風花
思えば全ては僕のエゴだったのかもしれない
運命に逆らい、本来味方とするもの達を敵に回し
罪もなき人々の命を奪った――・・・。
「はぁ・・はぁ・・・」
体のダメージが激しかった。
僕は・・・・死ぬんだ・・・
覚悟していた事なのにどこか悲しい――
「オウ・・・リ・・」
霞む瞳の中で彼が微笑んでいる
”ルック!”
幻聴まで聞こえる。
「ルック!!」
幻聴じゃ・・・・ない・・?
崩れる神殿の中駆け寄ってくるあれはオウリ・・?
「どうして・・・此処に・・・?」
「アップルさんに聞いたんだ!!」
アップル・・・?
そうか・・・、確か彼女もヒューゴ達といたな
思い出し微かに口許に笑みを浮かべる
だが、すぐに気づく
「オウリ!早く逃げな!!ここはもうじき完全に崩れる!!!」
「嫌だ!!ルックもルックも一緒に逃げるんだよ!!」
僕の腕を引っ張る手に力がこもる。
「ダメだ・・・!僕はもう動くことが出来な・・・・」
激しく咳き込む。
大量の血が辺りに飛び散った。
「ほら・・・ね・・、僕はもうダメだ・・・」
「そんな事言わないでよ!また会おうっていったじゃんか!!!」
「僕はこうやって最期に君に会えただけで、もう十分だよ・・・・」
許されない罪を背負った僕には十分過ぎるほど幸福なこと
だから・・・
これ以上望むのは酷なことだ
多くの人々やセラを犠牲にしたこの命を
自分だけ永らえさせることは出来ない。
最後の力を振り絞り、僕は紋章を使う。
「ヤ!嫌だ!!!」
オウリの体が淡い緑の光へと包まれる。
「さよなら・・・・愛してるよ・・・」
ルック―――!!
オウリの声は光に掻き消され消える。
僕の意識もだんだんと薄れていく
「最後まで・・・・泣かせてばかり・・だった、な・・」
次の来世があるなら今度は、
ずっと一緒に・・・いたい・・・・・
”その魂に祝福を・・・・・・・・”
僕は目を開けた。
ゆっくりと身体を起こす。
そこは必要最低限のものしか置いていない無機質な部屋だった。
見覚えがある、
此処は僕の部屋だ・・・・
「ど・・・して・・」
信じられない・・・。
僕は確かに崩れ行く神殿にいた
そして、魂となりレックナート様の処に行ったまでは覚えている
死んだはずなのに・・・・・
その時、僕はまた驚くべき事実に気づく
「真の風の紋章が・・・・」
・・・・ない。
気配を感じない!!
「ルック・・・・」
静かで穏やかな女性の声
「レックナート様・・・・」
僕が呟くと同時に部屋の中心に淡い光が現れ、レックナート様が姿を現した。
「これは・・・一体・・?」
戸惑いながら聞く僕に彼女は優しい声で言う。
「貴方を大切に思う者達が引き起こした奇跡です・・・」
「僕を・・・大切に思う者達・・・・?」
信じられない・・
僕が起こした罪を知って尚も僕を大切だと言える人物がいる事を
「ルック・・・、人と人との繋がりは貴方が思っているほど淡白なものでは
ありませんよ。現に貴方が死んだら悲しむものがいるのです・・・・」
レックナート様の声は微かに震えていた。
「・・・・心配・・・おかけしました・・」
頭を下げた僕にレックナート様は微笑みかける。
「広間に・・・お客様が来ています」
どこか楽しげなレックナート様に僕は首を傾げる。
「さぁ、早く行っておあげなさい」
促されるままに僕は広間へと足を向けた。
「ルック!」
飛び込んできた人物に驚く。
「オウ・・リ・・!」
「良かった!良かったよ!!!」
そう言って抱きついている彼の手が震えているのに気づく
「・・・ごめん、今まで傷つけて」
「ううん、いいんだ・・・。
だってルックはそれでも僕を好きでいてくれたでしょ?」
そんな事を言うオウリがすごく愛しかった
「うん・・・愛しくて愛しくて堪らないよ・・・」
正直に答える。
「じゃあ、ずっと・・・側にいてよね」
少し頬を染めながら言うオウリ。
「もちろん」
ずっと・・・・・
これからはずっと一緒に―――――。
<END>
++あとがき++
長かったです・・・。
幻水Vプレイ直後、この話を思いついた時は
まさかここまで長い話になるとは思わなかったです。
しかも、最後の方は設定無視で暴走のままに書いていたので
特に文章がめちゃくちゃな気が致します(汗)
でも、幻水Vでルク主なんて無謀すぎたと思いますが、
どうしても書きたかったのです。
書かずにはいられなかった、という方が正しいかもしれません。
はい、もう自己満足です。
だけど、長くならないように削ってしまった話とかあるので
その辺は何かでフォローしたいですね。
では、最後まで読んでくださってありがとうございました。
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