初穂摘み

9

 

 

「やっ…」
 
脇腹を滑り降りたブロッケンマンの手は過たず我が子の開かれた脚の間へと消え、途端にぴくんっと反動してJr.は身体を仰け反らせた。
 
---そこは、イヤッ---
 
そこは、父が手を差し入れたその場所こそはJr.の身体を疼かせている中心部。夜、時折訪れては独り寝のJr.を秘めやかな恍惚の波へと誘う源に他ならなかった。
 
今まで他の誰一人として明かした事のない秘密の場所を、自分だけのイケナイ遊びを暴かれたと云う狼狽、事も在ろうか常日頃崇拝してやまぬ父ブロッケンマンに知られてしまったと云う羞恥から耳まで薔薇色に染めていやいやとかぶりを振り身を捩らせるJr.だったがしかし、懸命の抵抗はブロッケンマンの狼藉を止めるどころかかえって興がらせるだけ、それに気付かず捕食者の嗜虐心を煽るばかりの反応は最早、誘惑以外の何ものでもない。
 
「さわっちゃ…だ、め…っ」
 
切れぎれに、そう呟くのがやっとだった。Jr.の頭は混乱していた。秘して語る事などなかった恥ずべき秘密、どうして父に知れたのだろう。
 
---判らない、判らない---
 
狼狽えながらも必死に考えを巡らす。
 
---どうして、どうして、どうやって・・・ああっ---
 
最悪の想定がJr.の脳裏をよぎった。
 
---ファーターの前で、ファーターの姿を見て『あれ』を感じたのを
気付かれてしまった、から?---
 
氷の手で心臓を掴み上げられたならきっと、こんな感覚ではなかろうかと思った。跳ね上がる心拍を補うかにうっすらと唇を開き、浅い呼吸を繰り返すJr.の、薔薇色に紅潮させたきめ細やかな項に伝う汗が異様に冷たく感じられて。
 
これが父ではなかったら、使用人風情に知られたのであるならば、Jr.とてこうも取り乱したりなどしなかったろう。所詮使用人、取るに足らない目下の者の目など気にする必要は無い。しかし、秘密を握られた相手は貴族だった。貴族も貴族、社交界の花形にして独逸超人界にこの人ありとうたわれる己の父親、心からの畏怖と心酔の対象であるブロッケンマンである。目も眩む恥ずかしさに死んでしまいたい程だった。
 
それなのに。
 
激しい羞恥心とは裏腹に身体は確実に反応していた。内奥から沸立つような疼きをそのままに中心が火照る。夜独り遊びする時に覚える『あれ』とあきらかに同種の、淫媚な甘ったるさに自らの意志ではどうにも制御しようのない獣性を思いがけず見い出すのだが、すべらかな父の長くしなう指にしっとりと双の珠を包まれると、不思議な安定感をも感じるのだ。
 
---どうして---
 
恐怖と羞恥と。そして期待と。
 
そう、期待。
独りではとうとう辿り着く事の出来なかった何かに、穏やかな波間に漂うような、淡く心地よいあの恍惚を超えた先に待ち受けている何かに到達出来るのでは、ファーターならきっと導いてくれるのではと云う、漠とした期待だった。
 
相反する感情のうねりに翻弄されるJr.は暫し呆然としたなり抵抗するのも忘れブロッケンマンの胸へ頭を預けていた。逞しい隆起を示す父の胸は服地越しにも素肌の彼に温もりを伝えて、その恐怖を序所にではあれ拭い去ってゆく。次第に呼吸は平常を取り戻し強張った身体は緩みはじめ、そして。
 
絶好の好機を前に細まるブロッケンマンの目は綺羅と一層の輝きを増す。
 

続く


多少長めだったので一部10話目に繰越しました。

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