砂礫の楽園 「うわっ!」 瞬間、悲鳴に近い声が上がる。ぼくは慌てて、賢ちゃんの口を塞ぐべく、賢ちゃんの唇を貪る。 「…っん…ぅ」 こんなところで、賢ちゃんのパパやママに来られて、困るのは賢ちゃんなんだから。 「もうすぐだよ」 触手と粘液とで、よくならしたソコは、思った以上に柔らかく。ぼくのを容易く受け入れ、波打つように、ぼくに絡み付いてきた。 賢ちゃんの躯に鳥肌が立って、ぼくの腕を力強く握り締める。 「く…っ、ふぅ…っん」 苦しそうに漏れる賢ちゃんの吐息が、ぼくをますます興奮させる。 「賢…ちゃんっ」 ぼくは賢ちゃんの躯を抱き締め、一気に賢ちゃんの奥まで貫いた。 「…はぁっ」 びくんっと賢ちゃんの躯がしなり、中にあるぼくのモノをぎゅっと締め付けてきた。その瞬間、ぼくは今までに経験したことのない、めまいにも似た、なんとも言いがたい心地よさに見舞われた。 たぶん、きっと。これが、人間同士での行為で生じる快感というもので。ぼくは、その状態のまま、軽く腰を動かしてみる。くちゅ、くちゅっと、賢ちゃんの中が音を立て、ぼくの下半身に震えが走る。 「ヤ…怖いよ…」 賢ちゃんにとっても、それは未知の感覚なのだ。 「ぼくがいるから」 ぼくは賢ちゃんの瞼にキスを落とす。 安心して、賢ちゃんはぼくにその躯を預けてくれればいいんだよ。そう言う代わりの、優しいキス。 どうしたら、賢ちゃんを不安がらせなくて済むのだろう。 ぼくは、ゆっくりと体を起こし、入れたままの状態で、賢ちゃんを抱きかかえ、ぼくの膝の上に座らせた。 「っ…」 賢ちゃんの肌が、薄桃色に染まっている。 「賢ちゃん、ぼくにしっかり捕まって」 賢ちゃんの両手をぼくの首にしがみつかせる。賢ちゃんとぼくの体がより密着する形になる。 「これなら、怖くなんかないよね」 ぼくは軽く賢ちゃんを突き上げる。賢ちゃんは、ぼくにぎゅっと抱きついて、がくがくと震えた。 ぼくの可愛い賢ちゃん。 ぼくだけの賢ちゃん。 賢ちゃんのこと、分かってあげられるのは、この広い世界の中でも、ぼくしかいないんだよ? 分かってる?賢ちゃん。 ぼくは何度も何度も賢ちゃんを突き上げて、ゆさぶって。賢ちゃんのいいところだって、こんな風に分かるのはぼくだけだってこと。賢ちゃんの躯が一番よくわかってると思うけど。 賢ちゃんの腰が揺れて。ぼくとの間にある賢ちゃんのたかぶって熱くなったものを、賢ちゃんがぼくのお腹に擦りつけるみたいにするから。賢ちゃんから滴り出したものを、ぼくは爪で掬い上げて。賢ちゃんを傷付けないように。そっと皮に触れ、軽く動かした。 「んっ!」 賢ちゃんの喉が鳴る。 「…あ、や…。でちゃう、からっ」 「賢ちゃん、気持ちイイの?」 賢ちゃんは幾度か躯を痙攣させながらも、頭を縦に振った。 「ぼくもだよ、賢ちゃん」 賢ちゃんの躯が感じるすべての感覚が、ぼくの体に伝わってくる。賢ちゃんの息使いも、鼓動も、全部。ぼくらは今、本当に一つになれたんだ。ぼくが長年夢見ていたことが、ようやく…。 「…っんん、ワーム…っ!」 賢ちゃんの躯がぎゅっと収縮して、ぼくにしがみついたまま、賢ちゃんは、ぼくの手の中に。快感を得ていた証であるものを放った。 「…賢ちゃ…ん」 その余韻はぼくにも伝わって。賢ちゃんの中にぼくも放つ。 「ん…」 その衝撃で、賢ちゃんの躯が、わずかにまた震える。 「賢ちゃん…」 ぐったりとなった賢ちゃんの頬をそっと撫でる。 「…ワーム……」 ずるっと賢ちゃんの腕がぼくから滑り落ちて。 「賢ちゃん?」 躯ごと、ベッドに崩れ落ちていく賢ちゃんの背に腕を伸ばし、ぼくは何とか賢ちゃんを支えた。 「…賢ちゃん」 賢ちゃんは返事をしなかった。何度呼び掛けても。揺すっても。 「賢…」 ぼくは静かに、賢ちゃんの躯をベッドに横たわせる。 「…あ」 賢ちゃんを寝かし終えたところで、ぼくの体はワームモンに戻ってしまった。賢ちゃんと繋がっていた部分はもちろん。体の脇から伸びていたいくつかの触手も。もうどこにもその形跡はない。 「賢ちゃん…」 体温の下がっていく賢ちゃんの躯。ぼくのと賢ちゃんのでべたべたになっているところを、ぼくは丁寧に舐め取っていく。大好きな賢ちゃんだから。綺麗にしてあげなくちゃ。奥まったところも、舌をいれて。中のモノを掻き出すように吸い上げて。最後に賢ちゃんの一番敏感な部分は、ぼくの口に含んで。 (賢ちゃん…) ぼくはこの時、ひどく幸せだった。だって、賢ちゃんは…。ぼくの……。 ぼくはまた退化する。最後の力を振り絞って、賢ちゃんにふとんを掛けたところで、ぼくも動けなくなっていた。 (大好きだよ…) 賢ちゃんに寄りそうようにぼくは眠りに落ちる。 このままぼくも、にどとめざめなければいいのに…。 |