花明かり



目の前には赤い影


「捕まえろ!!同盟軍リーダーだ!!!!!」

後ろからの声

あれが同盟軍リーダー?

僕と同じ・・・いや、それより幼いだろう

彼の乗っている馬に矢が放たれた。

馬は逃げようとするため左右へと交互に走る。そのため馬の上にいた彼の体は

大きく揺れ、空へと投げ出される。

危ない・・・・!!!

振り上げた手

誰にも気づかれないように紋章の力を使う

「何!!」

周囲からは驚きの声。

当たり前だ、馬に放り出されようとしていた少年がとつとして消えたのだから。

僕はとりあえず息を吐く。

息をついた瞬間、強い紋章の気配に気づく

「我が真なる風の紋章よ・・・・」

僕と似た声?

そう思った瞬間、突風が吹き荒れた。

「くっ、このままじゃ・・・・!」

僕は右手を振りかざす

そこには真の土の紋章の気配。

「我が真なる・・・・」

呪文を唱えると、土が僕たちの軍を呑みこんでいく

視界の端に緑のローブが見えた。

必死に何かを探している。

あぁ・・そうか、あの子を探しているのか・・・・

僕は小さな優越感に笑みが漏れた。

そして、もう一度紋章を使う。

僕、一人だけが移動できるような小さな力で

「ササライ様どちらへ?!!」

「すぐに戻るよ」

副官へ笑いかけ僕は光へと消える。





 

辿り着いたのは、ハルモニアの僕の私室。
ベッドには先ほど助けた少年
赤い服の同盟軍リーダーが横たわっている。

「とっさに僕の部屋に移動させたけど・・・・」

判断は間違っていない

同盟軍と刃を交えているハイランドよりも、まだ此処の方が

幾分か安全だ。

安全だが・・・・・・

「ん・・・」

彼の口から声が洩れた

気が付いた・・・・わけではないようだ

まだ、瞳は閉じられたまま

僕はベッドに近づくと、彼の顔を覗き込む。

寝顔は戦場で見た時より更に幼い。

うっすらとピンク色の頬、小さな唇、

僕の指は彼の存在を確かめるように、輪郭をたどる。

その時、彼の瞳が開いた。

黒みを帯びた茶色の大きな瞳・・・・

「あ、れ・・・?僕・・・・??」

状況が把握できないのか、あたふたと起き上がる。

そして僕に気づく

「あなたは・・・・」

「ハルモニア神聖国神官将ササライと申します」

そう名前を告げると彼の顔が凍りついた。

ハルモニアとハイランドは友好国だ。

それは同盟軍リーダーである彼も周知の事実、となれば必然的に捕まってしまったという考えに辿り着く。

だけど、僕には彼をハイランドに受け渡す気は更更ない。

だから安心させるために、にっこり微笑みかける。

「お茶でもどうですか?」

「え?」

拍子抜けしたように僕を見つめてくる瞳。

あまりの可愛らしさに自然と微笑みが込み上げる。

「ここのお茶はとても美味しいんですよ。あ、甘いものは好きですか?」

「え・・・?好き・・・ですけど・・・」

その返事を聞いて僕は彼の前に熱い紅茶をとケーキを差し出した。

「毒とか、そういう類の物は入ってませんよ」

不安そうな彼の顔を見、僕はそう付け加える。

「い、いえ、そんなつもりじゃ・・・・」

あたふたと彼の顔色が青くなったり赤くなったりする

本当に分かりやすい・・

苦笑を噛み締めながら僕は紅茶を一口飲む

「そういえば・・・名前聞いてないですよね?」

急に切り出した、この僕の一言に彼は首を傾げる

「あなたの名前ですよ、名前」

「え・・っ・・あ・・!オウリです!!」

慌ててしまったのか口早に自分の名前を告げる

「オウリ、ですか・・」

胸の中でもう一度、復唱する

「可愛いですね・・・・」

思わず口をついて出た言葉、

だがオウリはキョトンと僕を見つめている

「可愛いって?」

そうして僕に、そう聞き返す

「貴方のことですよ、オウリ・・・」

「えっ・・・えぇ・・・・!!」

ガタリ、とテーブルが揺れる

「ご、ごめんなさい!!」

慌てて謝るオウリ。

その様子をクスクスと眺める

「いいんですよ、変なことを言ったのは僕ですから」

それでも笑いが収まらず、後尾の方はほとんど笑い声と重なってしまっていた

「あの〜・・・ササライさん?僕のこと揶揄ってません?」

「とんでもない」

笑顔で言い切るがオウリの方はあまり信じてなさそうだった

現に疑わしそうに僕を見ている

「さぁ、そろそろ行きましょう」

僕は立ち上がるとオウリに切り出した

「え・・行くって何処へ?」

疑わしそうな視線は消え今度は不思議そうに僕を見る

「同盟軍ですよ、帰りたくないんですか?」

その言葉にオウリは、ふるふると首を横に振る

そして僕に尋ねる

「どうして僕を助けてくれたんですか?」


「さぁ・・何でだろう・・?」



興味があった

あんな幼い彼にどうして皆が従うのか

どうして皆が惹かれるのか


答えは・・・・簡単だった



「ササライさん?」



敵ということも忘れ、例え今だけだとしても

こうして親しげに声をかけてくる彼

そんな彼に僕さえも惹かれたのだろう


「行くよ」



彼の身体を抱きしめ、僕は紋章を発動させた










「此処・・・?」

同盟軍の城の形が微かに見える森の中

「此処からなら歩いてでも帰れるでしょう?」

胸の中に抱きしめているオウリにそう囁きかける

オウリは頷くと僕の腕の中から、地面へと降りた

「ありがとう」

そう、礼を言うオウリ

僕は微笑みを返しながらも寂しさを感じた

「あの・・・」

ふと、オウリが僕を見つめていた

「また・・・会えますか?」

オウリの言葉に僕は驚きで瞳を見張った

まさか、そんなこと言われるなんて思ってもなかったから・・・


「えぇ・・また会いましょう・・・」




約束だと、僕らは笑いあった―――――――。


 

+ありがき+

ウィルスに感染したせいでファイルをなくしてしまい、しかもバックアップもちゃんと
とっていなかったので、初期にUPしたSSとは内容が違うようになりました(汗)
う、う・・〜〜・・ん・・とりあえずホストなササライさんがなくなったかな〜??あとブラックと・・(汗)

結局シリアスじゃなくなりました。
かといって甘めとも言い切れない(激死)


 

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