しんしんと・・降り注ぐ・・
言葉の・・波・・・
後悔するくらいなら、初めから逢わなければ良かったのだ
それほどまでに彼に魅せられた自分がいた
出逢いは必然というけれど
彼と僕との出逢いはそんな単純な言葉では片付けられないもの
そう、自分は認識している
強いて言うなら・・・それは運命―――――――・・。
*Seasoning*
サワサワ、と風が揺れていた
心地よく自分の髪を撫でるその風にオウリは懐かしさを覚える
会えば嫌味を言われ、けれど自分を気にかけてくれていた存在
いつしか自分の中で大切な人へと変わった存在
緑の法衣の魔法使い
その自分の例えにオウリは思わずクスリと笑う
戦争が終わり・・彼は魔術師に塔にいるレックナートの元へと帰って行った
もう、それから数ヶ月が経っている
だからというわけではないが、寂しさを感じないわけではない
自分の思いを彼に伝えたわけではないが、いつも側にいてくれた彼
辛い時、寂しい時、いつも側にいてくれた
優しく何も語らず側にいてくれた
その存在がいなくなりオウリの心の中はポッカリと穴が空いたような気持ちだった
「逢いたいな・・・」
誰に、とは言わずオウリは呟いた
サワサワと自分の頬を撫でる風が、まるで彼に撫でられてるような感覚
オウリは目を閉じる
「ルック・・・・・」
「呼んだ?」
え・・・・?
一瞬、思考が止まる
「僕を呼んだ?」
よく通る、澄んだ声
いま、すごく聞きたいと思ってた声・・
「ルック???!」
急いで声のした方を振り向く
そこには確かに、会いたいと思っていた人がいて
変わらない笑みを浮かべていて
「ルック!!」
そう思った瞬間、ルックの胸の中にオウリは飛び込んでいた
「何?いきなり・・・?」
苦笑じみた笑みを浮かべながら、でもルックのその声は優しい
自分に腕の中にいる華奢な身体を抱きしめ、そしてオウリの
髪を撫でる。
離れていたのは僅か数ヶ月だが
自分が彼にどれだけ惹かれていたかを知るには十分すぎる時間だった
今、自分の腕の中で涙を流している彼を見て、オウリも同じ気持ち
だったと感じる
「元気に・・・してた?」
不安げにオウリがルックを見る
「元気だよ。当たり前・・・。」
そう言ったあと、ニッと口を歪めてルックは続ける
「君こそ、また何処かで転んだりして傷作ってない?」
その言葉にオウリは、むぅと膨れる
「またとは何だよ!!」
怒っているのだろうが、その様も可愛らしい
「でも、本当のことだろ?」
同盟軍にいた時は彼はよく転び、そして傷を作っていた
毎回その世話をしていたのはルックなのだ
危なっかしくて目が離せないと言ったらそれまでだけど・・
でも、いつしか惹かれた
真の紋章を宿す身で、ましてやまがい物の身で愛なんて
感じないと思っていたのに
どうしようもなく惹かれた
後悔した
彼に逢ったことに
自分にこのような感情を感じさせた彼に
彼に魅せられた自分に―――――・・。
けど、それでも僕達は出逢ったのだ
それは必然ではなく・・・運命――――・・。
「オウリ?」
まだ膨れている彼の名を呼ぶ
「何?」
不思議そうに問いかける唇を・・・塞ぐ
風が、舞い上がる
ルックの髪が僕の頬を撫で
そして触れたのは彼の唇――−―・・。
「君のこと・・・愛してる」
静かな彼の告白
驚きで見開いた瞳のままの僕にルックは更に言葉を重ねる
「オウリのことが・・・好きだ」
混乱で頭の思考がうまく回らない
誰が?誰を好き??
誰?・・目の前にいるのは・・・・?
「オウリは?」
緑の法衣の魔法使い
恋焦がれていた彼が
自分を好きだと
嬉しいはずなのに何故か恐いと感じるのは
どうしてだろう・・・。
僕も好きだと返事を返したいのに、唇が震えてうまく言葉を
紡ぐことができない
心臓が早鐘のように鳴り響き
そして瞬時に顔が赤く染まるのを感じた
「好きだよ・・オウリ・・・」
尚も彼はオウリの耳元でその言葉を繰り返す
「あ・・・っ・・・」
ピクン、と身体が反応する
「っ・・・僕・・も・・」
恥ずかしくて、ぎゅっとルックの法衣を掴み顔を伏せる
ルックが笑うのが気配で分かった
けど、今、顔を上げ彼に反論する気力なんてない
「嬉しいよ・・・」
強引に顔をあげさせられる
そして、また唇をふさがれた
二度目の―――口付け・・・
しんしんと、降りそそぐ言葉の波と想い
それは運命を彩るSeasoning・・・・
<END>
がふっ・・シリアス風味甘い味付けでしょうか?(爆)
ていうかテーマは味付けですか?!(笑)
いつも小説を書くときは小テーマみたいなのを決めるんですが
管理人いよいよ頭がおかしくなってきてますよ(死)
ルク主ルク主・・・最近、本当に更新してもルク主しか書いてない・・
たまにはササ主や坊主も書かなくてはと思うんですがね・・
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