あなたは真っ直ぐ走り続けた。
チラッと後ろを振り向くと、黒いスーツ・タイトスカート姿の美女が猛スピードであなたを追ってくる。
男性の陸上選手でも、こんなスピードで走る選手は、それほどいないだろう。
しかも、彼女の足元は陸上競技のスパイクや、ランニングシューズではないのだ。
黒い革製のパンプスで走っている。
「なぜ、そんなに速いんだよ?!」
叫んでみても、彼女は答えない。
それどころか、余裕の微笑みすら浮かべている。
その『美女の微笑み』も、今のあなたには不気味さしか感じさせないのだが。

「?!」
左にSL・・・蒸気機関車が見えてきた。
昔、国鉄で走っていたC62形蒸気機関車だ。
子供たちの遊び場にするために、ここに展示しているのだろうか?
あなたは蒸気機関車に向かって走っていく。
その後ろを美女・・・“鬼”が追う。
あなたは動輪の間を抜けると車体の下にもぐりこんだ。
彼女が下を覗き込む。
あなたは素早く、反対側の動輪の間から抜け出すと、SLの運転台に転がり込んだ。

彼女がSLの周りを探している。
胸に手をあてて息を殺して隠れるあなた。
『早く向こうへ行け・・・』
心の中で祈る。

やがて彼女は、また道の方へ歩いて行く。
ホッとするあなた・・・秋になり涼しくなったのに、汗でびっしょりだ。
あなたがハンカチで汗を拭っていると、携帯電話から着信メロディーが流れた。

メールだ・・・。

またあの差出人からだ。
気味が悪かったが、あなたは手早く操作をすると、メールの内容を見た。





「ミッション?!」















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