろうし。
12月18日(月) 複雑


独りの朝食は慣れている筈なのに、
何故か味気なかった。

カカシは、任務には姿を現した。
週末はどこに行っていたのか聞くと、
上忍あての任務があったのだという。

ナルトのヘマでサクラが怪我して
つられて俺もミスをした。

三人一組でも、こんなんじゃ困る。
カカシは笑っていた。

すごく複雑。

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12月19日(火) 無駄


予定していた任務がなくなったから
大通りをぶらついてみた。

サスケが来てから、食器の数が
不足がちだったので買い足したが。

偶然通りかかって、
サスケが契約直前までいった事を知る。

無駄な買い物、って事になるのかな。
気付いたら全て砕いていた。

家に帰る気がしなかった。
いや、サスケに会う気がしなかったのか。
12月19日(火) カカシがいない


任務が急遽取りやめになった。

時間が出来たので、
日曜日に目星をつけていた物件を回る。
多少不満は残るが、決める。

保護者の承諾が必要だと言うので
今日の所は帰る。

こういう時に限ってカカシがいない。
置手紙を残して、どこかへ出かけていた。

疲れていたのでカカシを待てず、
寝る。

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12月20日(水) 矛盾してる


サスケと顔を合わせたくなかったが、
任務だから仕方ない。

任務の後、予想通りサスケに捕まる。
保護者の承諾を求められた。

断る理由を見つけられなかったので
週末にでも、と約束したが、自信が無い。

借家の承諾はしても、
サスケが俺の家から出て行く事には
承諾したくない。

これは明らかに矛盾してるな。
12月20日(水) 形だけだし


相変わらずカカシが遅刻。
相変わらずナルトが騒ぐ。
相変わらずサクラが構ってくる。

そして俺は。
相変わらず淡々と任務をこなす。

任務の後、カカシに保護者の承諾が
必要だと伝える。

……それじゃあ週末にでも、と
了承を得る。

結局、これでカカシを保護者として
認めてしまった事になるのか?

どうせ形だけだし、
余計な事さえしなければ、それでも良いか。

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12月21日(木) たぶん、俺は


サスケが部屋を片付けていた。

本当に出て行くんだな、と思ったら
無理やりにでも足止めしたくなった。

どうやら俺は、サスケを
手元に留めておきたいらしい。
それがどういった理由かは
ぼんやりとだが、予想がつき始めている。

たぶん、俺は、
サスケに惹かれている。
12月21日(木) 何だか


ようやく先行きが見えてきたので、
荷物を整理する。

来週中にも
カカシの家を出る事が出来るだろう。

すぐにも使わない道具とかをまとめたら、
部屋がすっきりした。

あまりにすっきりし過ぎて、
何だか、何だか寂し

何だろう、わからない。

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12月22日(金) 上の空


今ならまだひく事も出来るだろうな。
そっちの方が面倒じゃなくていい。

理性ではわかっているんだが、
実際にやっている事は正反対だ。

どうしたら少しでも長くサスケを
手元に留め置けるか、考えている。

ずっとその事について考えていたから
今日は上の空。

気付いたら、サスケが難しい顔して見ていた。
まいったな。
何も言えなかった。
12月22日(金) 変だ


何だかカカシの様子が変だ。

いつものイカガワシイ本を
難しい顔をして読んでいる。

ナルトとサクラは気付いていないのか?

明日の事忘れるなよ、と声をかけたら、
ああ、と生返事した。

その本読むのやめろよ、と声をかけても、
ああ、と生返事した。

やっぱり、変だ。

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12月23日(土) 何やってんだ


結局、約束をすっぽかした。

サスケが起きる前に家を出た。
時期が時期だから、明け方はとても寒い。
里から少し離れた森で体を動かして、
久しぶりに汗をかいた。

……何やってんだ、俺は。
12月23日(土) いなかった


起きたら、カカシがいなかった。

任務が入ったと置手紙を残して、消えていた。
せめて、承諾書くらい残してくれれば良いのに。

時間ができたから、近くの森で修行した。

帰っても、カカシはいなかった。

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12月24日(日) 機嫌が悪い


自分自身がつかめなくて苛々する。

こういう時に限って、
ガイが勝負を挑んできたりする。
今日のオレは、本当に機嫌が悪いよ?
生きてるだけマシだと思ってくれ。

花街へ行くのは、今月何度目だ?
女たちが勘違いしているのが鬱陶しい。
12月24日(日) どうして


一日中家にいたせいで、
取り留めのない事ばかり考えていた。

よく考えたら、おかしい。
不自然と言っても良いかもしれない。

ここはカカシの家なのに、
カカシと一緒にいた記憶があまりない。

平日は良いとしても、
週末はいつもカカシがいない。

上忍ってのは、週末にばかり
任務が入るものなのか?

偶然? そんな訳無い。
なら、どうして。

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12月25日(月) 言いたい事は


何でもない顔をするのはお手の物。
忍としての経験も、
こういう時には役に立つ。

借家の契約について、
サスケは何も言わなかった。
代わりに何か言いたげな視線をよこす。

アレは、不信感、か?
それ以外にも……何だ?

言いたい事は、はっきり言え。
今のオレに、裏を読めと期待されても困る。
12月25日(月) ミスしてる


月曜日の朝はカカシがいない。
これも偶然か?

カカシは、任務には何食わぬ顔をして現れた。
気が散ってしょうがない。

任務が簡単な事で良かった。
そうでなければ、絶対にミスしてる。

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12月26日(火) だから


得も言われぬ表情でサスケが帰ってきた。
せっかく契約直前まで漕ぎ付けたのに、
それが無駄になったらしい。

謝ったら余計に怒られて
八つ当たりでモノが飛んできたが、
それを避ける気にもならなかった。

これ以上深みにはまるのは
マズイとわかっていても、
俺は喜んでしまったんだ。

だから、もうヤメにしようと思った。
12月26日(火) 謝るな


予定していた家に、
俺以外の入居希望者が現れた。

予定が狂う。
このまま年を越すはめになったら、困るのに。

全てカカシのせいだ。
文句を言ったら、笑った。

あんたの謝り方には、
真摯さが足りないんだよ。
そんなに嬉しそうに謝るな。

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12月27日(水) 年が明けてから


どうせ、いつかは
サスケはこの家を出るんだ。

取り返しのつかなくなる前に
さっさと行動するべきだろう。

やるべき事はわかっている。
今度こそは、サスケの望む通りに
保護者の承諾でも何でもしてやろう。
でもそれは、年が明けてからだ。

帰ってくるなり、
サスケは部屋に閉じこもったまま。
状況としてはありがたいが、
オカエリって言う暇くらいは欲しい。
12月27日(水) 嘘


アカデミーに用事があったので、早引きする。
そこで、三代目に会った。

ふと思い立って、
カカシの任務について尋ねた。
返ってきた言葉は………

カカシに裏切られた。
カカシは、嘘をついていた。

すごく、苛立つ。

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12月28日(木) さあ


任務の後、アスマ達と忘年会。
揃いもそろって皆、飲んで飲まれる。

素面だったのが、運の尽きだった。
後始末が大変で、うんざりする。
オレだって酔いたかったのに。

帰り際、三代目に声をかけられたが、
健闘を祈るって、何の事だ?

今年の任務は明日で終わりか。
サスケも俺も、暇になるな。
側にいる時間が長くなれば、
それだけ辛くなりそうだ。

いっそのこと、本当に
任務を志願してしまおうか。
そうすれば強制的にでも離れる事ができる。

さあ、どうしようか。
12月28日(木) わからない


何が何だか、わからない。
笑っているこいつの、どこまでがホントなんだ?
俺にはわからない。

わからないのは俺自身もだけど。
カカシが嘘つこうと、
俺には関係ないはずなのに。
どうして、こんなに苛立つんだろう。

そうだ。
いつだったかカカシからした、甘い匂い。
あの匂い、思い出した。
あれは、オンナの匂いだったんだ。

…何でこんな事を思い出したんだろう。
それこそ俺には関係ないはずなのに。

きっとカカシは明日の夕方頃に
また姿をくらまそうとするだろう。

逃がしてやるもんか。
絶対にとっちめてやる。

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12月29日(金) (判読不可能)


(以下、判読不可能)

12月29日(金)





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12月30日(土) 十分に


午前中、サスケはベッドから
出てこようとしなかった。

不機嫌そうに背を向けて
布団に包まっている。
宥めすかしても煽てても変化なし。

それでも俺は満足。
サスケがこの家に居てくれるってだけで、
十分に嬉しい。

ところで、サスケ。
そんなにベッドが好きなの?

言ったら、真っ赤になって
ベッドから飛び出した。
12月30日(土) 困らせてやろう


半日ベッドで篭城する。

昨日は日記が書けなかった。
金曜日のカカシは鬼門だ。
それだけは、よくわかった。

他にも、いろいろ……わかった事はある。
でもしばらくは、何もわからない振りをして、

カカシを困らせてやろう。

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12月31日(日) 今年も


今まで一人だったから
出す気がしなかったけど、
今年はサスケも居るしコタツを出した。
で、蜜柑を買ってくる。

コタツで蜜柑。
やはり冬はこれに限る。
今年はサスケも居るし、文句なし。

来年もこの調子でいきたいね。

ああ、書いてたら年が明けちゃったよ。
あけましておめでとう。
サスケ、今年もよろしく。
12月31日(日) 別に良いけど

今年もあと少しで終わり。

コタツを挟んでカカシが
蜜柑を剥いている。

もしかしたら、この家で
こうやってカカシとのんびり過ごした日は
初めてかもしれない。

一ヶ月も居たのに。
そう思うと、少し変な気がした。

結局、カカシの家で年を越すのか。

……………

……別に良いけど。

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end

2001/01/05-2001/01/31初出

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