風と土と少年と
問いかけるだけ無駄だと分かっている
けれど、それでも問いかけずにはいられない
問いかける・・・・
ただただ問いかける
本当に僕達は同じ物なのか―――?
「・・・ック・・?」
名前を呼ばれ、ゆっくりと顔を上げる
「オウリ・・・」
そこにいたのは恋人であるオウリの姿
「どうしたの?」
辺りは暗闇・・・
つまりはもう夜中だ
いつもの彼なら、もう眠りについている時間
「う・・っと・・・さ」
視線を外しながらオウリは下で手を、もじもじさせる
「ルックさ・・・悩みとか―――ない?」
躊躇いながらも告げられた言葉に、ただ驚く
「はっ?」
思わず口をついて出た言葉は、そんな間抜けなものだった
こんな夜中に
それも恋人であるオウリが、いきなりそんな事を言い出すものだから
僕じゃなくても、どう答えていいか返答に困るはずだ
「別に悩みなんてないけど・・・・」
そうは言うが、確かに心に引っかかるものがあるのも、また事実で
どう答えていいものかと悩む
「でも・・・最近ずっとルックの様子がおかしいよ?」
何か思い詰めてる感じで―――――・・
そこまで顔に出ていただろうか?
それともオウリが鋭いだけなのか・・・
「もしかして、この前のハルモニアの神官将って人が原因?」
・・・・・図星だ
普段鈍いくせに、どうしてこういう時だけ鋭いのだろう
「君には関係ないよ・・・」
一瞬オウリが傷ついた顔をしたのが気になるが、本当にこれはオウリには
関係ないこと
巻き込むわけにはいかない―――――
「何で・・・どうして一人で溜め込むんだよ!!僕だってルックの力に
なりたいよ!!!!」
ダメだ・・・
いくら泣かれても言うわけにはいかない
僕はオウリを・・・
ぎゅっ、とその手を握る
傷つけたくないんだ・・・・・
「―――――ッ、ルックのバカ――――!!!」
そう泣きながら走り去っていくオウリを僕は複雑な思いで見つめる
嫌われたかと思う不安と、アイツの事を知られなかったという安堵
今は、まだ話せる時じゃない
僕は瞳を閉じた
心を落ち着かせるために―――
でも僕は忘れていた
オウリが、どんなに無茶をする少年かを――――――。
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