(ああっ、もうだめっ。) (うーっ、ご主人様、早く帰ってきてくださいぃ。) 春先の暖かな午後、傾き始めた西日が床をはって近づいてくる。 さっきからおトイレに行きたいんだけど、ご主人様にお許しをいただかない と行くことはできないの。勝手に行ってもばれないって?そりゃ、行けたら ばれないかもしれないけど、わたし今はこの部屋から出られない。だって、 後ろ手に縛られて、わんちゃんみたいに首輪でつながれちゃってるんだもん。 ベッドに腰掛けて一番楽な姿勢で、もう、ずいぶん長いこと尿意と闘ってる。 ああ、脂汗かいてる。なんか気持ち悪くなってきた。 うう、ご主人様ごめんなさい。もう、限界です。あんまりがまんすると 膀胱炎になるって言うし。あん、なんでこんなときに限って着衣でしばられ てるんだろ。服汚しちゃうよぉ。せめて、自由な両足で靴下脱いで、そばに 掛けてあったタオルを床にしいて、はぁ、そんなことしてるあいだにも、 もれそう。 あーあ、もうだめ、生理的欲求が理性に勝っちゃった。パンツはいたまま、 しかたないじゃない。床に敷いたタオルの上にしゃがんだけど、羞恥心が最 後の抵抗をする。でも、それも時間の問題。ちょろっと出てしまうと後は もうとめられない。 びちょびちょびちょ。 あぅ、気持ちいい、けど、惨めだぁ。パンツからしたたるのと同時に両足 にもおしっこが伝って床のタオルに吸い込まれていく。スカートもすそのほ うがびしょびしょ。この後が嫌なんだよな。パンツ脱げないんだよ。しくし く。 バタン。ドアの音。あ、ご主人様だぁ。くぅ、ご主人様のバカ、あともう もう少し、もう少し早かったら間に合ったのにぃ。 「ただいま。」 「…。」 「どうした?」 「…、あの、ごめんなさい。…やっちゃいました。」 「ん?あーあ、我慢の足りない奴だな。」 「そんなこといったって…。あの、後始末させてください。」 「ああ、そうだな。後ろ向いて。」 くるりと後ろを見せるとぱしっと音がして腕を首輪から垂れ下がったバンド に固定していた革の帯が解かれた。 首輪の鎖もはずしてもらってそそくさと後始末をする。服を着替えて、 床はほとんどタオルが吸い取ってくれたから軽く雑巾がけするだけ。 汚れ物は水につけておこう。一段落したら、ご主人様から言われた。 「じゃぁ、地下室においで。」 「ふぇ、やっぱり?」 「おもらししたらおしおきだろ。」 はぁ、もう何回目だろう。この責めはかなり屈辱なんだよね。地下室の 水場の蛇口に首輪の鎖をつながれて、ビニールチューブで水道の水を少しずつ 無理やり飲まされるの。それで、尿道にはカテーテルをさしこまれて、 一定量までおしっこ出すまでそのまま放置されるっての。なんだか自分が おしっこ製造機になったみたい。 「今日は、2リットル出してもらおうか。」 「えー、一晩かかるよ?」 「不服かい?」 「うーん、いえ、いいですけど。」 結局、彼のお仕置きを甘んじてうける。はあ、2リットルか。今晩は 眠れないよ…。