搭の……中





ベッドの上に組み伏せられて、賢は焦っていた。唐突すぎて上手く頭が回らない けど、このままじゃいけないという事だけは、はっきりとわかる。タケルと名乗 った少年は、、見たところ、自分と背格好は同じくらい。それなのに、賢の両腕 を押さえつける手の力はかなり強くて、振りほどこうにもそれは不可能だった。 体の上に圧し掛かられて、体中弄られる。とにかく説得を試みてみよう。言葉が 上手く出てこないなりに、賢は努力してみた。今は相手も頭に血が昇ってる状態 、冷静になれば分ってくれる。

「あのっ!僕、心の準備が!っていうか、まだこういう事早いと思うし、それに !!僕、男なんですけど?!」

「いいの。いいの」

即座に断言して、タケルは賢の服を片手で器用に脱がして行く。このままじゃ裸 に剥かれてしまう!恥も外聞もすべてかなぐり捨てて、賢は大声を出して助けを 求めた。……が。ここは人里離れた搭のてっぺん。声は届かず、仮にそれを聞き つけたとしても、ここまで登ってこようなどと考える者は皆無である。賢はそれ を失念していた。声を限りに叫んだせいで、体力の大半を使い果たしてしまった ようで、しばらくすると賢は大人しくなった。露わにされた胸を、タケルの手の ひらが掠って行く。その度に体を撥ねさせて、賢は反応してしまった、心とは裏 腹に。誰にも触れさせたことのない体。今は知り合って間もない誰かに、好き勝 手に弄られている。賢は瞼をぎゅっと瞑った。情けなくて涙も出てこない。

「君、ボクが初めて?嬉しいなあ」

賢の心の内を知ってか知らずか、タケルはどこか呑気な声を出す。しかし声とは 裏腹に行為は徐々に大胆になっていく。下着を片足に引っ掛けただけの姿で、恐 怖に体を震わせている賢は、実のところあまりに扇情的で、タケルは余裕がすべ て吹き飛んだ状態。敏感な胸の先端を摘み上げると、賢の口からは堪えきれない 喘ぎが洩れる。

「気持ちいい?ここ感じちゃう?」

「なっ、何言ってっ!?」

賢の鋭い視線などまるで意に介さず、タケルは行為を更にエスカレートさせてい く。何かを言おうとしても、まるで意味の通った言葉にはならず、賢はただただ 喘ぐ合間に、空気を貪った。そうしていると、タケルの行動に振りまわされ思い のままにされて、嫌でもそれに従うしかないという屈辱さえも、次第に賢の脳裏 から薄れて行くのだった。

「ね、ここは?」

賢の体に電流が走ったような衝撃があった。ぼんやりとしていた頭から霧が晴れ るように、痛みに敏感になってくる。奥まで深く開かされて、賢は喘いだ。

「いや……だ。痛い……」

「嘘!痛くないでしょ?気持ちいい筈だよ」

「あ……やぁ……やめて。痛い……よ」

「嘘吐き!」

タケルは容赦なく慣れない賢の体を開かせていき、蠢く指が賢を苦しめた。そし て徐々に探るように内部を大胆に抉っていき、賢は堪らず悲鳴を上げた。

「ほらやっぱり気持ちいいんだ?」

「や……違う……あっ……止めて、もう」

タケルに握り込まれた賢の分身は、もはや痛いほど勃起しており、先端からは先 走りをたらたらと零していた。言葉でいくら否定していても、快楽を感じている という事は、一目瞭然なのであった。段々と息が上がる。ガクガクと体が揺れる 。今だかつてないほどの快楽に眩暈すら起しそうになって、賢は涙を零した。一 旦昇り詰めた体は終わりを求めて、更なる強い快感を呼び込もうと、賢の心を裏 切りつづける。背中が撓り、一際大きく震えが来たと思う間もなく、賢は達して しまった。頭の中は白く弾けて、何もかもがどうでもいいように思われた。徐々 に弛緩する体を沈み込ませた賢は、すぐにタケルに引っくり返された。

「やだよ……もう……」

賢の望みは叶えられなかった。背後に覆い被さるタケルの重みに息を詰まらせて る間もなく、タケル自身が侵入してきて、賢はうめいた。異様な圧迫感、例え様 のない痛み。全てが賢を翻弄してくる。揺さぶられて、突き上げられると、賢は 再び涙を溢れさせた。いつかは終わる苦行なのだと自らを奮い立たせても、なぜ 自分がこんな目に合わなくてはならないのかが、わからなかった。そんな考えも 、次第に霞む意識の中に置き忘れたようになって、じわじわと侵食して来る未知 の快感に賢は溺れた。どこか遠くの方ですすり泣くような声を聞きながら、賢は 全てを放棄して快楽の波に浚われた。そして、気が付けば心地よい疲労感の中、 全てが終わっていた。賢を腕に抱くタケルはやさしく囁いて、それに逆らう気力 も失せていたのが不思議と清々しかった。

「君を一生離さない。大事にするからね」

すでに喋る気力も無かった賢は、ただただ頷くだけしか出来きずにタケルの思う まま……。それ以来、毎夜のように忍んで来るタケルのせいで、賢は日に日に弱 っていたが幸いな事に、ヒカリの運んで来る食べ物に魔法が掛けられていたせい で、賢は日々元気に健やかに美しく成長していきましたとさ。




Happy end



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