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□Cross Feeling□

南山奏様




キンッッッ!
鋼と鋼のぶつかり合う、澄んだ音が響いていた。
先刻から数旬。その音は少しも途切れる事がない。
もう少し近づけば獣の咆哮にも似た唸り声と荒々しく大地を蹴りつける音。
それから鎧が打ち合わされるような、ガシャンガシャンという重い音。
「―――ちぃっ!」
鋼の片方を操っている方の人影、銀髪蒼眼の闇の魔導師が小さく舌打ちをした。
苛立たしげに手にした闇の剣を横に薙ぐ。
その攻撃を予測していたもう片方の人影、黒っぽい鎧に全身を覆われたニメートル以上にもなる巨体は、恐るべき反応速度を見せ自らの獲物でその刀身を弾いた。
『どうした……、シェゾ・ウィグィィよ。もう終わりか………?』
鎧の男(?)、剛殻鬼眼はだいぶと呼吸を乱し始めている闇の魔導師に向かって、低く声をかける。
それに対し闇の魔導師は少し悔しそうな顔を見せながら、いったん後ろに跳び退り間合いを取った。
「寝ぼけた事を言ってんじゃねェよ!このオレを誰だと思ってやがる……っ」
彼は剛殻鬼眼を睨み付けながら、相も変らぬ強気の台詞を吐く。
(人なる身ではおそらく唯一、我とここまで打ち合える存在………)
剛殻鬼眼はそれに対して、口には出さずにそう彼なりの最大級の賛美を送った。
この闇の魔導師と対峙するこの瞬間が楽しくて仕方がない。
彼は会うたびに成長している。
そしてその度に自分は自らの存在する理由も忘れるほどに、彼との戦いに夢中になってしまうのだ。
『ふむ……。では参るぞ!』
剛殻鬼眼は重い唸りとともに一気に間合いを詰め、巨大な両刃の斧を闇の魔導師の頭上から叩きつける。
閃く銀光。鋼と鋼が再びかみ合い、両者は至近距離で対峙した。
歯を食いしばりながら斧を押し返してくる彼の、蒼い眼を見つめていると、どこか吸いこまれてしまいそうな感覚を覚える。
(人ならぬ身である、この我が……)
剛殻鬼眼はわずかに苦笑を含んだような呼気を漏らした。
それに対し眼前の闇の魔導師が一瞬怪訝そうな顔を見せる。
「何が…おかしい………?」
その問いに剛殻鬼眼は、斧に込めた力を強めることで応えた。
強い圧力を食らって、闇の魔導師の足元の土が大きく抉られ陥没する。
「くぅ………っ」
彼はぎりりと歯を噛み締め、低く呻いた。
頭上から押し込んでくる力の流れを変え、何とか受け流してそのまま身を回転させ、横から打ち込んでくる。
面白い……。
剛殻鬼眼の兜の奥に隠されている目の辺りが、ヴゥンッと赤く光った。
闇の魔導師の眼に自分の姿だけが映っていることに奇妙な歓喜を感じる。
それがどういう感情を含んでいるのか、剛殻鬼眼自身まだ気が付いていなかった。
鋼の打ち合わされる音が再びその場を満たしていった。



(続くカモ・笑)






+アリガトウナ気持チ+

剛殻鬼眼カッコイイ…ッ!
やっぱ剛殻鬼眼と言ったらシェゾですよね。
で、シェゾと言ったら…闇の剣。
……あれ?
戦闘シーンが書けるなんて素晴らしいです!!
ありがとうございました。
続きは南山奏様のHP「十二鏡」に!


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