何を期待して、何を欲しているのか・・・
身体の芯では分かっていて、でも理性が知らないふりをする

36.5℃の時間 [ Day2 ]
『三蔵』 駆け抜けていった“何か”につられるようにして。 気付いたら、法衣の帯を解いて胸元をくつろげていた。 そして、手は段々と下肢へ伸びていって・・・ 「っくそ・・・」 自制の効かない身体に悪態をつく。悟浄の部屋との間を隔てている壁に背中を預けて ベッドの上に座り込んだ。 一度触れてしまえば、その熱は収まることを知らなくて。 悟浄が怪我をする前も数日間の野宿が続いたのだ、当然と言えば当然だろう。 「あの・・・バカ・・・・」 本当なら、この熱を生むのも静めるのも。 アイツにしか出来ないはずなのに。 『三蔵・・・』 「っ・・・は・・・・」 おずおずと手を伸ばすと、ソコはもう先走りで湿っていて。 『三蔵さまってば・・・敏感だね〜。』 笑っていう悟浄の声が耳の奥で響く。 悟浄がいつもやるように。 先端を割るようにしながら、幹の部分を擦りあげる。 「んぁっ・・・」 思わず声がもれそうになって、慌てて口を閉じると 『いいじゃん、声だしてよ。』 また、声が聞こえた。 「はぁ・・・っ」 くちゅくちゅと手の動きにあわせて漏れる水音と、階下で交わされる人々の会話が あまりにもアンバランスで。 こんな行為に没頭する自分が浅ましいと思う。 けれど、その背徳感すら今は催淫剤のようで。 「んっ  ・・・ぅ・・・」 手を伸ばしたソコよりも、もっと奥の部分が疼くのに 気付かないフリは出来なかった。 「っ・・・・・」 ダメだと思いながらも、自分の液で濡れた指を一本忍ばせる。 何の苦痛をも伴わないどころか、却って熱を煽るだけになって、 あっと言う間にその指は2本、3本と増やされた。 「っぁ」 入り口を擦られる感覚を感じようと、何ども出し入れする。 その度に、くちゅ・・・くち・・・・と音がすることすら、もう気にならなくなっていた。 『ココがイイんだろ?』 そう言って、指を曲げる悟浄を思い出して、中指を鉤のように曲げると 「あ、ぁ・・・」 とたんにビリビリと快感が走って。 出し入れするスピードが速まって、 「っ・・・」 声を上げないように唇をかんだまま、三蔵の身体がピンと伸びて、 そしてベッドのスプリングの上に落ちた。 「ね〜ママぁ・・・あれ買ってぇ?」 遠くで聞こえる声が、急に現実を呼び起こして 途端に羞恥で熱が上がっていく気がして、シャワールームに駆け込んだ。 ふぅぅっ 紫煙と共に吐き出した溜息は、自嘲の色。 あろうことか、日のあるうちからあんな行為に耽ってしまった自分 そして、一人の男が頭から離れない自分に対しての。 「胸くそワリィ」 先ほどまで、あんなにも睡眠を欲していたはずの身体は 頭からかぶった冷たいシャワーのせいでしっかり覚醒してしまっていて。 眠気と芯に微かに残る火照りの置き場所は未だに見つからないまま。 「三蔵、そろそろ夕飯にしようかと思うんですけど。」 そう、八戒が声をかけてきたのはどれくらい経ってからだったか。 窓を開け放して煙草を吸っていたというのに、その空の色の変化すら気付かなかった。 「わかった・・・おい、河童は?」 「悟浄は、また寝ちゃいました。食事は後で何か持って行くことにします。」 本人も起こされてまで食べたくないでしょうし。 「さんぞ〜、はっかい〜、まだ〜?」 八戒の更に向こうで、早く早くと急かす声が聞こえて、 大して読んでもいない新聞を簡単に折りたたむと、ベッドを降りた。 「うっめぇ〜」 周りのテーブルから視線を集めるほどの速さで、悟空が料理を片付けていく。その様子を横目で見なが ら、俺と八戒の話題は必然的にここにいない男のことになった。 「いつになったら出発できそうなんだ?」 自分でも分からない苛立ちが、言葉の端に滲む。 「そうですねぇ・・・まあ、あと2,3日って所でしょうか。」 もう、血液自体は十分になりつつありますし、と続ける。 「・・・で、お前は大丈夫なのか?」 「はい?」 突然の質問に、なんのことですか?というポーズを崩さずに。 「寝てねぇんだろうが、あのバカの面倒で。」 「まぁ・・・でも、さっき少し昼寝もしましたしね。」 バレてたんですか・・・という風に苦笑しながら八戒が言う。 「それに・・・眠れなかったのは僕だけじゃないでしょうし。」 ね?と確認するように、その深碧の眼で微笑まれて、別に疚しいことでもないのに顔を背けてしまう。 そこへ、 「お客様、先ほどご注文になったお食事のことなんですが・・・」 と店の店員が控えめに声をかける。 「ああ、すみません。それじゃあ、あとで貰いにうかがいますので。」 「かしこまりました。」 手短に八戒が応対をして。 「悟浄の食事を別にお願いしておいたんですよ。ってことで、三蔵、届けてあげてくださいね。」 にっこりと、有無を言わせない響きに 「なんで俺なんだ。病人の世話はお前の方が向いてるだろう。」 と反対の声を上げる。けれど、 「さっき、僕の心配してくれたじゃないですか。だから、お言葉に甘えようかと思って。」 「なら、あのサルにやらせ・・・」 「んん?はひ(なに)?」 口に物を詰め込んで、もごもご言いながら顔をあげた悟空を見て 「・・・わかった。」 そういうしか、選択肢は残っていなかった。 トントン ノックをしても返事がないので、音を立てないようにそうっと部屋に滑り込んだ。 サイドテーブルに持ってきた粥を置いて、寝ている男の額に張り付いた前髪を剥がしてみる。 「んっ・・・・」 眉が顰められて、そしてゆっくりと紅玉が姿を現す。 「・・・・・さんぞ?」 ゆっくりと頬に伸ばされた手を振り払う気にもならず、 「何か喰えるか?」 と尋ねる。目の前の男はもそもそと身を起こして、 「ん。三ちゃんが食べさせてくれるんならv」 と何時ものような軽口を叩く。そこまで回復しているんだと、ほっとして 「そんなこといってねぇで、さっさと喰え。」 とスプーンを差し出してやる。 「はぁい。・・・いただきます。」 悟浄の食事が終わるまでのそう長くはない時間、俺は何とはなしにあいつの食べるところを見ていた。 他にすることもなかったからなのだけれど、その口元に視線が行ってしまう。 「さんぞ?どうかした?」 何も言わないのを不審に思ったのか、悟浄の問いかけで我に帰った。 「・・・いや、なんでもねぇ。全部喰ったのか?」 「あぁ。ごちそうさま。」 「そうか。とりあえず、ちゃんと休め。」 「うん、・・・・ね、三蔵、シャワーあびてぇんだけど。」 野宿が続いたことも重なって、暫く温かいシャワーを浴びていないのは事実。 けれど、こいつは昨日かなりのケガをしたのだ。 「・・・シャワーって・・・てめぇは自分の怪我のこと分かってんのか?」 「あ、やっぱりダメ?ならさ、身体拭いてくれると嬉しいなぁ・・・なんて思ったり・・・」 最後の方は、『ご機嫌伺い』の色が濃くて、俺を見上げるようにして言う。 もとから、こいつの『お願い』には逆らいにくいのに、更にこいつは今怪我人で。 「わかった、タオル持ってくるからちょっと待ってろ。」 そういって、バスルームに入ってからも、いつもより忙しなく働く心臓を押さえることも出来ずにいた。 「ったく・・・」 自分が、何に期待しているのか。 『三蔵を見ると欲情しますからね、悟浄は。無理させないでくださいね。』 八戒の言葉が警鐘を鳴らす。 「ただ、身体を拭くだけだ、それ以外の何もねぇ。」 そう自分に言い聞かせて、お湯を張った桶と真新しいタオルを持ってベッドへ向かった。
Day2 Fin Next
何だか、おかしな展開になりつつありますね。 Day2の後半をお届けしました。 まったく、あんなに間を開けておいてこの程度かよ?と言うつっこみは 自分自身で何度となくしましたので、しないでいただけると・・・(苦笑) 三蔵は、これじゃあただ飢えているみたいです。 でも、確かにそういう理由で眠れないって言うのもあると言えばある・・・ なんて、無意味な弁解をしてみたり。 とりあえず、もうそろそろ完結させる予定ではいます。 本当に、遅くなってしまってごめんなさい。 蒼 透夜

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