子守唄
澄んだ歌声が聴こえてきた
その歌声に導かれるように、僕は足を向ける
「サ・・・サラ・・・」
歌声が途切れる
柔らかな眼差しが僕に向けられた
「こんにちわ、オウリ」
森の中に佇む彼は美しく微笑んだ
ハルモニアの神官将・・・
僕にとって敵である彼
けれど僕は彼の事が気になって仕方がなかった
ルックに似ているからではない
確かにルックと彼は似ているが根本的な所で何かが違う気がする
「こんな所で君に会えるなんて光栄です」
そう、彼は微笑む
僕に会えることが光栄?
どうして・・・?
疑問が頭を駆け抜ける
「さっきの歌・・・」
そんな思いとは裏腹に口をついて出てきた言葉に自分でも
少し驚く。
「何て曲ですか?」
案の定、彼は一瞬目を見張る
けれど、すぐ瞳を細め澄んだ声で言う
「ラプソディ・・・・」
子守唄・・・・?
その音に懐かしいものを感じた
熱い物が頬を伝う
「どうしたんですか?!」
驚いたように彼が駆け寄ってきた
その彼の胸の中で、僕は止まらない涙を流しつづける
思い出していた
昔よく子守唄を歌ってもらっていたことを・・・
ずれた音で一生懸命、歌っていたナナミ・・・
今は、もう聴くことの出来ない歌
ぎゅっとしがみ付くと彼は黙って抱きしめてくれた
おかしいね、
どうして敵である彼に僕はしがみ付いてるのだろう
どうして彼の腕は、こんなにも温かいのだろう
「ごめな・・さ・・」
彼の胸から離れ、僕は涙を拭う
「僕で良ければ・・・、いつでも胸を貸しますよ」
そう笑う彼を不思議な気持ちで見る
「それに僕たちは、敵ではありませんし・・・」
ポツリ、と言った彼の言葉に耳を疑う
「え・・どうして・・?」
僕の驚いたような声に彼は苦笑を浮かべ笑う
「だってそうでしょ?貴方が戦っているのはハイランドです。
確かにハルモニアは友好国で手も貸しましたが、それは国同士の問題。
僕個人の問題ではありません」
だから敵同士じゃない・・・
「それは・・そうだけど・・・・」
それでも、やっぱり納得がいかないと言うように彼を見ると
次の瞬間に唇を奪われていた。
「っ・・!なに・・・す・・!!」
「嫌だった?」
押しのけた僕に彼は、そう抜け抜けと笑う
「嫌とか・・・そんなんじゃなくて・・・・」
言葉が濁る
嫌ではなかったけど・・・
けど、あまりな急なことに頭の整理がつかないのだ
「なら良かった・・。オウリには嫌われたくないから」
「っ・・大体どうして僕の名前知ってるんですか?」
顔を赤くしながら、ずっと疑問に思っていたことを口にする
「じゃあ、どうしてオウリは僕の名を知っているんだい?」
それは・・・・と言いかけて言葉を飲み込む
「ず・・るいです・・」
始めのイメージと違い、案外彼は意地悪な性格をしているのかもしれない
気づいてて僕に言わそうとする
「どうして?」
優しい声でそう言われたら言いたくなくても言わなければという気分になる
「僕はただ・・気になっ・・て・・」
戦場で見た彼のことが気になり、どうしても名前を知りたくなった
「僕もです・・」
そう彼は笑う
「僕も貴方のことが、ずっと気になっていたんです―――」
そして僕はまた彼の腕の中へと包まれた
<END>
+あとがき+
どうやらスランプに突入した模様です・・・。
書けない、普通に書けません
駄文です、駄文すぎます!
私はただ子守唄を題材に書きたかったはずなのに・・・
ササライさーん・・・・
手出すの早いですよぉ・・・(爆)
しかも2主までいつもと違う・・・!
やっぱり2主視点で書いたせいだろうか・・・・
あとがきまでオチがなくてすいません。(謝)
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