釣り日和。
「ヤーームーー」
「はい?」
「ヤムヤムヤムヤムヤーームーークーー」
「なんですか?」
「一杯釣れますかねー、魚さん」
「さんが騒がなければ釣れるかもしれないですね」
「う。静かにします・・」
今日も今日とて、は釣り場に足を運んでいた。
今日は休養日、戦いはない日。
背中を合わせて釣りをする。
ぽかぽかした日、釣り日和な日。
「ヤム、何匹釣れた?」
視線は合わせず、声だけで呼びかける。
暫しの間。
「5匹です」
どうやら、その間は魚を数えていたらしい。
「あー、一匹負けたーー。んじゃ今日は二十匹目標ってことで」
「二人合わせて?」
「そ、二人合わせて」
遠くでタイ・ホーと誰かの笑い声が聞こえる。
くるぶしまで海に浸けた足がほどよく冷えて気持ちいい。
潮の香りを感じる。
こつん、とヤム・クーの頭がの頭に当たる。
どうやら空を仰ぎ見ているようだ。
さらさらと首筋にあたるヤム・クーの髪が風に揺れてくすぐったい。
つられるように、も空を見上げた。
「おーー、今日もいい天気だねー」
潮風がせわしなく通り過ぎる。
鳥がどこかで鳴いていた。
浸けていた足を思いっきり一回蹴り上げる。
ぱしゃりと海水が跳ね上がり、二人にしぶきとして降り注いだ。
海の香り、海の色。
「魚逃げますよ、そんなことしてると」
「うへ、やっぱ海ってしょっぱいわ」
あははは、とは笑う。
「今夜さ。魚料理、ハイ・ヨーさんになに作ってもらおっか」
「和風がいいですね」
「和風かぁ〜、あたしはどうしよっかな」
「その時決めたらいいですよ」
「むむむ・・・。・・まぁいっか、どうせならヤムと一緒でもいいし」
「前もそう言ってませんでしたっけ」
「過去のことは忘れたわいー」
「それもいつも言ってる」
笑い混じりの声。
海の気配。
ぽかぽか太陽。
寄りかかりあう背中。
「さん」
「ん?」
「たくさん釣りましょうね」
「ん」
おわり。
ヤム・クーの話だったら私いくつだって書けそうですわ。
釣りをする二人。
ほのぼのほのぼの。
幸せな感じが大好きです。
タイ・ホー、名前だけ初登場ですな。
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