アメリカ・オハイオ州・サンタマルタ・マイクロソフト本社AM:10:52
一連の騒動もやっと一段落がつき退院してきた、銀縁の丸眼鏡にネクタイなしの背広、少し小太りな体系のマイクロソフト社会長ビル=ゲイツである。
本社に戻ってきた彼はデスクに座りなにやら書き取っている、横では秘書が秒間97文字という脅威的なスピードで今日の予定を告げている。
そして黙々と書き取るビル=ゲイツ。 「…と、いうのが今日の予定になっております」
一段落したのか普通のしゃべり方(いやどちらが普通なのかは定かではないが…)に戻った秘書がそう言った、それを聞いたビル=ゲイツはきょとんとした顔をして、
「えっなに?」と言った。 秘書はすこしむっとした顔をして、「ですから今日の予定です」と再び告げた、ビル=ゲイツは困った顔をして、
「いやあんたの声聞き取れんよ、その秒間90文字だっけ?」
「97文字です」と秘書が反論、「いやどっちでも同じだよいいからその謎のしゃべり方はやめてくれ」と困ったように言った。秘書も困った顔をして、じゃあ何を書き取っていたんだ?
と思い、ビル=ゲイツの手元の紙を見てみると、
そこには夕食のこんだてが書いてあった…今日の晩ご飯ビーフラーメン・・・
おもわず秘書は聞いてしまった、「チャーシュー麺のことですか?」するとビル=ゲイツは「えっ?何それ?」と聞き返した。
同時刻マイクロソフト本社24番研究所、デスクに座りパソコンに何か打ち込んでいるのは、少し短めの背広に細い目、
ぶしょうひげの男、研究員1である、いっぽうその向かいで奇妙な動きをしているのは、寝ている時もつけている薄めのサングラスにだらしなく着込んだワイシャツ、なぜかベルトのかわりにネクタイをズボンに巻いている研究員Aである。
彼は先ほどコーヒーを射出して使えなくなったモニターが修理から帰ってくるまで暇なのでである、暇に耐え兼ねた彼は「ダバダバダバダバダバダバ」と奇妙な声をあげながら踊ってみる、くるっと一回転振り向きざまにさりげなく研究員1をちらっと見てみるが、彼はとくに反応を見せず相変わらずパソコンになにか打ち込んでいる。
「ちっ」っと悪態をつき、とりあえず次の作戦を考える…するとふと何かを思い出したようにキッチンにむかう、キッチンといっても本当はすぐ隣の部屋の給湯室と研究室との間の壁を破壊…いや加工して通れるようにしたものである。
そのキッチンで研究員Aはおもむろにお湯を沸かし始めた、そして「ふふふ」っと奇妙に笑うと棚からコーヒー豆を取り出した。
そのころロビーでは、ビル=ゲイツが険しい顔つきで自動販売機をにらんでいた、手に持った1ドルコインをコイン投入口に入れる、ほどなくしてジュースのボタンのランプがつく(50メガヘルツ程度か…)となにか勘違いしてCPUの単位を思い浮かべる、すでに彼の脳みその中はアセンブラーの2進数回路になっており、なにやら難しい計算を繰り広げている…
なにかものすごく間違えていることに彼自身も気付いていない、なにやらぶつぶつつぶやきながら自動販売機の前に立っていると、ちょうど通りかかった技術者が彼を見て
「あのーどうかしました?」と聞いてみる。
するとビル=ゲイツは突然彼の肩をガッっとつかみ、とまどう技術者に向かって「21112200021110201221120102」とまったく意味不明な言葉で話し掛けた「えっ?いや、なんですか???」さらにとまどう技術者「0112020110201202121001!」
さらにアセンブラーの二進数機械言語で話し掛けるビル=ゲイツ、身の危険を感じた通りすがりの技術者は「include:studioHvoide
win98(CDC*pDC)/…」とC言語で反撃、途方もない戦いの始まりである…。
一方コーヒーを沸かし終えた研究員Aはお盆にのせたそのコーヒーを持って壁の通路(穴)を通り、研究所に戻ると奇妙な声で「コーヒー沸かしましたよ」と言うが実は彼は計画をたてていた、
その計画とは事故を装いコーヒーを持ったまま転倒、厳密にコーヒーの落下地点が研究員1のモニターになるようにして…いわゆるただの八つ当たりである。
「ふふふ」と、また奇妙な笑みを浮かべる、何も知らない研究員1は、「ああ、ありがとう」とモニターを見ながら言った、その直後「おっと!」とわざとらしく言いながら研究員Aは転倒する(ふりをする)研究員1は驚き、コーヒーは
そのまま研究員1のモニターにいまにもかかってしまう、(勝った!)と研究員Aは心の中で叫んだ、その時だった!
研究室のドアが吹き飛び怒涛のごとくビル=ゲイツが華麗なバックステップで入ってくる…いや突入してくると言った方が適切であろうか…そのドアの風圧でコーヒーを入れたコップの軌道が外れた、意外な突入者に驚く二人の研究員を尻目にビル=ゲイツと通りすがりの技術者は「021020102110201220!!!」。「bool
buttondown=FALSH; void CPasteVIEW::on?!!!」とあいかわらずC言語とアセンブラーで口喧嘩(?)をしている。
ちょうどその後ろで、 軌道が外れたコーヒーは研究員Aのマシン本体にかかった、またまたバチッという音がして電源コネクターが火花を出した、その事態に気づいた研究員Aはなぜか壊れているはずの研究員1のモニターはなんの損傷もなく代わりに火花を吹いている自分のマシンを見て驚愕した…自業自得である。
一方そんなこともかまわずにビル=ゲイツと通りすがりの技術者は二人で握手している、ここにまた一つ友情が生まれた
…、自分のマシンが壊れて嘆く研究員A、奇妙な友情(?)が生まれて抱き合うビル=ゲイツと技術者…その中でただ一人何も知らず何もなかった研究員1は、再びモニターに向かい仕事の続きを始めた…。