こんな、一時が。
おやすみ。
いつもは釣りを二人で楽しんでいる昼下がりだけれど。
今日は珍しく図書館の近くのベンチで二人、くつろいでいた。
ハイ・ヨー特性のおにぎりをたいらげて、お茶を口直しに。
そうして二人なんとなしに喋り合って、偶に笑う。
「今日布団干しといたから、寝るとき気持ち良さそう」
「太陽の匂いがしていいですよね」
「そうそう、ふかふかしてるし」
少しはなれた所で、楽団の三人が音を奏でている。
アンネリーの心地いい歌声は、なんともいえない幸せ感をくれた。
まるで風のように自然に、それはこの景色に溶け込んでいる。
すごいなぁ、と今更ながら思った。
「アンネリーのいつも歌ってる、あの歌、すごく好きだな」
「ええ、俺も好きです」
どこかなつかしい。
安心できる、歌。
「一緒だね」
「そうですね」
笑い合って。
「ほんと、今日はあたたかいですね」
「んー、なんか、眠くなるわー」
「ああ、なら」
ぽんぽん。
ヤム・クーは自分の膝を二度叩く。
「はい?」
意味がわからないが眉を寄せれば、にっこりと笑顔があって。
「膝枕、してあげますよ」
その台詞に少し戸惑っただったが、まぁいいか、と頷く。
体を少しずらして、その膝に頭を置いた。
ほどよい高さとぬくもり。
「ヤム、ふかふかしてる」
「ひなたぼっこしてたからじゃないですか?」
風に流れるの髪を手で梳きながら、ヤム・クーは囁いた。
「あー、ヤム布団だな」
はそっと目を閉じる。
「あはは。それで、寝心地はどうですか」
自分の真下あるの顔を覗き込めば、笑顔が返って来た。
さぁあああっと緑が風に流される。
「ハナマルをあげましょう」
ヤム・クーは、くす、と笑った。
よしよし、と頭を撫でて、自分も背もたれに寄りかかる。
空を見上げれば、ゆっくりと動く白い雲と青い空。
仲間達の笑い声。
耳元を掠める歌。
こんな、時がいつまでも続けばいいだなんて、叶わぬ願いを祈ってしまうような。
そんな、幸せな時間。
「明日も、晴れるかなぁ」
「どうでしょう」
の頬をそっと撫でれば、安心したようにため息が漏れる。
「晴れて・・欲しいな」
そう言ったきり、黙ってしまった。
「・・・さん?」
不思議に思ったヤム・クーは、名前を呼んだ。
しかしその返答はなく、聞こえてくるのは規則正しい寝息で。
自然に笑みが零れて来たが、放っておいた。
近くに生えている木が風に揺られて、自分たちを木陰に隠す。
の前髪をそっと払って、そこに唇を落とした。
目覚めれば、アナタは戦場へ。
だから、どうか今だけでも。
「おやすみなさい」
end。
短いッスね。
初めてMIDIをお借りしました。
こちら
のサイトさんです。
アンネリーの歌ですよvいいですよねー、これ。
膝枕万歳!!
あたし大好きです、膝枕。
でも、男より女の人の膝の方がいいですなぁ。
男って固いし、高いんですもん。肩懲りますわ。
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