店を出ると
すぐさま走った。
どこへ行けばいいとかアテもなかったけど
もしかしたら東京まで帰っているかも知れないけど
でも、早く会わないと
かかしに会って私の気持ちを伝えないと

がむしゃらに前の大通りを走って
まずは駅へたどり着いた
大きな時計は12時20分を指している
かかしと公園で別れてから
もう1時間半・・
きっと何本か新幹線が出ている

さっきより随分多くなった
人波をかきわけながら改札へ向かう
無駄なのは分かっているけど。

駅員にかかしの容貌を伝えて
通らなかったか確認した。
かかしは180cm以上あるし、
髪も長髪で目立つから。
しかし駅員は呆れた顔をして笑って
忙しいからね、と首を振った


ホームの中を覗き込む。
一般車両の乗り口しか見えない
足早やに階段を上がる人の波。
その中に姿はない

かかし・・

携帯は切ってあるようで繋がらない。
そういえば私からかけたのは
何回目だろう。
数える程なのは確かだ。
だってかかしはかけても出ないし、
出ても忙しいか酔っ払っているかで
いつしかこちらからはかけなくなった

それ以来、かけてくるのは
かかしからで
夜中だろうと
早朝だろうと関係なかった。
かかしが私と話したい時、
用事がある時、
仕事が煮詰まった時

・・・・そうか
かかしは
誰かと話したい時も
仕事がしんどくなった時も
私に電話してくれたんだ。

なのになぜ疑ってしまったんだろう。
なぜあんなことで拗ねてしまったんだろう。
沢山の大事な事を忘れて
自分の感情に走って
かかしを怒らせてしまった。


今、自分が宇宙で一番器の小さい人間だと思った


駅にいてもしかたがないので
とりあえず日の当たる駅前の
表通りを小走りに歩いた。
大量に飲んでしまったアルコールは
まるで太陽が溶かし出しているように
体をだるくさせる

行き交う人の年齢層はグッと下がり
休日の買い物に出かける若者で賑わいはじめていた。
向かいから来る女の子2人連れは
買い物を終え今からランチってところだろうか。
ショップの袋をさげ楽しそうに笑っている。
話し声がすれ違いざまに
自然と耳に飛び込んできた

「・・・でも朝めちゃ面白かったよね
huvcoolの・・かかし?だっけ?

オヤジに説教してんだもん」


そこでまた一笑すると
繁華街のある細い通りへと入っていった

オヤジ?説教??
耳を疑った。 一瞬だったし聞き違いかも知れない。
でも確かに「かかし」と言った。
そりゃそんな所目撃したら笑えるけど・・
かかしの事を笑われて悔しかった

急がないと本当に見つからない、
走り出そうと思ったその時。
はたと朝の事を思い出した


気分が悪かったから、あまり思い出せないけれど
駅でかかしが言ってた言葉・・。
それにさっきの女の子達の話。
もしかして


そうだ
そうなんだ、かかしはそうゆう人だった
私はそうゆうかかしが好きなんだ


かかしを笑い者にして
何やっているんだろう


今かかしがどこに居るのか
すぐ分かっていたはずなのに


私はきびずを返し、
さっきの子達が曲がった
通りへと走った。

  












つづく
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