問いかける
ただ、ただ問いかける
アイツと僕との関係を
繋がりがあるはずである、その記憶を
思いだそうと問いかける
風と土と少年と―2―
機嫌が悪かった
けど僕自身にその自覚はない
いや、多少気分が悪いだけであとは普通にしているつもりだった。
「ササライ様どうかされましたか?」
「何でもない」
困惑気味に問い掛けてくる副官ディオスに僕は、そう言葉を投げかける
「もし、ご気分が優れないのなら・・・」
「本当に何でもないよ」
少し声を荒げ言う
さすがにディオスも口を噤んだ
「少し・・・外の空気を吸ってくるよ」
そう軽くディオスに笑いかけ頭を冷やそうと僕は席を立った
胸にある面影は僅かな違和感として消えて行く
吐き気を催すような強烈な存在
何故それをアイツに感じるかなんて分からない
鏡を見たような瓜二つの容姿に、
ただ
ただ
気持ちが悪い
「うわぁぁっぁ!!」
咄嗟に何が起こったかワカラなかった
気持ちが悪いと、空を仰ぎ、その眩しさに瞳を細めた
そして一瞬、高く響く少年の声が聴こえ
何か赤いものが
そう赤いものが・・
「イタタタッ・・」
その赤いもの・・・いや赤い服を着た少年は
僕の腕の中ひとしきり擦りむいた腕をさすったあと
にっこりと微笑んだ
「貴方がササライさん?」
−−トクン
震え出した胸
「僕はオウリと言います」
−−トクントクン
激しく高鳴りだす胸の真実に気づいたのは、
まだ少し先のことだった
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