それはかすれてよく聞き取れなかったが、自分に向けて発せられた言葉だということは、情欲に霞のかかりはじめた頭でも十分認識できた。相手の顔を見るべくゆっくりと頭を上げたのは、もう一度聞きなおそうなどという殊勝な考えからではなく、本音を言えば想像していたよりも相手があっけなく終わりを迎えてしまった事に対して、恨み言の一つでも言ってやろうかと思ってのことだった。
「…わりぃ」
半ば無理やりと言っても良いくらいに強引に高みへ追いやられ、息があがって上手く言葉にならないというようだったが、それでもゾロは、今度ははっきりと謝罪の言葉を述べてきた。
「気にするこたーねーよ」
少し紅潮した頬と気まずそうな顔。
コイツのこんな表情など滅多に見られるもんじゃねぇなと思う嬉しさと、そうさせているのが自分だという優越感に、自然いらえも鷹揚になる。
まだ楽しめるよな?と、謝罪の意味するところを悟ってサンジは、左手にこびりついた残滓を、濡れて艶めく仔猫のようなピンク色の舌でわざとゆっくり、見せ付けるように舐め上げながら、一方で蠱惑を含んだ秋波をゾロに投げかけた。
すべてにおいて、昼と夜とではその顔があまりにも違いすぎる。
目の当たりにした事実に躊躇しているゾロを尻目に、サンジは少し硬度を取り戻しつつある彼自身を、慣れた手つきと動作でその口に含もうとする。
「うわっ!ちょっと待て!!」
焦ったような声とともに大きな手で頭を押し止められて、今夜初めてサンジはその白い顔に不満の色を顕わにした。
「なんだ?今度は口でしてやるって言ってるんだぜ?遠慮すんなよ」
天国に行かせてやる。俺、上手いんだぜ?と言うなり、止める隙も有らばこそ、サンジはその小ぶりな頭をゾロの股間に埋め込んだ。
*まゆみさんから頂きました。いつもいつもサンクスです〜(^^)。