動揺の波紋

 

あれからどれくらい寝たのだろうか。

外はもう闇に染まりつつある。

「そろそろ行くか。」

揺れる光をくぐり抜けて突き進む彼方はいつも闇で

そこが心地よかった。

今もそう。

廃屋のビルなんてそこらじゅうにゴロゴロ転がっているけど

ここが一番のお気に入り。

でも、ここにいても来訪客が後をたたない。

別に待っているわけではない。

暇つぶしになるから断らないだけ。

「殺羅っ。」

言ってるそばからまた来た。

人生の旋律から外されし妖(あやかし)の子・・・。

 

「殺羅。今回のは楽にいけると思うぞ。」

そう言って写真を渡す。

写っているのは小さな少女。

殺羅の表情が密かに歪む。

何故?

心の奥で訴えかけてくる自分の声が聞こえる。

理由なんてわかってる。

でもそれは認められない真実。

心で本音を叫んでも言葉に出すことは許されない事実。

「何故狙う。」

本音の変わりに出た言葉。

「おいおい。依頼理由を追及しないのがここのうりだろ。」

別に今までそんなことを意識したことはない。

興味がなかったから聞かなかっただけ。

でも今回のは事情が違う。

そう。違うのだ。

いつもの殺羅にはない心の揺れがあった。


管理人より
できるのに出来ないこと?を
表したかったのではないだろうか(おぃ)
とにかく揺れてるのです。ゆらゆらと(爆

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