あなたは道を右に曲った。
急ぎ足で公園の道を歩いて行く。
色づいた紅葉も、風に揺れるコスモスの花も目には入らない。
時々地図に目を落として場所を確認し、辺りを見回して“鬼”の来ないことを確か目ながら先を急ぐ。
風で生垣の枝が揺れて音をたてただけでも、あなたの胸はドキドキしていた・・・こんな緊張は、なかなか味わえないだろう。
売店が見えてきた。店の前に銀色に光る金属製の箱が見える。
あなたは小走りに駆け寄ると、右手の手首につけられたタイマーを読み取り装置に当てた。
『ピッ!』
電子音が鳴ると同時に、タイマーの画面からスピーカーのマークが消えた。
ホッとして、大きなため息をつくあなた。
安心をして、喉の渇きを感じたあなたは、自動販売機にお金を入れた。
ボタンを押すと、
『ガチャン!』
大きな音とともに、取り出し口にペットボトルのお茶が出てきた。
思わずあたりを見回すあなた・・・しかし、誰もいない。
蓋を開けると、一気に飲み干す。
あなたはタイマーに視線を移した。
スタートから30分。
「・・・なんとか間に合ったんだな・・・」
思わず呟く。
携帯電話が鳴っている。 メールだ。
あなたは手早く操作をすると、メールをチェックする。
通達 ゲームがスタート後30分が経過をしたため、これよりゲームの難易度を上げる。 これより10分おきに“鬼”を一人ずつ追加し、最終的には“鬼”を7人とする。 |
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「マジかよ・・・?」
あなたは思わず天を仰いだ。
4人でも厳しいのに、50分経過時点では7人?!
しかし、あなたは『男でいるためにも』逃げきらなければいけない・・・。
その頃・・・。
公園の駐車場に黒塗りのワゴン車が滑り込んできた。
公園の入り口で止まると、ドアが開き、黒いスカートスーツの美女が車から降りてきた。
彼女は辺りを見回すと、公園の中であなたの姿を探し始めた。
「とにかく・・・ここを離れよう」
あなたは、また歩き出した。
30分間必死に逃げ回り、時には“鬼”に追いかけられた。
それだけに、そろそろ足にも疲れが出てきている。
「・・・あれは・・・?」
あなたの前には美しい花壇が・・・その中に、木で造られた“トンネル”がある・・・隠れるにはピッタリだが・・・・?
<あそこに隠れて休もう> <いや・・・もう少し歩こう!>