風紋7
太陽はとうに昇りきっていた。
オウリはいまだ僕の腕の中で目を閉じている。
このままオウリが目を覚ます前に僕は消えるべきかもしれない。
そうしたらオウリは僕に会った事は夢だと思うだろう
二度目の別れを経験せず、僕の事を忘れてくれるだろう
起こさないように、ゆっくりとオウリから離れる。
未練がましい自分に内心、苦笑を漏らしながらもう一度オウリを見た。
やはり、ぐっすりと眠っている。
静かに風が舞い上がった。
その風が僕自身を包む
「ルック!!!」
目が覚めたオウリがいた
「どうして!!何処に行くの?!」
僕に駆け寄ろうとするが、それは風によって阻まれる。
泣き叫ぶ彼の姿を見て心が痛い・・・
やはり会うべきではなかった
でも・・・、
「最後に会えて・・・・・嬉しかったよ」
そう微笑んだ僕を君はどう思ったのか
今一度、君を置いていく僕を―――――。
「絶対に・・・また会おうね・・・・」
「っ・・・」
涙を必死にぬぐい精一杯、笑うオウリ。
最後じゃない
また会える
今の僕にとってこれほど嬉しい言葉はない
「ま、た・・、会おう――」
僕もそう笑いかけた。
お互いの想いがあればまた会える
そう、きっと―――。
「ルック様!!」
僕の気配を感じてセラが駆け寄って来る。
「何処に行ってらしたのですか?」
「少し・・・・デュナン湖の辺りまでね」
「デュナン湖・・・・?」
セラの表情が変わる。
「そう、彼にあったよ・・・」
「そうですか・・・」
表情こそ変化はないがセラが心配しているのが分かった。
「大丈夫。僕はこの計画を止める気はない」
その言葉にセラは更に驚いたように僕を見る。
「ユーバとアルベルトを呼んでくれないか?」
「・・・・・・ルック様はそれで、それでよろしいのですか?!」
セラが声を荒げるなんて珍しいことだ。
でも、それは僕の彼への想いを知る上だからだろう。
「あぁ。いいんだ」
正直、迷いはまだある。
それでも、彼の存在がある限り僕は運命に逆らいながらも歩いて行ける
「行こうか・・・・」
オウリ・・・
僕は運命を変えてみせるよ
君が悲しまないように人々が永遠に笑いあえる世界を手に入れてみせる。
その時、また逢おう―――。
風紋END
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