あなたは左へ曲がって走り続けている。
『ふだんから、もっとスポーツをするべきだったかな・・・?』
心の片隅で、ふと思う。
『忙しいから』とか、『また今度』とか思いながら、なかなかスポーツをしなかった。
そのツケをここで払うのだろうか? 女の子になることで・・・?!
『・・・冗談じゃない!!』
あなたは歯を食いしばって走り続ける。
「?!」
あなたの視界に何かが見えた。
よく見ると植え込みの向こう側の芝生の広場にジャングルジムや、ブランコ、滑り台が置かれている。
普段は子供の声があふれる広場には、今は誰もいない。
あなたはその遊具の一つに視線を向けた。
鮮やかな色に塗られたコンクリート製の“土管”・・・おそらく子供たちが中に入って遊ぶためのものだろう。
あなたは道を逸れて植え込みを飛び越えた。
視線の下で、コスモスの花が風に揺れている。
あなたは芝生の上を走る。
後ろを振り返ると、やはりあの女性・・・“鬼”があなたを追ってくる。鬼の手には・・・?
「マジかよ?!」
あのカードが握られている・・・それを貼り付けられた瞬間、あなたもあの“中年オヤジ”と同じ運命をたどるのだ。
あなたは遊具の間を駆け抜ける。

右へまがる。

左へ・・・。

まるで“鬼”を振り回すように走る。
“鬼”の視線が一瞬あなたから逸れた。
その瞬間、あなたは土管の中に転がり込んだ。

「ハア・・・・ハア・・・」
乱れる呼吸を、深呼吸をして懸命に抑えようとするあなた。
息を殺して外の気配を窺った。

あなたを見失った女性が、辺りを歩きながらあなたを探していたが、やがて諦めたように歩いて行く・・・他を探しに行ったようだ。
大きく息をついて、ホッとしたあなた。

その時、突然携帯電話から着信メロディーが流れた。

メールだ・・・。

またあの差出人からだった。
あなたは手早く操作をすると、メールの内容を見た。









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