守りたいもの

 

夕暮れ時によく目にする姿
       

いつしか僕は彼のことばかり考えていた・・・・。

 

 

       「そんなとこにいると危ないよ」

      その声に湖を見つめていた少年が振り返った
 
      「ルック・・・・」
       声の主を確かめ少し安堵したように少年は呟く。

       少年は同盟軍のリ−ダ−、オウリだった。

       「何をそんなに真剣に見てたんだい?」
       
ルックはオウリに尋ねる。

       オウリは少し困ったような顔をしたが、また湖を見つめこう言った。

       「ナナミが言ってたんだ・・・・夕暮れ時に湖の水面を見ると会いたい人が映るって・・・」

       だから・・・・と言おうとしてオウリは言葉に詰まった。

       そのかわりにオウリの瞳からは涙がこぼれ始める。

       「あれ・・・?おかしいなぁ・・」

       一度流れ出した涙は止まることを知らない、オウリは何度も何度も手のひらで涙をぬぐう。

       「やめなよ・・・」

       「え?」

       ルックがオウリの手を掴む。

       「涙を拭うのはやめなよ・・好きなだけ泣けばいいんだ」

       「でも・・僕が泣いちゃ・・・」

       「リ−ダ−だから?だから泣いちゃいけないの?そんなの関係ない

       君には泣く権利がある、涙を流す権利がある」

       「だけど・・・・・」

       尚も何か言おうとするオウリ。その唇をルックがふさいだ。

       唇を合わすだけの軽いキス・・・・

       「ルッ・・・ク・・・・」

       唇を開放されたオウリが茫然と呟く。

       「心配なんだ・・・君のことが・・・・・・」

       ルックは絞り出すようにつげる。

       「ナナミが死んでから毎日毎日、湖に出ては泣きそうな顔をして・・・・

       でも誰かが話かけた次の瞬間には笑ってて・・・」

       その時、僕は胸が張り裂けそうだった・・・・。

       「僕だけじゃない、アイリやフリック、ビクト−ルにシュウ・・・みんな君を心配している

       だから・・・・・・・・・・」

       泣いていいんだ―――

       「ルッ・・・ク・・・・・ぅ」

       オウリは泣いた・・・・ルックの腕の中で・・・・・。

       今まで一人溜め込んでいた悲しみを全てはきだすように・・・・・。

 

       

       泣きつかれて眠ってしまったオウリの横顔をルックは見つめる。

       ルックには分かっていた・・・これからはもっと過酷な運命が彼に降りかかることを・・・・。

       それは真の紋章を持つ彼の運命―――。

       「僕が・・・君の側で守ってあげるから・・」

       ルックはそう言って眠ってるオウリの額に口づける。

       それは永遠なる誓い―――。

 

 

      ++ あとがき++

      

        な、なんでしょうね・・・・この小説・・・・。(汗)

       この話はマチルダ戦後でナナミが死んだ後です。

       てかルック偽者度えらく高いです。

       

        終わり。

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