Jr.が我にかえった時にはもう、ブロッケンマンの愛撫は止めようの無いものになっていた。我にかえる。いや、かえらされたと云うべきか。背後から廻された腕の一方はJr.の胸の吸付くような滑らかさを確かめ、在るか無しかのほのかな突起を捉え押し摘みころがしては、清らかなそれが次第に薔薇の色へと変じるのを愉しみ、滑り上げて、柔らかな喉をくすぐっている。
父の踏み開いた両膝によって大きく股を割られた姿は淫猥と云うよりむしろ無防備な頼り無さで、恥じらいつつも寛げられたそのかたくなさは文字通りの、人の足跡を知らぬ処女地を侵す愉悦をもてブロッケンマンの食指をそそのかした。
「あ…」
双の袋ごと、柔らかに揉みしだかれ筒裏をなぞり上げられる感覚に、思わず声があがって背筋を弓ならせると耳元にかかるのはブロッケンマンの息遣い。愛煙家の父が悠々と燻らせる様を幾度となく傍らで見守った、流れる紫煙の馥郁とした香ばしさと同じ薫り。単純なくすぐったさとは微妙に異なるこそばしさに顔を反らせば、空いた首筋にくちづけを落され。
また指は躍り。
Jr.の先端は歳に相応の柔皮に包まれて、うっすらと浮き出した輪郭だけがうぶな蕾の存在を知らせているうら若い性、それでも幼いなりに熱を含んだそこへブロッケンマンはそっと指を宛てがうと、包皮ごと滑らすように上下へと行き来させ始めた。
「あ、あ…」
今までJr.がその無垢な身体を慰めて来た夜具の、どれほど練れた絹物の肌擦れでさえ与えてくれはしなかった、えも云われぬ技巧。
未だ青い果実のようなJr.の身体をとろかす巧みな指の軌道と温もり、息遣い。
Jr.にはわからなかった。いったい何故、どうしてこんな事になってしまったのか、見当もつかなかった。確かに父ブロッケンマンに特別視される優越は矜持に快い。施される愛撫に恥じらいつつも慣れぬ身を委ねるののとて、父ならば、独力ではとうとう辿り着けなかった「あの」先へ、恍惚の峠を越えた先に待ち受けるなにかへ、自分を導いてくれるのでは、との獏とした期待もある。
しかし。
同時にJr.の理性の奥隅では、こみ上がる嫌悪にも似た後悔と、それに伴う底知れぬ恐怖をも感じるのだ。
「ふ…く…ファータ、ぁン」
まわされた腕にしがみつく。
答えを求める僅かな理性さえ、だがブロッケンマンの性の手管の許、その喜びの前へぬかづくのにも幾許とかからぬだろう。
Jr.への愛撫の手を休める事なくブロッケンマンは、つぃと椅子から腰を浮かせると座り位置を調節した。Jr.自身も身体をずり上げられたが、次に据え直された場所に異様な感触をおぼえてぴくりと反応した。それはJr.の小さく形良い尻のすぼみから会陰部にかけて圧迫し、服地ごしにも熱く硬く脈打つのが何か別種の生き物じみて、彼の当惑を不安に化さしめた。ふいにJr.は父の押し付けるもが何であるのかに思い当たって上気する顔を更に赤らめたが、何故それを自分の…に宛てがったるなどするのか、そこまでの知識は持ち合わせぬねんねであった。
圧倒的な存在感は服地ごしにもJr.の硬く締ったすぼまりを突き上げ会陰をこすり、その違和感から逃れようと身をよじるJr.の身体をゆさゆさと揺さぶる。我が子の肌を慰んでいた手の動きも、いつしか規則性をおびていた。ゆるやかな恍惚の波間を夢うつつに彷徨する事しか知らなかったJr.の、未熟な性感には酷なほどの性急さで追い立てて行く。
「はぅ、は、や、やだ、よ。ファータァ。やぁ…っ」
「大人なのだろう?」
耳朶に低く囁く声音には嘲弄の棘。
下から突き上げられる摩擦感。
指使い。
薔薇色のあでやかさをもって上気した裸体は、続き部屋の浴槽から流れ込む熱気によるものばかりではなかろうが、絶えずこみ上がる熱を持て余して、せわしない吐息を吐き吐き、甘美な責め苦に耐える。その規則的なリズムはやがてJr.の身体の奥底で萌芽し始めた或るものを掴むと、無慈悲な的確さで引きずり出しにかかるのだ。
「は…は…はぁ…っ熱…熱いよファータ…」
「へん、なの…っ、からだが、…から、もう止め…っ」
「大人なのだろう?……私のJr.」
続く
そして11話目へ突入。もう半年も書き続けてます。
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