(米)マイクロソフト社24時



アメリカ・オハイオ州・サンタマルタ・(米)マイクロソフト本社・AM7:42
「ふあ〜あ」と研究所では研究員たちが奇声をあげて起きはじめるころだ・・・。
少し短めの背広に細い目、ぶしょうひげの男、研究員1である、起きてすぐさまテレビをつけコーヒーを沸かしに行った。
そのテレビの音で目がさめたのか、向かい側のデスクの男が目を覚ました。
寝ているときもつけている薄めのサングラスにだらしなく着込んだワイシャツ、なぜかベルトのかわりにネクタイをズボンに巻いている、研究員Aだ。
研究員Aは露骨に疲れた顔をして「おまえ朝早いよな・・・」と研究員1に告げた。
コーヒーを沸かしながら研究員1は「朝8時のニュースが楽しみでね、こう研究所にこもりっきりだとなおさらな」と、答えた。
そういうもんかねと首をかしげながらテレビを見ると、8時のニュースは始まっていた。
ニュースキャスターが笑顔で「おはようございます」と告げている、ちょうどそのころコーヒーが沸いたらしく研究員1が二人分のコップを持って現れた。
「次に大変なニュースです」と、さっきまで笑っていたニュースキャスターの顔が変わる。この変わりようはすごいもんだなと感心しつつコーヒーをすする。
「マイクロソフト社の会長ビルゲイツ氏が、各省庁に定期的にハッキングをしていたことが今朝明らかになりました・・・」。
とたん研究員2人が、飲んでいたコーヒーを同時に吐き出した、研究員1の吐いたコーヒーは、近くの大切な書類にかかり、研究員Aの吐いたコーヒーはそのデスクのモニターにかかり、 バチッという音がしてモニターはブラックアウトした、二人は慌てたがそれどころではなかった。
再びテレビを見ると、報道陣に囲まれた彼らの会長ビル=ゲイツが写し出されていた、「あれはハッキングなどではなく、私はマイクロソフト社の会長として、セキュリティのチェックを・・・」 大量のフラッシュの中でビル=ゲイツは話すが、すかさず報道陣が「ほかの企業に情報を流していたという噂については?!」「なぜ、わざわざハッキングを?!」「スリーサイズは?!」などといろいろな質問が飛び交う。
「ノーコメントです!」たまりかねた彼はそう言った、その時研究員Aはテレビに映し出された映像を見てふと気付いた「そこうちの会社のまん前じゃん・・・」。
二人は顔を見合わせてうなずくと、あわただしく研究所を出た。
エスカレーターを駆け下りロビーにつくと、でかいガラス扉の前でビル=ゲイツと報道陣は大乱闘を繰り広げていた、周りにも駆け付けたらしい社員が唖然として見ていた、大量の報道陣を相手に殴る蹴るの大乱闘、見ている二人の前のガラスを 突き破り報道陣の一人が吹っ飛んできた。
一時間後・・・最後の一人が吹っ飛んで後ろの支柱にぶつかり倒れたところで、銀縁の円眼鏡に七三別け、ネクタイなしのワイシャツに地味な背広マイクロソフト社会長の、ビル=ゲイツは自動ドアを通り会社に出社してきた、全身傷だらけで、 一声「おはよう!さあ今日もがんばっていこうか!」と大声で言い、その場に倒れた。

つづく・・・

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