遠野家の開かずの金庫。 今日も琥珀さんと俺はその前にいた。 もしかしたらなぜか持っている鍵で開くかもしれない、と思い鍵を金庫の鍵穴に差し 込む。 あっさりと、金庫が開いた。 「……琥珀さん、どうぞ」 「いえいえー、志貴さんどうぞー」 ここに探しているものがあるかもしれない、と琥珀さんは言っていたのだから、琥珀 さんに初めに見てもらいたいと思った。 「いえ、志貴さんが開けてくださいませんか? お願いします」 そう言われて、俺は金庫の中身を取り出した。 「……………………いや、まて」 その中に入っていたのは一枚の写真。 その写真には二人の子供がキスしているのが写っている。 その二人は…… 俺と―― ――四季だった。
しゃしん 書いたアホウ:しゅら
「……これです」 …後ろから聞こえてくる琥珀さんの声。いや、幻聴だ。気のせいだ。 こんなもの初めから無かったんだ。 俺がそれをびりびりに破く前に琥珀さんがそれを奪い取る。 「とうとう見つけました……ああ」 なんか恍惚とした表情。やべぇ。 「あ、でもこれちょっと構想に不満がありますねー。やるんだったらこー志貴さんを下 に組み敷いてねっとりと舌を絡ませてー」 いやそんな具体的に語られても。 「てゆーかこれどう見ても合成でしょ?」 俺そんな記憶ないし。 「……私、ずっと見てました」 いきなり琥珀さんがマジモードになった。 「出ることの出来ない部屋の窓からじっと志貴さんたちが遊んでいるのを……」 どこか遠い目をする琥珀さん。 その目がいきなり熱を帯びた。 「そして……翡翠ちゃんたちからはなれたところで熱いキスをかわす四季さまと志貴さ ん……」 嘘だ。 俺はそんな記憶が無い。 「覚えてらっしゃらないのも無理はありません。だって槙久さまが強力な暗示をかけて いらしてたんですから」 うそだ。俺に、そんな―― 「ダメですよ志貴さん。そんな昔を否定されちゃ四季さまが可哀想です」 そんな、そんなはずない。 俺はともすれば体中から噴出しそうな、嘔吐感、寒気。 そして、押さえきれない興奮。――封印されたはずの、記憶。 四季に押したおさ「違う……」 四季と裸で抱きあ「違う…」 四季をモノを舐め「違う」 四季に挿入れられ「違うっ!」 ―――が。はぁ…。 眩暈がした。 なんなんだよ、この――気持ち悪さは。 ふらりと、視界が床一色になった。 「ふぅん……、槙久さまも頑丈な封印を仕掛けたものですね。四季さまとのコトを思い 出そうとすると途端に体調を悪くなるようにプログラムするだなんて……。愛する人の 褥どころか、接吻ですら思いだせないだなんて…… ……なんて、――可哀想」 憐憫の眼で見る琥珀さん。 違う。違う……違うんだ。 俺は、……う、げぇ……ちが、う…… なのに、なんでだよ。 なんで、アイツの――四季の、顔、ばかり…… 「……ぐあ……が」 ああ そういえば 「…がぁっ……ぐぁあああああっ……」 あいつ やさしいかお ばかり してたよな 「が、あああああ……あ……あう……ぐぅっ……」 なんで なんで いまさら おもいだす――んだ―よ―――― 「……苦痛まで呼び出すだなんて……でも、我慢してくださいね。志貴さんが元に戻る にはコレしかないんですかへぶばっ!」 し……き…… 「琥珀ーーーーーーーーーーっ! 今日と言う今日はもう許さないわよっ!!!」 「姉さん。……地獄、見せてあげる」 「きゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー……」 どこっ ざす あき さま すばっ そん ひどっ ぐしゃ ひす めきゃ やめ…… ご め ん な「兄さんっ!」 「志貴さまっ!」 「……あ?」 「大丈夫ですか兄さん!」 「……俺?」 「いいんです志貴さま、何も思い出さないでいいんです……」 ごちゃごちゃになった頭の中がゆっくりと、整頓される。 なにか、大切なコトを忘れたような……なん、だろう? なにか、凄くもどかしい。 「志貴さま、ゆっくり休んでください」 「ええ、今日のコトは全部忘れて、ね?」 「あ、ごめん……ところで」 「なんです?」 俺は、そこに転がってる血まみれの着物着た物体を指差した。 「……琥珀さん、生きているのかな?」 てゆーかだばだばと血が流れているんですけど。 「いえ、このようなゴミは情けなぞかけず早めに処断すべきです」 「そうね。翡翠、悪いけど後始末お願い」 「かしこまりました」 「さ、兄さんも、早くここを出てください」 そう言って俺は部屋を追い出されてしまった。 ……まあ、俺も早めに忘れるとするか。うん、そうしよう。 まだ、胸内はもどかしいままだったが。 どっとはらい 「……危ないところだったわね」 「……はい。危うく志貴さまがあちらの世界に行ってしまうところでした」 「まったく、せっかく元の世界に戻してくれたと言うのに……」 「私、槙久さまが暗示をかけてくれた事に関しては今でも感謝しています」 「私もよ……もしかしたら琥珀はそこが許せなかったのかもしれないわね」 「……ただの趣味かもしれませんが」 「それはそれで嫌ね……翡翠、お茶おかわりしてくれるかしら」 「かしこまりました」 「ふ、ふふふ………次、こそは……」 「姉さん、反省が足りません」 「あ、翡翠ちゃん、もう、翡翠ちゃんのりょうりはいや…… あんぎゃらーーーーーーーーーーーーーーす………」 あとがき 「つぅっ! つぅぅっ!! つぅぅぅっっ!!! ――――――ぅぅっっ!!!!」 何いきなり「鬼狼伝」(C)vlad様の月島拓也っぽくわけわからん叫び声あげて悔しがってるんですか琥珀さん。 「だってだって! あともう一歩だったのに! くっそうこのダメ作者まだ開眼しきれてませんね!」 いや開眼されても、その、なんだ、困る。 「チェンジ! こんなダメ作者よりもちっとマシな人が続き書くべきです! チェンジッ!!」 チェンジとか言うな本人の前で。 「黙りやがりなさい。大体、あそこまで書いておいてこんなくっだらない落とし方だなんて! 一体何人の健全なネットジャンキーが騙されたと!!」 ネットジャンキーが健全かど―かはともかく、わしが書くんだからこんな落とし方するってことぐらい判りそーなもんかと。ねえ? 「……で?」 で? 「次は書くんですよね? 四季志貴本番!」 さあ? 「……まあ、書かない、というよりはまだマシですけど」 だってリクにロアネロの依頼着てるし(汗)わしにどーしろと(w 「じゃーちゃっちゃか書いてくださいねー」 いや、他にも色々と書かなくちゃならないし…… 「後です後!」 えー、他の人に頼んだほうが手っ取り早いですよー? 「他の人は他の人で書かせますから無問題です」 ひでぇ。 「ごちゃごちゃいわんととっとと書きなさいっ!」 ぷすっ きゅう…… 「あら? 薬の配分間違っちゃった? ……ま、いいでしょ。替りのSS書きなんていくらでも居ますからー。さぁて次は誰に頼みに行こうかなー……」 気を付けろ、琥珀さんがさまざまなSS書きに脅しをかけにくるぞぉっ! つづ……かない いや、多分