夏の日の憂鬱
拝啓・親愛なるあなたへ
今日はとても暑い夏の日です。
まぁ、高い標高にあるローラントにはあまり気にならないのですが・・・。
ただ、こうして熱い日々を過ごしていると、あの頃を思い出します。
情熱を燃やし続けた、あの頃の旅を。
あなたとの、かけがえのない旅路を、思い出します。
最近は何をしていても憂鬱です。
朝起きてからの沐浴も、他の国との会議の時でさえも、全く気が入りません。
どんな事をしていても、思い出すのはあなたの横顔。
どんな状況でも、希望を捨てることのなかった、あなたの何気ない横顔。
あの頃は世界を救う事だけを考えていましたから、胸の内の蟠りを伝えることはありませんでした。
それに、この感情を伝えたとしても、あなたにはあなたの帰る場所が、そして私には私の帰る場所があるのですから・・・きっと、酷く切ない返事が返ってきたのでしょうね。
ふふっ・・・そんなことを言って、私は単に傷付くのが怖かったのでしょうね。
わかりますか?
今ではこの感情を伝えなかった事に後悔を憶えて、涙がこらえきれないんですよ?
また一滴、涙が私の頬を濡らしました。
様々なわがままが、私の胸の中で渦巻きます。
あなたがいてくれれば。
あなたが私に笑ってくれれば。
あなたがこの涙を拭ってくれれば。
そんなわがままを、あなたは叶えてくれますか?
幼い頃に夢見た、白馬の騎士様になってくださいますか?
憂鬱です。
この憂鬱は、思った以上に重傷なようです。
もう、あなた以外、何も考えられません。
この思い、ローラントのシンボルである風は運んでくれるでしょうか?
目の前の雲を割って、あなたの元へと続いているこの空を飛び交い、そしてあなたの国・・・あなたの胸に。
届いて欲しい・・・せめて、臆病者で、小さな勇気の欠片すらない私の変わりに。
少し長くなってしまいましたが、今回はこの辺で終わらせていただきます。
あなたに会いたい・・・一分一秒でも早く。
この想い・・・伝わったでしょうか?
敬具
追伸
近いうちに、そちらの国に顔を出します。
その時は・・・前のように、笑顔で再会しましょうね。
リースより。
手紙を読んだ青年は、何者にでもなく優しく微笑むと、数枚からなる手紙を便箋に戻した。
そして、大切そうに机の引出しにしまうと、フッと一息つき、そしてクルリと踵を返した。
さあ、今日は彼女がこの国に来る日。
最初の言葉は・・・なんと交わそうか。
そう、心を踊らせながら・・・。
END
あとがき
ども、はじめまして鷹斗です。
簡単に自己紹介をしますと、
投稿小説家(と名乗るのも恐れ多いですが)をしているものです。
今までは18禁しか書いていなかったのですが、
はじめて年齢制限のないものになりました。
かなり短いですけど・・・(苦笑
んで、今回の物、説明をしますと・・・。
まぁ、早く言えばリースの書いた手紙です。
あと、文中でいう「あなた」と言うのが誰なのかは指定していません。
デュランかケヴィンか、またはホークアイかは、これを読んでくださった方々がそれぞれが決めてくださって構いません。
以上、つまらない駄文でしたが、此処ら辺で終わらせていただきます。
それでは。